内藤千百里関電副社長
関電、歴代首相7人に年2千万円献金 元副社長が証言:朝日新聞デジタル
『 関西電力で政界工作を長年担った内藤千百里(ちもり)・元副社長(91)が朝日新聞の取材に応じ、少なくとも1972年から18年間、在任中の歴代首相7人に「盆暮れに1千万円ずつ献金してきた」と証言した。政界全体に配った資金は年間数億円に上ったという。原発政策の推進や電力会社の発展が目的で、「原資はすべて電気料金だった」と語った。多額の電力マネーを政権中枢に流し込んできた歴史を当事者が実名で明らかにした。』
少なくとも1972年〜90年の間に献金してきたとのことだが、関西電力の原発の運転開始のタイミングと照らしあわせてみよう。

関西電力 - Wikipedia
発電所名 運転開始 所在地 備考
美浜発電所 1970年11月28日
1972年7月25日
1976年3月15日
福井県三方郡美浜町 1 - 3号機全機定期検査中。
大飯発電所 1979年3月27日
1979年12月5日
1991年12月18日
1993年2月2日
福井県大飯郡おおい町 1・2号機は定期検査中。
3・4号機は2012年7月に営業運転を再開。
高浜発電所 1974年11月14日
1975年11月14日
1985年1月17日
1985年6月5日
福井県大飯郡高浜町 1 - 4号機全機定期検査中。
まさにドンピシャだ。
関西電力が原発を立てまくっていた時期に、歴代総理に巨額の献金をしていたということになる。
つまり、献金で原発が立ったということだろう。

関電元副社長歴代総理に年間2億円献金告白
『 内藤氏が献金したと証言した7人は、田中角栄、三木武夫、福田赳夫、大平正芳、鈴木善幸、中曽根康弘、竹下登の各元首相(中曽根氏以外は故人)。』
中曽根氏は、回答がなかったことを別記事で報じている。
『 内藤氏は47年に京大経済学部を卒業し、関電前身の関西配電に入社。62年に芦原(あしはら)義重社長(故人)の秘書になり、政財界とのパイプ役を約30年間務めた。関電の原発依存度は震災前は5割を超え業界でも高く、原発導入を円滑に進めるには政界工作が重要だったという。』
先ほどの運転開始スケジュールを見れば明らかですね。
『 内藤氏は2013年12月から今年7月にかけて69時間取材に応じ、11年3月の東京電力福島第一原発の事故について「政府の対応はけしからん」「長年築いてきた政・官・電力の関係に問題があった」と指摘した上、多額の政治献金を電気料金で賄ってきた関電の歴史を詳細に語った。』
69時間の取材って、かなりすごいですね。これは今後書籍化するでしょう。できるかぎり報道していただきたいですね。
つーかこの元副社長、部屋でふんぞり返ってないで、テレビ局行って出演交渉してくればいいのに。
『 さらに「関電には芦原さんが直接、総理大臣や党の実力者に配る資金があった。トップシークレットだった」と証言。首相や自民党有力者らに毎年2回、盆暮れのあいさつと称して各200万~1千万円の現金を運ぶ慣行があったと明かし、授受の様子や政治家の反応を細かく語った。』
盆と暮れの2回、1000万円ずつ支払ってたってことになりますね。
こうやって見ると、日本の経済成長期って、ろくでもないカネの政治だということが分かりますね。
経済成長するさいに、どの国も通る道なんでしょう。。。
袖の下を要求する国と何ら変わりがない。
『 当時は政治家個人への企業献金は法律で禁止されていないが、電力各社は74年、「政治献金分まで電気料金を支払いたくない」という世論を受けて企業献金の廃止を宣言。内藤氏は当時の業界は「そんなことを出来るわけがない。政治家を敵に回したら何も動かない」という雰囲気だったとし、その後も政治献金を水面下で続けたと証言した。』
そんな世論があったのですね。だけども、ちゃんと支払っていたと(苦笑)。
『 献金の理由は「一に電力の安泰。二に国家の繁栄」とし、「天下国家のために渡すカネで、具体的な目的があったわけではない。許認可権を握られている電力会社にとって権力に対する一つの立ち居振る舞いだった。漢方薬のように時間をかけて効果が出ることを期待していた」と強調した。
 関電広報室は「承知していない」と取材に答えた。(藤森かもめ、村山治)』
「漢方薬のように」って、どういうつもりで体によさ気に例えてるんですかね(苦笑)
『■元首相側は否定
 内藤氏が献金したと証言した7人の元首相側は取材に対し、「そのような事実はないと思う」「わからない」などと答えた。
  政治資金規正法は金権スキャンダルのたびに改正を重ねた。ロッキード事件後の1980年に政治家個人が受けた献金の収支報告が義務化され、リクルート事件 や東京佐川急便事件を受けて99年に政治家個人への企業・団体献金が禁止された。99年までは政治資金収支報告書に記載していれば問題ないが、記載の有無は取材で確認できなかった。』
政治資金収支報告書の記載は、取材では確認できなかったとされていますね。
元首相側もわからないと言ってないで調べろよと。
今後、どういうふうに暴かれていくのが興味を持っています。
『     ◇
■痛烈な自己批判、過去に例ない
 《歴史の関係者から話を聞き取る「オーラルヒストリー」第一人者の御厨貴東大客員教授の話》 電力を独占供給する巨大公益企業の政界工作を中枢の元役員が明かした衝撃の告白だ。これほど痛烈な自己批判は過去にない。歴史をこの国に記録として残そうとする勇気ある行為だ。
  関電は電気料金を使って政治家を値踏みし、政界のタニマチ的存在になっていた。巨額献金が独占支配を強め、自由化を嫌がる自己改革のできない組織にさせた に違いない。内藤氏は電力業界に誤りはないと信じてきたが、原発事故で過信だったと気づいた。関電にとって目指すべきモデルで超えるべき対象だった東電の 事故は、裏方仕事が国家のために役立つと信じてきた彼の価値観を画期的に変えたのだろう。
 電力を各地域の独占企業が担い続けていいのか。この告白は業界への戒めであり、世論への問いかけだ。』
そんなに痛烈な自己批判ですかねえ。
金額はどでかいですけど、歴史の新事実というほどのことではない報道、という感想です。古き良き時代はこういうこともやってましたよというぐらいで。
(原発利権を追う)金を渡すと角さんは「頂いたよ」:朝日新聞デジタル
『 芦原・内藤両氏は1987年に経営を私物化していると批判され、取締役を解任された。内藤氏は東京電力福島第一原発の事故を機に心境が変化したという。「なぜ今も汚染水をコントロールできないのか。地質調査をしたはずなのになぜ地下水の影響が大きい場所に原発を建てたのか
 「政府の監督の甘さがあった。長年築いてきた三者の関係に問題があった」とも感じ、自らの足跡をたどって戦後の政官電の関係を再考したいと思った。13年に90歳になったことも「実名告白」の背中を押したという。「死を意識するほど自分の歩んで来た道を思い出した。今まで口を割らなかったことを話す気持ちになった時に記者が来た。後世に役立つと思った」』
うーん。これだけじゃ、僕でも同じこと言えるんですよね。。。国民誰もが思ってることにすぎないわけで。
このじいさん、この報道を読むかぎり物足りないわ。