放射圧力法
放射圧力法は、密閉された容器内で大量のX線光子が発生することで機能し、セカンダリーの核融合燃料を圧縮する。全体の大きさとプライマリーの特色として、2つの熱核爆弾が良く知られている。この一つはアイビー作戦の”マイク実験”であり、もう一つはB61型核爆弾のバリエーションである(巡航ミサイル用の)最新のW80型核弾頭である。マイク実験での放射圧力は7,300万バール(7.3テラパスカル)であったのに対し、W80では14億バール(140テラパスカル)にもなっている。 [9]発泡剤プラズマ圧力法
発泡剤プラズマ圧力法は、チャック・ハンセンにより開発段階で提案されたもので、これは熱核兵器の容器内に充填する発泡剤に関する調査資料(現在は機密解除されている)を基にしている。発泡剤を使用した熱核兵器の起爆構造は以下の様になる。
- プライマリー内のコアの周囲を囲んでいる高性能爆薬は、爆発すると核分裂燃料を臨界量まで圧縮し、核分裂連鎖反応を開始させる。
- プライマリーの核分裂によりX線が放射されるが、これは爆弾の容器部分により内側に反射され、ポリスチレンの発泡剤に放射される(X線の反射の意味については、下図を参照のこと)。
- X線を浴びた発泡剤は相転移を起こして高温のプラズマになり、これはセカンダリーに向かって行き”タンパー”を強力に圧縮し、”スパーク・プラグ”内で核分裂反応を始めさせる。
- プライマリー起源のプラズマ(外側)とスパーク・プラグ(内側)の両方から圧縮されることで、”重水素化リチウム”燃料は高温・高圧の熱核反応を起こす状態にまで加熱・圧縮される。また中性子の放射も受けることで、リチウム6の原子は2つの三重水素原子に分裂する。そして三重水素と重水素が核融合反応を始め、さらなる中性子と膨大な量のエネルギーを放射する。
- 核融合反応を始めた燃料は多量の高速中性子を発生し、これはウラン238で出来たタンパー、及び爆弾の容器に放射され、ウラン238は核分裂反応を始める(デザインによっては、全体の爆発エネルギーの約半分が、この核分裂反応によって発生する)。
しかしながら、トリウムやウランの様な大きい原子量の塩類を染み込ませたエアロゲル型材料は、プライマリーからのX線の高い吸収効果を発揮し、発泡剤のプラズマ圧力がセカンダリーを放射圧縮させることを可能にする。
タンパー・プッシャー蒸発圧力法
第3に提案された方法は、プライマリーによる圧縮機構がセカンダリーの外部層であるタンパー・プッシャー部や、重金属製の核融合燃料の容器に対し、強力なX線を放射しこれらを超高温にしてアブレーションさせる。これらの部分はセカンダリーの外側向けてに爆発的に膨張し、その反動でタンパーは内側へ凄まじい速度で押し込まれ、核融合燃料とスパーク・プラグ部分を強力に圧縮する。この計算方法をアイビー作戦のマイク実験に適用すると、タンパーが蒸発して膨張力する速度は秒速290km(およそマッハ850)になり、内側への圧縮速度は秒速400km(およそマッハ1,180)になる(タンパー・プッシャーの75%が蒸発すると仮定した場合。これは最も効率が良くなる条件である)。これがW80核弾頭の場合には、ガスの膨張速度はおよそ秒速410km(マッハ1,210)、内側への圧縮速度は秒速570km(マッハ1,680)になる。タンパーの蒸発による圧力を計算すると、マイク実験では53億バール(530テラパスカル)、W80では640億バール(6.4ペタパスカル)になる[9]。
0 件のコメント:
コメントを投稿