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2022年4月29日金曜日

チェルノブイリの遺体は腐らない

 

チェルノブイリの遺体は腐らない?象の足とは?現在についても

1986年に起きたチェルノブイリ原子力発電所事故では、即死する象の足や赤い森も出現しました。遺体が腐らないという噂もあり、奇形動物も生まれたようです。今回はチェルノブイリについて、現在の様子や福島との比較を含めて遺体が腐らない理由を解説します。

目次

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チェルノブイリの遺体は腐らないの?

darksouls1 / Pixabay

世界最大の原子力事故が起きたチェルノブイリ原子力発電所。事故から30年以上が経過した今でも生活や自然は元通りにはなっていません。

今でも人が踏み入れることのできない地域が存在しており、影響の大きさが垣間見えます。そんなチェルノブイリでは、亡くなっても遺体が腐らないと言われています。

今回は事故の原因や状況を含め、本当に遺体は腐らないのかについて紹介します。

チェルノブイリとはどんな場所?

WikiImages / Pixabay

チェルノブイリという言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。その当時まだ生まれてなくても、歴史の授業などで習うとても重大な事故だからです。

事故の概要を紹介するとともに、チェルノブイリがどのような場所であったのかを紹介します。

チェルノブイリは原子力発電所

12019 / Pixabay

チェルノブイリはウクライナ・ソビエト社会主義共和国の中にあった原子力発電所です。現在のウクライナのキエフ州プリピャチに位置しています。

1971年に着工、1978年から稼働し始めました。当時の正式名称は「V・I・レーニン記念チェルノブイリ原子力発電所」でした。

1991年のソ連崩壊によって「チェルノブイリ原子力発電所」に変更されました。事故後も国の電力を賄うために1〜3号炉は運転を続け、2000年12月に停止となりました。

1986年に原子力事故が起きた

code404 / Pixabay

原子力事故が起きたのは、1986年4月26日1時23分のことです。当時、4つの炉が稼働しており、そのほかの2つの炉は建設中でした。

前日の4月25日に4号路は保守点検に向けて原子炉を止める作業をしており、この機会にいくつかの試験を行う予定でした。

実験中に事故が起きて爆発や火災が起きた

原子力事故が起きたのは、緊急時にタービン発電機の慢性回転で所内の電源を確保できるかとうい実験中でした。突如爆発が起こり、その後火災が発生しました。

事故は様々な要因が重なって起こったものだとされており、安全装置を無効化していたことや根本的設計が欠如していたことなどが挙げられています。

火災自体は26日5時ごろに収まりましたが、5月3日に日本でも雨から放射性物質が検出されるなど北半球の広範囲に影響を及ぼしました。

チェルノブイリでの死者数は?

artbejo / Pixabay

チェルノブイリ原子力発電所事故では、急性放射線障害によって作業員28名が亡くなり、2010年末までに22人が亡くなりました。

事故が直接の原因となって亡くなったのは50人ですが、汚染された牛乳を飲んで亡くなったのは9人、軍人や炭鉱労働者からも多数の死者が出ています。

放射線によって長期的に見ると死者数はそれ以上となることが予想されており、把握しきれていないのが現状です。

近づくと即死する象の足

sasint / Pixabay

象の足とは、4号炉で事故から8ヶ月後に発見された炉心溶融物の塊の通称です。ドリルでも壊せないほど硬く、見た目の黒さやシワの多さから象の足に例えられました。

象の足は主に二酸化ケイ素から成り立っており、放射線量がかなり高く、5分間の被曝でヒトの半数致死線量に達するほどです。現在は放射性崩壊で危険性が少し弱まりました。

近づくと即死するほどの威力があり、一時は地下水に到達して飲み水に影響が出ると懸念されていました。

チェルノブイリの遺体は腐らないのは本当?

othebo / Pixabay

チェルノブイリの事故で亡くなっても、放射線の影響で遺体が腐らないと言う噂があります。実際に遺体が腐っていなかったのを目撃した作業員も少なくありません。

では、本当に放射線の関係で遺体は腐らないのでしょうか。

放射線の関係で腐らない?

fietzfotos / Pixabay

遺体が腐らないというのは本当ですが、これが放射線の影響であるとは言い切れません。専門家によっても意見が分かれているようです。

放射線の影響で腐敗を進める菌が生存できない、寒い地域なので腐敗のスピードがゆっくり、亡くなった人はセメントで固められたので腐敗しないなど様々な見方ができます。

未発見の遺体がまだある

ArtTower / Pixabay

先ほど死者の数を紹介しましたが、実際に全員把握できているわけではありません。未発見の遺体も多いことが予想されており、特に4号炉で作業していた人は跡形もなく溶けてしまった可能性もあります。

亡くなった作業員などが埋められて放射線が漏れ出ないようにセメントで固められたため、その中に身元不明の遺体も混じっています。

チェルノブイリで作業した人の体験談

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チェルノブイリの爆発によって辺りは住民が全員避難させられるほど危険な状態でしたが、その中でも懸命に作業を続ける人が多くいました。

防護服を着ていても被爆の可能性は高く、まさに命をかけて仕事をしていたのです。そんな彼らがチェルノブイリでどのようなものを見たのでしょうか。

犬の死体が腐っていなかった

Free-Photos / Pixabay

放射線の影響からか、犬の死体が腐っていなかったのを見た人もいます。無人の家にいたその犬は外部被曝も内部被曝も起こしていました。

内部被曝は被曝したネズミなどを食べて生き延びていたためであると思われます。数日その家を訪れると犬はなくなっていましたが、体はミイラのように腐敗は進んでいなかったようです。

巨大化したネズミがいた

Alexas_Fotos / Pixabay

果樹園は放射線の影響があるため、人間は1つも食べることはできません。食べると内部被曝を起こし、死ぬ可能性が高いためです。

しかし動物たちは人のいなくなった果樹園を住処にしていました。果樹園を訪れた作業員は、そこで巨大なハツカネズミや猫ほどの大きさになったドブネズミを目撃しています。

作業員も被ばくした

Martinelle / Pixabay

作業員は防護服に身を纏い、口にはマスクを着用して放射線を浴びないようにしていました。しかし放射線濃度が高すぎるため、被曝してまった作業員は多くいます。

最初の頃は放射線の怖さが浸透しておらず、軽装で作業にあたっていた人が多いことも原因となっています。最新機械を導入するよりも人件費が安いため、大量の作業員が派遣されました。

頭痛や吐き気、発熱、衰弱などの体調不良を起こし、作業が続けられないほどだったようです。自覚症状がなくても作業から数日後に亡くなってしまった人もいます。

胎児がミイラ化していた

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放射線の影響を受けたのはそこで生活していた人間や動物たちだけではありません。母のお腹の中で育っていた胎児たちも放射線の影響を受けていました。

事故後、奇形児が生まれないために妊婦に中絶が勧められました。中には8か月などもう少しで生まれてくるような、完全に赤ちゃんの形になっている胎児もいたようです。

そのため病院には多くの胎児の遺体が保管されていました。事故から1年半以上経って発見された胎児たちはミイラ化しており、腐敗は進んでいませんでした。

チェルノブイリのその後は?

hudsoncrafted / Pixabay

火災は2日ほどで収まりましたが、最も被害を大きくしたのは放射線です。目に見えないため、即死でなくても気づかないうちに被曝していることが多く、忘れた頃に影響が出始めることも多くあります。

ここでは、被曝による影響について紹介します。

原子爆弾の10倍の威力があり近づけない

Free-Photos / Pixabay

事故によってメルトダウンを起こしたため、貯水槽のパイプを開ける必要がありました。この任務を遂行したボランティア3人は命を落としましたが、彼らのおかげで大規模爆発は起こりませんでした。

この時に爆発が起きていれば、原爆の10倍もの威力であったとされる非常に怖いものです。放射線だけでなく爆発の影響でヨーロッパ全土が失われていた可能性もあるほどの規模です。

爆発は起らなくても、1時間毎に広島に落とされた原子爆弾の2倍の放射線量が放出していました。

放射能レベルが15000

チェルノブイリ原子力発電所事故の放射能レベルは15000とされています。爆発が起きた直後に測った時は3.6と安全圏内でした。

清掃員が派遣されて爆発の処理が行われていましたが、実際には15000と人が近づいてはいけないレベルだったのです。

目の色が変わる人がいた

Free-Photos / Pixabay

放射線の影響で、目の色が変わったケースも報告されています。地元の消防士だったバルディミア・プラヴィックは元々茶色の目をしていました。

しかし高レベルの放射線汚染を受けた結果、青色に変化してしまったようです。報告されていないだけで、他にも目の色が変わった人がいる可能性も大きいです。

ガン患者が増えた

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放射線はすぐに症状が出ず、何年後かに突然出てくる場合もあります。特に事故発生当時子供だった人が小児甲状腺癌になる可能性が高いことが発表されました。

甲状腺癌は6,000件以上報告されており、早期発見・早期治療が望まれています。子供に多いのは、汚染されたミルクを通じて甲状腺に影響を与えたためと言われています。

チェルノブイリ付近の森は赤い森になった

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チェルノブイリ原子力発電所の周辺には針葉樹林が広がっています。特に西側にある森は最も深刻な放射線汚染を受けており、赤く変色してしまいました。

その見た目から「赤い森」と呼ばれるようになりました。今も赤い森のままであり、いつ緑の針葉樹林が観られるかは分かっていません。

奇形動物も現れた

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放射線の影響のひとつとして、奇形動物の出現があります。特にげっ歯類や鳥類で奇形動物が現れる可能性が高く、遺伝子レベルで放射線が影響を与えていることが明らかになっています。

中には4つの角を持つ牛や目の大きさがスイカ並みに大きい豚が目撃されたとの情報もあります。

チェルノブイリの現在は?

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チェルノブイリは今も放射線汚染の影響が強い地域もあり、事故から30年以上が経った今でも人間は戻ってきていない場所があります。

では、現在のチェルノブイリはどのような感じなのでしょうか。

立ち入り禁止区域に動物が住んでいる

sasint / Pixabay

今も人間が立ち入り禁止となっている範囲は広いですが、野生の動物たちは戻ってきているようです。人がいないことで狩りが行われず、自然も破壊されないため、むしろ動物の生息数は増加しています。

事故前は希少動物とされていた種までも増殖しており、放射線以上に人間が動物の生態系を壊していたことがよく分かります。

現在も作業が行われている

MichaelGaida / Pixabay

原子力発電所としての役目は完全に終えましたが、今でも作業が引き続き行われています。作業員たちは年間およそ20ミリシーベルトの放射線を浴びていますが、国からの補償はありません。

給与も特別高いわけでなく、近くに仕事ができる場所が少ないため、生活のために作業員を選んでいる人も多くいます。

また、立入禁止区域内でも自己責任で戻ってきて生活を営んでいる人もいます。高齢者は特に住んでいた場所を離れたくないという思いが強く、高齢化も問題となっています。

チェルノブイリの制御室が一般公開された

SplitShire / Pixabay

2019年、今まで非公開となっていたチェルノブイリ原子力発電所4号炉の制御室が一般公開されました。防護服を着た状態であれば5分間の入室が許されます。

この場所はメルトダウンを起こした炉を操作していたところであり、原子力発電所事故の要であった重要な場所です。

いまだ放射線量は高いためリスクはありますが、これを機にチェルノブイリへの観光客が増え経済が少しでも潤うことが期待されています。

チェルノブイリと福島原発はどちらがすごかった?

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日本人にとって福島の原子力発電所事故は記憶に新しいでしょう。チェルノブイリの事故が規模の大きなものであることは分かりますが、どこか遠い場所の話程度に捉える人もいます。

様々な指標によって変わるため、一概に比べることはできませんが、チェルノブイリと福島を比べてみて、どちらがひどいのでしょうか。

福島原発のほうが規模が小さかった

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チェルノブイリより福島の方がひどかったと言われることも多いですが、規模だけを比べてみると福島の方が小さいです。福島の原子力事故で地面が汚染された面積は、チェルノブイリの1/10ほどです。

また、放射線の量も10〜20%程度であることがわかっています。被害についても迅速な対応や偶然が重なり、小さく抑えられました。

福島の国際原子力事象評価尺度は最悪のレベル7

StockSnap / Pixabay

国際原子力機関と経済協力開発機構原子力機関が策定した「国際原子力事象評価尺度」では、チェルノブイリも福島も最悪レベルの7とされています。

基準としては放射性物質の重大な外部放出があること、再建不能なほど原子炉や放射性物質障壁が破壊したことなどです。福島はチェルノブイリより規模が小さかったとは言っても、世界最悪レベルの事故でした。

NEXT:福島原発にも動物が増えている

2019年12月20日金曜日

放射性廃棄物

放射性物質

概要

放射性廃棄物はその定義から放射性物質を含む、すなわち人間にとって有害な放射線を放出しておりその取り扱いには一般に注意を要する[4]。一口に放射性物質といっても発生源及びその性質などに応じて分類され処分方法も変わってくる[5]
日本の国内法においては、核燃料物質であるかそれ以外の発生の放射性同位元素(radioisotope:RI)であるかの違いによってその取り扱いを規定する法律は異なる。なお、日本においては、放射性廃棄物は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律で定義される「廃棄物」には原則として該当しない[6]。ただし、その放射性物質を含む廃棄するものの放射能のレベルがクリアランスレベル以下または規制除外対象であるなどといった場合は、法定上は放射性廃棄物とはみなされず産業または一般廃棄物として処理される。
原子力発電所から出る放射性廃棄物の場合、原子炉から取り出した使用済み核燃料[7]や、作業員が使用した衣服やこれの除染に用いた水など多岐に渡る。使用済み核燃料は一時保管した後、再処理工場に運ばれる。再処理工場からは、燃料棒の部品、また燃料棒のペレットに含まれる核分裂反応による生成物(核分裂生成物)や、湿式によるウランプルトニウムの分離抽出の過程で発生した廃液などの放射性廃棄物が発生する。発生別により、ヨウ素を閉じ込めるための廃銀吸着剤、二次廃棄物(MOX燃料施設から発生するものも含む)等の内、ウラン燃料を加工する施設から発生するウランで汚染された廃棄物は特にウラン廃棄物と呼ばれる[8]

日本における放射性廃棄物の分類

法令に基づいた分類

日本においては、法律に基づいて、放射性廃棄物は(a)核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律に言う放射性廃棄物[9](以下、核燃料廃棄物という)と、(b)それ以外の法律によって規制される放射性廃棄物(以下、RI廃棄物という)に大別することができる。さらにRI廃棄物は
(b-1)放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律における研究分野からのRI廃棄物(以下、研究RI廃棄物という)と、
(b-2)医療法薬事法獣医療法及び臨床検査技師等に関する法律における医療分野からのRI廃棄物(以下、医療RI廃棄物という)
に分けることができる[10]
特別措置法によるもの
平成22年度までは法的には概ね上記のように分類されていたが、平成23年3月11日に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(放射性物質汚染対処特措法)が公布および施行されることとなり、その中で言う(c)特定廃棄物(指定廃棄物及び対策地域内廃棄物からなる)と呼ばれる放射性廃棄物の分類が新たに導入されることとなった[11]

IAEAの分類を参考にした慣習的な分類

日本において放射性廃棄物は、慣習的に、使用済み核燃料の再処理における溶解に使った硝酸を主とする廃液及びその固化体のみを指す高レベル放射性廃棄物(High Level Waste、HLW[12]と、それ以外のものを指す低レベル放射性廃棄物[13]の二つに分類される[14]。なお、低レベル放射性廃棄物は、その中でアルファ放射体[15]を多量に含むものはアルファ廃棄物もしくはTRU廃棄物[16]と呼ばれさらに区分される[17]

「放射性物質として扱う必要の無い物」に関する制度・概念

放射性廃棄物とは、使用済みの放射性物質及び放射性物質で汚染されたもので以後の使用の予定が無く廃棄されるものを言うが、放射線の検出は物理現象の中でも最も鋭敏に検出できるものであることから、極端なことを言えばすべての廃棄するものを放射性廃棄物とすることができる。しかし、この場合、規制の対象となるものは膨大となり、規制制度自体が機能しなくなることにつながる。
このように、放射線防護に関する規制の枠組みの中にある放射性物質であっても、その規制自体をうまく機能させるためには、その量が微量であり人の健康に対する影響が無視できる、または規制をしても効果がほとんどないなどといった場合は、それを放射性物質として扱う必要の無い物としてその規制の枠組みから外しても良いという制度や概念が必要となる。
放射性物質を含んでいて廃棄するものであっても、それら制度や概念を適用することにより条件によって放射性廃棄物として規制外となれば、例えば廃棄物処理法でいう「廃棄物」として埋設処分するなど[18]といったことができるようになる。

クリアランス(clearance)または規制免除(exemption)

人工放射性物質に起因する被曝線量が「自然界の放射線レベルと比較して十分小さく」また「人の健康に対するリスクが無視できるものである」ならば、規制の枠組みから外しても良いという考え方をクリアランス(clearance)と呼ぶ[19]。また、放射性物質として扱う必要のないものを区分するレベルをクリアランスレベル(clearance level)と呼ぶ[20]
クリアランス制度が適用される放射性物質を含むものは、その定義より人の健康に対するリスクは無視できる程度であると言うことができる[21]
日本においては1997年から原子力安全委員会は、IAEAの技術文書[22]に示されたクリアランスレベル算出の考え方に基づき、発電用原子炉(軽水炉、ガス炉、試験研究炉)などを対象として委員会報告書をとりまとめた[23][24]

規制除外(exclusion)

自然放射性物質[25]による被曝のように「規制が不可能で規制のしようがない」または「規制をしても効果がほとんどない」ならば、規制の対象にしないことを規制除外(exclusion)と呼ぶ[26]
規制除外廃棄物は、その定義から規制の対象とはならないが、かといってクリアランス制度の対象とは限らないので人の健康に対するリスクが無視できる程度の廃棄物とは言い難い。

核燃料廃棄物の処理・処分

核燃料廃棄物は、便宜上その発生源に応じてさらに次のように分類される[27]
発電所廃棄物:原子力発電所の運転、保守、解体に伴って発生する廃棄物をいう[28]
高レベル放射性廃棄物:使用済み核燃料の再処理における溶解に使った硝酸を主とする廃液及びその固化体をいう。
TRU廃棄物MOX燃料加工や使用済み核燃料再処理の運転・保守の結果発生する超ウラン元素(TRU)で汚染された廃棄物をいう[29]
研究所等廃棄物:発電所ではなく、大学や研究機関の研究開発活動において核燃料物質で汚染された廃棄物をいう。
このうち、人の健康に重大な影響を及ぼすおそれがある高レベル放射性廃棄物と極めて長寿命核種からなるTRU廃棄物は、深い地層への地層処分(第一種廃棄物埋設)が計画されている。ほか、発電所廃棄物については、それらの物性により三段階の地表近くの処分がされることとなっている[30]

第二種廃棄物埋設:低レベル放射性廃棄物の処分方法

低レベル放射性廃棄物の処分(第二種廃棄物埋設)には余裕深度処分浅地中ピット処分浅地中トレンチ処分の三つの処分方法がある[31]。トレンチ処分を除く処分はいずれも遮断型処分ではあるが、人工構造物(人工バリア)による完全な放射能の遮断を管理期間中継続させることは困難である。放射能の漏洩による影響を最小限にするために場所(地質・地層、水脈など)および地中深度などが考慮され処分基準となっている。

余裕深度処分

一般的であるとされる土地利用(住居などの建設)や地下利用(地上の構造物を支持する基盤の設置、地下鉄、上下水道、共同溝や地下室としての利用など)に対して十分に余裕を持った深度(地下50〜100メートル程度)に、コンクリートでトンネル型やサイロ型の人工構築物を作り、廃棄物を埋設する方法を余裕深度処分と呼ぶ。シュラウド[32]、チャンネルボックス[33]、使用済み制御棒など主に原子炉の廃止措置に伴って発生する放射能レベルが比較的高いものが対象となる[34]。管理期間は数百年。処分・管理方法等については調査中である。
日本原燃六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センターにて次の三号施設として調査中。

浅地中ピット処分

浅い地中(地下約10メートル)にコンクリートピットなどの人工構築物を設置し廃棄物を搬入後、その構築物ごと埋設する方法を浅地中ピット処分と呼ぶ。濃縮廃液や使用済みイオン交換樹脂、可燃物を焼却した焼却灰などをセメントなどでドラム缶に固形化したものなど、主に原子力発電所から排出される放射能レベルの比較的低いものが対象となる[35]。埋設後の管理期間は300〜400年が一つの目安とされている。
日本原燃六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センターで一号・二号施設が1992年より稼働している。

浅地中トレンチ処分

浅い地中に素掘りの溝、つまりトレンチ(trench)を掘り、そこにそのまま(人工構築物は設けない)廃棄物を定置することにより埋設処分を行う方法(いわゆる単純な埋め立て)を浅地中トレンチ処分と呼ぶ。コンクリートや金属など、化学的、物理的に安定な性質の廃棄物のうち[36]放射能レベルの極めて低い極低レベル放射性廃棄物が対象である[37]。50年程度の管理期間を経たのち、一般的な土地利用が可能になる[38]
動力試験炉(JPDR)の解体に伴って発生した廃棄物を処分するために、日本原子力研究開発機構東海研究開発センター原子力科学研究所・廃棄物埋設施設にて1995年より試験的に実施されている。

第一種廃棄物埋設:高レベル放射性廃棄物等の処分方法

核燃料廃棄物の内、高レベル放射性廃棄物及びTRU廃棄物は地層処分(第一種廃棄物埋設)されることとなっている。特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律に基づき原子力発電環境整備機構(NUMO)が実施主体となって処分する。
なお、高レベル放射性廃棄物の処分については様々な方法が検討された。海洋投棄(かつて各国で実施されたが1993年に全面禁止)、地上施設による長期保管(未実施、ただし一時的な中間貯蔵施設は除く)、氷床処分(禁止)、宇宙処分(大気圏外にロケットで打ち上げ太陽系の引力圏外に放出する、もしくは太陽の重力に引き寄せさせる方法。かつて米が検討したがコストと不確実性から不採用)、地中直接注入(米、ソが実施)[39]などが検討され、このうち海洋投棄と地中直接注入処分は実施された[40]。21世紀初頭においては地中埋設処分が各国で採用されている。

RI廃棄物の処理・処分(研究施設等廃棄物の処理・処分)

原子力施設や核兵器関連施設以外にも、原子力の研究施設や大学、医療分野や民間産業分野、農業分野などでも放射性物質を使用する場合があるので、放射性廃棄物は発生する。
RI廃棄物に含まれる代表的な放射性核種は、研究RI廃棄物としては 3H、14C、32P、35S などであり、医療RI廃棄物としては、99mTc、125I、201Tl などである。RI廃棄物(研究RI廃棄物および医療RI廃棄物)の大部分はRI協会が集荷し貯蔵している[41]。RI廃棄物等の処分については、2008年に処分実施主体が日本原子力研究開発機構に決まり、法律も改正されることとなった[42]

放射性物質汚染対処特措法に規定される特定廃棄物等の処理・処分

東京電力福島第一原子力発電所の事故により大気中に放出された放射性物質による環境の汚染が生じることとなった。これによる人の健康または生活環境に及ぼす影響を速やかに低減するため、平成23年8月30日にいわゆる放射性物質汚染対処特措法が公布された(平成24年1月1日に全面施行)[43]
この特措法に基づき、環境大臣が指定を行う、事故由来放射性物質による汚染状態が8,000 Bq/kg を超える廃棄物は指定廃棄物と呼ばれる。その処理にあたっての環境への影響については、1都15県のごみ焼却施設についてデータを収集・分析したりなどした上で、国立環境研究所[44]によって確認されている[45]

脚注

  1. ^ 長崎・中山(2011) p.4
  2. ^ 原子力発電所および核燃料製造施設、核兵器関連施設などから排出される
  3. ^ 病院の検査部門から出るガンマ線源の廃棄などで排出される。
  4. ^ 放射性廃棄物を含め、放射性物質はある程度の時間(半減期)が経過すると放射能が弱くなり、やがては大部分が安定した物質に変化する性質を持つ。半減期と単位時間当たりの放射線量は反比例し、半減期の長い物質は単位時間当たりの放射線量は少ない。半減期は放射性核種により異なる。
    放射性物質の中には、半減期が極めて長いものも存在する。放射性物質の量は半減期を経過すると元の半分になるが、残った放射性物質がさらに半分(つまり元の1/4)になるのにも、同じだけの期間が掛かる。たとえば、半減期が約12年であるトリチウムの場合、24年後に崩壊が終わり消失するわけではない。12年後に元の量の50%、24年後に25%、36年後に12.5%…と量が減り限りなくゼロに近づくのみで、同時にトリチウムが崩壊してできる安定同位体、ヘリウム3が生成されていく。ウラン等の原子番号の大きい物質は、崩壊後の物質も放射性物質(娘核種)になるため、含まれる全ての放射性元素が崩壊を終え、鉛などの安定同位体に落ち着くまでは、非常に長い期間を要するものもある。
  5. ^
    放射性廃棄物の区分と処分方法
    廃棄物の種類 廃棄物の例 発生源 処分方法
    高レベル放射性廃棄物 ガラス固化体 再処理施設 地層処分
    低レベル
    放射性
    廃棄物
    高レベルの物 制御棒、炉内構造物、
    放射化金属
    原子力発電所 余裕深度処分
    低レベルの物 廃液、フィルター、廃器材、
    消耗品等を固形化
    浅地中ピット処分
    レベルの極めて低い物 コンクリート、金属等 浅地中トレンチ処分
    超ウラン核種を含む廃棄物
    (TRU廃棄物)
    燃料棒の部品、
    廃液などプロセス廃棄物、
    フィルター
    再処理施設
    MOX燃料加工施設
    特性に応じトレンチ処分以外の3段階
    ウラン廃棄物 消耗品、スラッジ、廃器材 ウラン濃縮
    燃料加工施設
    特性に応じ全4段階の処理
    研究所廃棄物
    大学・企業等
    研究機関
    放射性同位体(RI)
    廃棄物

    医療機関等
    放射性廃棄物の処分方法
    処分方法 廃棄物の例 封入容器 人工構造物 深度 管理期間
    地層処分 高レベル放射性廃棄物
    およびTRU廃棄物
    ガラス固化体キャニスター 多重人工バリア
    鉄筋コンクリート構造物
    300m以深 数万年以上
    余裕深度処分 制御棒、炉内構造物
    放射化金属および加工・再処理における
    プロセス廃棄物等
    200リットルドラム缶等 鉄筋コンクリート構造物 50~100m 数百年、
    管理内容未定
    浅地中ピット処分 廃液、フィルター
    廃器材、消耗品等
    セメント等で固化した廃棄物を入れた
    200リットルドラム缶等
    鉄筋コンクリート構造物 十数m 約300年
    浅地中トレンチ処分 ンクリート、金属等 廃棄物のまま 人工構造物無し
    約50年
  6. ^ 廃棄物処理法第二条一項
    (定義)
    第二条  この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。
  7. ^ 日本においては使用済み核燃料は再処理の方針により廃棄物には分類されないが、再処理の方針をとらない国では高レベル放射性廃棄物に区分される。
  8. ^ 軍事分野では、同様の廃棄物として、核兵器製造過程で生じた廃棄物や、耐用年数を過ぎ廃棄処分となった核兵器、耐用年数を過ぎ廃艦処分となった原子力潜水艦原子力空母などがある。
  9. ^ 法律本体では「放射性廃棄物」ということばは使われておらず、「核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物」で「廃棄しようとするもの」という言い回しで示されている。
  10. ^ 取扱い(1994) p.3、1.RI・研究所等廃棄物を巡る状況(文部科学省)長崎・中山(2011) p.29
  11. ^ 放射性物質汚染廃棄物とは
    なお、それぞれの定義条文は以下のとおり
  12. ^ IAEAの分類とは異なり、再処理廃液及びその固化体と同等の強い放射能を有する放射性廃棄物は含まれない。すなわち、高レベル放射性廃棄物はすべて核燃料廃棄物である。
  13. ^ 高レベル放射性廃棄物以外の放射性廃棄物が低レベル放射性廃棄物ということである。すなわち、ほとんどすべての放射性廃棄物は、その放射能の強度に関わらず、低レベル放射性廃棄物にあたる。
  14. ^ 土井(1993) p.42
  15. ^ アルファ線を放出する核種
  16. ^ 超ウラン元素(TRans-Uranium)を多量に含む放射性廃棄物をTRU廃棄物と呼ぶ。
  17. ^ 土井(1993) p.42
  18. ^ 当然、資源としてリサイクルできるのであれば再利用する。
  19. ^ 長崎・中山(2011) p.66
  20. ^ クリアランスによりリサイクルされるものは一般社会に流通されることになるため、クリアランスレベルは国によって大きく異なることのないよう、国際的な整合性が必要であることから、国際原子力機関(IAEA)及び欧州委員会(EC)を中心にクリアランスレベルの検討が進められている。 長崎・中山(2011) p.66
  21. ^ 例えば、放射性セシウム(セシウム放射性同位体)であれば、そのクリアランスレベルは1kgあたり100 Bq(0.1Bq/g)である。
  22. ^ TECDOC855(1996)
  23. ^ 原子炉クリアランス(1999)
  24. ^ ウラン取扱施設のおけるクリアランスレベル以下の廃棄物は、平成62年度末(2051年3月末)には約10万トン、その内7.9万トンは金属と想定されている。(福島原発事故による廃棄物は含まれていない)これらの金属の発生源はウラン濃縮工程の遠心分離機や燃料加工施設の焙焼・還元装置、成形加工装置、焼結装置、研削機械などである。金属の再利用の際の溶融では、放射性核種の内超ウラン元素は99.4~99.8%がスラグへ濃縮されると報告されている。例外はMn54、Fe55、Co60、Ni63、Zn65(ガスとインゴットで半々)、Nb94等でこれらの同位元素は大半がインゴットに残留する。
    原子力安全委員会:「クリアランスレベル以下の金属廃棄物」 閲覧2011-11-21
  25. ^ NORM : Naturally Occurring Radioactive Materials と呼ばれる。なお、NORMのうち人為的に濃度が高められた自然放射性物質はTENORM(Technologically Enhanced NORM)と呼ばれる。 長崎・中山(2011) p.67
  26. ^ 長崎・中山(2011) p.67
  27. ^ 長崎・中山(2011) pp.6-7, pp.28-29
  28. ^ 例:放射線管理区域などで中性子を吸収して放射化されたものや、炉心付近の資材、廃止措置が取られた発電所の解体に伴う廃棄物など
  29. ^ 例:再処理工場から発生する核燃料被覆管(ハル)、使用済燃料構造部材の端末部分(エンドピース)など
  30. ^ 日本原燃「低レベル放射性廃棄物の処分方法」
  31. ^ 核燃料物質又は核燃料物質によつて汚染された物の第二種廃棄物埋設の事業に関する規則の第一条の二にてそれぞれ定義されている。
  32. ^ シュラウド(shroud)とは、沸騰水型原子炉の炉内構造物の一つで、炉心部を構成する燃料集合体や制御棒を内部に収容する円筒状の構造物を言う。
  33. ^ 燃料集合体を覆っている金属製の角筒をチャンネルボックス(channnel box)と呼ぶ。
  34. ^ 長崎・中山(2011) pp.128-130
  35. ^ 長崎・中山(2011) p.127
  36. ^ すなわち、放射能レベルが極めて低い廃棄物の中でも有害な化学物質を含むものは対象外である。
  37. ^ 長崎・中山(2011) p.126
  38. ^ ATOMICA「トレンチ処分」
  39. ^ 地中直接注入 (Direct injection) とは、液体もしくは粉体を混ぜた流体の放射性廃棄物を、処分に適した地中に高圧で注入する処分方法である。1957年にソ連が調査を開始し、深度400メートルと1400メートル砂岩層、石灰岩層へ40年に渡り数千万立方メートルの低レベルから高レベル放射性廃棄物を注入処分した。アメリカでも、1970年代に10年間に渡りテネシー州のオークリッジ国立研究所の地下300メートルに7500立方メートルの低レベル放射性廃棄物が注入処分したが、環境汚染への懸念から中止した。高レベル放射性廃棄物の処分も検討されたが、これも汚染への懸念から計画は断念された。
    世界原子力協会 “Storage and Disposal Options”
  40. ^ 世界原子力協会 “Storage and Disposal Options”
  41. ^ 長崎・中山(2011) p.28
  42. ^ 独立行政法人日本原子力研究開発機構法の一部を改正する法律
  43. ^ 放射性物質汚染廃棄物とは(環境省)
  44. ^ 国立環境研究所は従来より東日本大震災の被災地支援のための研究・支援を重点的に行っている。災害環境研究への取り組み
  45. ^ 概要版 p.3

参考文献

全般
  • 長崎 晋也、中山 真一(共編)『放射性廃棄物の工学』オーム社〈原子力教科書〉、2011年。
  • 広瀬 研吉『わかりやすい原子力規制関係の法令の手引き』大成出版社、2011年。
核燃料廃棄物
RI廃棄物(研究施設等廃棄物)
特定廃棄物(指定廃棄物、対策地域内廃棄物)
「放射性物質として扱う必要の無い物」に関する制度・概念

関連項目

関係組織・団体

外部リンク

全般
RI廃棄物(研究施設等廃棄物)
放射性物質汚染対処特措法に規定される特定廃棄物
その他

2019年12月9日月曜日

日本の諸島、皇紀二千六百八十年

 皇紀二千六百八十年

地震列島、日本では甚大な被害を及ぼす規模の災害が多発、自然の怒り、人類に報復するかのように襲い掛かる。
さて、鬼界カルデラがそろそろ動きだした、九州地方の火山、火山列島である日本、縦割り横割りの地震活動の原動力が鬼界諸島、火山帯であり危惧しなければならないのが原発であると言えよう。

補説 :昭和硫黄島(しょうわいおうじま)は、鹿児島県鹿児島郡三島村に属する無人島海底火山噴火によって1934年昭和9年)から翌年にかけて、新たに形成された島嶼である。
日本領海内で火山活動による自然現象により新たに形成され、かつ現在まで残存し観測記録が残る島は、1973年(昭和48年)に誕生した小笠原諸島西之島新島と、この昭和硫黄島の2島のみである[1]新硫黄島とも呼ばれる[2]

 雲仙岳(うんぜんだけ)は、長崎県島原半島中央部にそびえる火山である。半島西方の橘湾を中心とする千々石カルデラの外輪に位置する。広義では、火山学上の「雲仙火山」と同義で、最高峰の平成新山をはじめ、三岳(三峰)とも呼ばれる普賢岳国見岳妙見岳、五峰(五岳)とも呼ばれる野岳九千部岳矢岳高岩山・絹笠山を含め、東の眉山から西の猿葉山まで、総計20以上の山々から構成される。雲仙岳の形の複雑さは、三岳五峰(三峰五岳)、八葉、二十四峰、三十六峰など様々な数字で表現されたが、観光上のキャッチフレーズとして「三峰五岳の雲仙岳」が多用されるようになった結果、狭義として八つの山(ときには三つの山)のみを指す用法も生まれたが、歴史的には海上にそびえる山並み全体を指す名称である。行政区分では島原市南島原市雲仙市にまたがる。しばしば、旧最高峰の普賢岳(雲仙普賢岳)の名称と混同して用いられる。

 当然のことながら、令和新山が誕生する準備は完了した。