「東電、値上げよりコスト改革」賠償機構・吉川委員
- 2012/1/10 23:49
DOWAホールディングスの吉川広和相談役は日本経済新聞とのインタビューで、東京電力が4月から企業向け料金を上げる方針を示したことに「東電の高コスト体質の改革が先決。いまの状態で値上げを議論することは早計だ」と批判した。吉川氏は東電の損害賠償を支援する原子力損害賠償支援機構の運営委員でもあり、値上げ方針に影響する可能性もある。
原子力損害賠償支援機構運営委員の吉川広和DOWAホールディングス相談役
吉川氏は「燃料費アップを考えると値上げが避けられないことは認識している」としながらも「東電の改革がどのくらい進むか、原子力発電所が再稼働できるのかも考えないと上げ幅が決まらない」と指摘した。
そのうえで「値上げは企業や国民など顧客への負担のお願い。銀行、株主などほかの利害関係者の負担と並行してお願いする必要がある。経営責任もハッキリさせなければならない」と述べ、経営責任なども併せて示すべきだとの認識を示した。
東電が「自由化した企業向け値上げは経営判断」と主張したことには「企業には電気の代替調達先がなく交渉の武器がない。一方的に値上げをのまされるのが実態だ」と指摘。「自由化後に値上げになった企業も多い。当社はこの6年間に40%近い値上げだ。日本の電気料金は米国の2倍、韓国の3倍。値上げすれば企業のさらなる海外流出は避けられない」との見方を明らかにした。
家庭向け値上げの申請については「3月に総合特別事業計画をまとめて『新生東電』の見通しがついた時点にすべきだ。明確な根拠がなければ納得できない」と語った。
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