2017年8月3日木曜日

長期内部被曝は猛毒性との通説に疑義を提起する資料

毒性

1945年以来、約10トンのプルトニウムが、核実験を通じて地球上に放出された。核実験による放射性降下物のため、既に世界中の人体中に1-2 pCi (0.037-0.074 Bq) のプルトニウムが含まれている[12]。また、核実験由来のプルトニウムが地表面の土壌に0.01-0.1 pCi/g (0.37-3.7 Bq/kg) 存在する[13]。このほか、原子力施設などの事故や、再処理工場からの排出[14]により、局地的な汚染が存在する。
プルトニウムの同位体は総て放射性である。このため、単体の金属プルトニウムならびにプルトニウム化合物は総て放射性物質である。化学毒性についてはウランに準ずると考えられている[15]。しかし、その化学毒性が現れるよりもはるかに少ない量で放射線障害が生じると予想されるため、化学毒性のみでプルトニウムの毒性を論ずることはできない[16][17]
プルトニウムの急性毒性による半数致死量は経口摂取で32 g、吸入摂取で13 mg[17][18]。長期的影響の観点では経口摂取で1150 mg、吸入摂取で0.26 mg(潜伏期間として15年以上)[19][20]である。また、プルトニウム239の年摂取限度(1 mSv/年)は、経口摂取で48 μg (11万 Bq) 、呼吸器への吸入では52 ng (120 Bq) である[21] プルトニウムは人類が初めて作り出した人工核種である[21]小出裕章は、α線源であるため放射線荷重係数が大きいこと、同じα線源である天然核種のウランなどと比べ半減期が短いため比放射能が高いこと、体内での代謝挙動(肺での不均等被曝は、発ガン性が極端に高くなる)の3点から「かつて人類が遭遇した物質のうちでも最高の毒性をもつ」と報告している[21]。プルトニウムの有害性は、体内に取り込んだ場合の内部被曝には特に留意すべきである。

体内摂取の経路と排出

プルトニウムを嚥下し消化管に入った場合、そのおよそ0.05 %程度が吸収され、残りは排泄される[22]。吸収された微量のプルトニウムは骨と肝臓にほぼ半々の割合で蓄積され、体外へは排出されにくい。生物学的半減期(体内総量が当初の半分になるまでの期間)はウランやラジウムと比べても非常に長く、一説には骨に50年程度、肝臓に20年程度と言われる[23][24]。放射線有害性は全てのα線源核種と同じであり、Puのみが特別というものでは無い。
最も有害な取り込み経路は、空気中に浮遊するプルトニウム化合物粒子の吸入である。気道から吸入された微粒子は、大部分が気道の粘液によって食道へ送り出されるが、残り(4分の1程度)が肺に沈着する。沈着した粒子は肺に留まるか、胸のリンパ節に取り込まれるか、あるいは血管を経由して骨と肝臓に沈着する[19][20]。そのため、他のα線・β線放射物質による内部被曝と同様に、IARC より発癌性があると (Type1) 勧告されている。また、動物実験では発癌性が認められているが、人においてはプルトニウムが原因で発癌したと科学的に判断された例はまだない[17]。α線源であるため、ICRPが定める線量係数[25][26]では 239Pu の経口摂取で2.5 × 10-7、吸入摂取で1.2 × 10-4と定められ、131I(経口摂取2.2 × 10-8)や 137Cs(経口摂取1.3 × 10-8)よりも1 Bq当たりの人体への影響が大きいと想定されている(一般には、α線はβ線よりも20倍の危険性があるとされている)。

長期内部被曝は猛毒性との通説に疑義を提起する資料

ATOMICA によると、米国での1974年までのデータとして、最大許容身体負荷量 (1.5kBq) の10-50 %摂取した例が1155例、同50 %以上が158例ある。このうち代表的な2例(世界大戦における原爆製造工場、冷戦期の兵器工場火災、でのPu含有ガス吸引)において、24年経過後で肺ガン『致死』は1名、42年経過後の『発症』では肺ガン3例と骨肉腫1例であった。これは被曝のない通常のグループよりも発生率が低い。ただ発症までの潜伏期が40-50年と長年であり、調査対象者も高齢化しており、疑わしい疾病を発症してもプルトニウムを病原と断定しにくいのも事実である。[20][27][28]

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