2011年4月11日月曜日

発電所敷地と活断層


原子力発電所の地震対策発電所敷地と活断層

原子力発電所では、地震の原因となる活断層を避けて、発電所を建設しています。
浜岡原子力発電所の敷地内には、断層が存在することが確認されていますが、詳細な地質調査の結果、地震を起こしたり、地震に伴って動くものではないことを確認しています。

敷地の地質・地盤調査

原子力発電所の建設用地を決める際には、徹底した地質調査をおこない地震の原因となる活断層を避けています。文献調査や空中写真による調査などをおこなって活断層を避け、地質調査やボーリング調査などにより活断層のないことを確認しています。
活断層を避ける調査として、建設予定地の敷地周辺を対象に、活断層の有無およびその活動性を調べるために、文献調査や地形・リニアメント(注1)調査などをおこないます。
そして、活断層を避けた原子炉炉心予定位置を中心にボーリング調査、試掘坑調査、弾性波探査、トレンチ調査などをおこない、建設予定地点に活断層がないことを確認するとともに、敷地内の地盤の状態を詳細に把握します。
【図解】敷地の地質・地盤調査
ボーリング調査敷地の地盤を構成する岩石などを棒状のコアとして連続的に採取し、これを観察して地質の状況を調査するものです。特に、原子炉建屋直下には5本以上のボーリングをおこないます。これにより、原子炉建屋および周辺の地質・地質構造、断層分布、岩質を把握します。
試掘坑調査地盤中にトンネルを掘り、地質の状況を直接観察するものです。これにより、原子炉建屋基礎地盤の地質・地質構造、断層分布、岩質を把握します。
弾性波探査人工的に弾性波を発生させ、これにより地質状況などを把握します。これは、地盤振動が、波(弾性波)として周囲に伝わっていく時に、その伝わり方が地盤の状況によって異なるために分かります。
トレンチ調査地表を溝状に掘り、掘削された溝の側面などの地質状況を直接観察するものです。これにより、断層の最終活動時期の解明および地層の年代測定をおこないます。
(注1)リニアメント:がけ、尾根の傾斜急変部、谷や尾根の屈曲などの地形的特徴が、直線またはそれに近い状態に配列している場合、その線状の地形をいいます。リニアメントの成因として、活断層によって形成される場合などが考えられます。

活断層の調査

過去の文献から、敷地周辺の地形、地質、地質構造を調べ、航空写真で地形の変化などを調べ、現地での地表・地質調査を踏まえて、活断層があるかどうかを判断します。
原子力発電所は、まず周囲の断層を文献や現地調査により詳しく調べ、活断層のない場所を選びます。
原子力発電所の敷地周辺(半径30kmの範囲とその周辺)の活断層については、既存の活断層分布図、研究報告書などの文献調査、および航空写真判読や音波探査などにより詳細な調査をおこない、直下に活断層のないことを確認しています。
活断層の調査イメージ画像
文献調査敷地周辺の地形・地質・地質構造に関する文献を調べます。
地形・リニアメント調査航空写真による地形の変位の調査、リニアメントの判読をおこないます。
地表地質調査文献調査、地形・リニアメント調査をもとに、現地で断層の活動性、長さなどについて詳細に調査します。
海域地質調査音波探査により海底の地形・地質・地質構造の調査をおこない、断層の分布状況や活動性、長さについて分析します。
活断層の評価建設予定地点周辺に存在する活断層の長さ、規模などを把握し大きな影響を与える可能性のある活断層を評価します。
活断層の判定は、主に地形学的および地質学的調査によっておこなわれることが多いですが、微小地震を含む地震観測資料と断層との関連を検討しておこなうこともあります。
あるリニアメントが断層であるかどうかを判定するためには、たとえば同時代にできた段丘などの広がりがある地形面または谷筋や稜線などの地形線を基準にして、それらがリニアメントの両側で食い違っているかどうかを検討し、リニアメントが断層に起因したものか否かを推定することができます。
また、ある断層が活断層であるかどうかを判定するためには、航空写真判読や地表地質調査をおこなって、断層がどの地質時代の地層までずらしているかどうかを検討します。
さらに、精度を高めるためにはボーリング調査、トレンチ調査や地質年代測定をおこなうこともあります。

敷地内の断層の様子

この岩盤は、安政東海地震や東南海地震などをはじめ、過去に発生した大きな地震の揺れを繰り返し受けていますが、こうした地震のときにもこの断層が動いていないことが確認されています。

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