ブースト型核分裂兵器
米国の
W88核弾頭の構造予測図。これは、2ステージ型の核融合兵器であるが、第1段
(primary stage;上側の楕円形の部分) はブースト型核分裂爆弾である。"5.Boost Gas Cannister" が重水素
(Deuterium) ガスと三重水素 (Tritium) ガスのタンク。第1段のプルトニウム・コア (pit) の中空部に "Booster
Gas" の表示がある。
ブースト型核分裂兵器(
英:
boosted fission weapon)または、
ブースト型核分裂爆弾、あるいは
強化原爆は、通常は少量の
核融合物質を用いて余分な中性子を発生させ、核分裂の頻度を増加させることで、
早期発火(predetonation、または未熟核爆発 (fizzle yield))を防ぐとともに
核出力 (nuclear yield) を増強するタイプの核兵器(
爆縮型核分裂兵器)を指す。
この方式による核分裂(そして核出力)の増強効果をブースト、そのためのメカニズムをブースターと呼ぶ。核融合反応を利用するが、それによる発生エネルギーの増加はごく僅か、恐らく1%程度であり
[1]、その主な目的が核分裂反応の増強である点で
水素爆弾などの核融合兵器とは異なる。
ブーストによる早期発火の防止は、
原子炉級プルトニウム (reactor grade plutonium, RGPu) で核分裂兵器を製造する際の鍵となる技術でもある
[2]。また、同量の核物質であれば、この技術を用いることにより、より大きな威力を得られるので、核弾頭の小型化には不可欠の技術とされる
[3]。
このブーストというアイデアは、
1947年の秋から
1949年の秋の間に、
米国の
ロスアラモス国立研究所で初めて開発された
[4]。
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