2011年4月1日金曜日

被災者への金銭的支援について

被災者への金銭的支援について

3月11日に発生した東北関東大震災は,これまでに例を見ない未曾有の大災害となっています。
こうした中,家族を失う,重篤な障害が残る,自分や家族が無事でも財産を失ってしまうなどで,今後の生活に不安を持たれている方は多いかと思います。
このような場合,法律的にはどのような手当てがなされるのでしょうか。災害時のみに適用されるものに絞ってご紹介します。

災害で死亡したり,重傷を負った被災者に対して支払われる弔慰金・見舞金などについては,災害弔慰金の支給等に関する法律が定めています。

災害で家族が亡くなった場合は,遺族が災害弔慰金を受け取ることができます。
金額は,亡くなった方が世帯主であれば500万円以下,世帯主以外であれば250万円以下となります。

災害によって重篤な障害が残った場合は,災害障害見舞金の給付を受けることができます。
金額は,障害が残った方が世帯主であれば250万円以下,世帯主以外であれば125万円以下となります。

さらに,被害の程度・所得合計額の要件を満たす世帯に対しては,災害援護資金の貸し付けがあります。
貸付限度額は原則として350万円で,貸付を受けるときには連帯保証人を立てる必要があり,これを10年以内に返すことになります。

そのうち据置期間である3年間は無利子,据置期間経過後は延滞の場合を除き利率年3%となります。
返済は1年に1回または半年に1回で,元利均等償還によることが原則ですが,繰上返済をすることもできます。
このように災害援護資金は,返済期間や利率などの点で被災者にも無理なく利用できる貸付制度となっています。

被災者への金銭的支援としてもう一つの重要な制度に,被害者生活再建支援法に基づく被害者生活再建支援金の給付制度があります。
この給付制度の対象となるのは,自然災害で居宅が全壊した場合,半壊のうちやむなく解体した場合や構造部分を大規模に修繕しないと居住が困難な場合(大規模半壊),自然災害による危険な状態が相当程度長期に継続することで居宅への居住が居住不能となる場合です。

金額は,単身世帯以外であれば100万円(大規模半壊は50万円)を基本の金額として,居宅を新たに建設・購入する場合は200万円,居宅を新たに補修する場合は100万円,賃借する(公営住宅を除く)場合は50万円の増額がされます。

危険の長期継続による居住不能の場合は,それに70万円が加算された額(ただし300万円を超えない)となります。単身世帯の場合は計算した額の4分の3となります。

支援金の申請は,原則として災害の日から13か月以内に,申請書に罹災証明書や世帯の住民票などを添えて,都道府県または委託を受けた支援法人に行うことになります。
ただし,居宅の建設・購入・修繕・賃借による加算額に関しては災害の日から37か月以内に申請すればよく,その際は居宅建設・購入・修繕・賃借などの契約書などを添えて行います。

また危険の長期継続による居住不能の加算額に関しては,避難勧告・立ち入り制限があってから通算して3年を経過した日から13か月以内に申請すればよく,特定長期避難世帯であることを証する書面などを添付します。

また,上記災害援護資金の対象とならない世帯でも,低所得世帯や障碍者・要介護者のいる世帯については,生活福祉資金制度による貸付を受けることができる場合があります。
災害に関する生活福祉資金は,災害を受けたことにより臨時に必要となる費用の貸付(福祉費)と,災害によって緊急一時的に生計の維持が困難になった場合の小口の貸付(緊急小口資金)に分かれます。

福祉費は,貸付限度額は150万円を目安とし,利率は連帯保証人を立てた場合は無利息(立てない場合は年1.5%),据置期間は6か月以内,返済期間は7年以内目安となっています。

緊急小口資金は,貸付限度額10万円で,無利息,据置期間2か月以内,返済期間8か月以内となっています。
そのほかの生活福祉資金には,総合支援資金,教育支援資金,不動産担保型生活資金があります。

これ以外にも,平時から存在する貸付制度としては,母子家庭や寡婦を対象とした母子寡婦福祉貸付金,年金受給者を対象とした厚生年金等担保貸付,労災年金担保貸付などがあります。

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