2009年9月2日水曜日

プルトニウムについて


原子燃料サイクルとプルサーマルプルトニウムについて

MOX燃料は、現在の原子力発電所で安全に利用できます

現在、原子力発電所で発電している電気の約30%はプルトニウムの核分裂によるものであり、プルトニウムはすでに安全に利用されています。
プルサーマルでは、初めからプルトニウムを含んだ燃料を使用するため、その割合が約50%になります。

ウランとプルトニウムの発電割合

現在の原子炉(ウラン燃料のみ)の場合、プルトニウム30%、ウラン70%。プルサーマルの原子炉(モックス燃料を3分の1程度使用する場合)、プルトニウム50%、ウラン50%となります。
出典:コンセンサス2009
1995年にMOX燃料の安全性について検討した国の報告書では、「原子炉の中でのMOX燃料の挙動は、ウラン燃料と大きな差はなく、MOX燃料の割合が全体の約3分の1程度までの範囲において、現在と同じ安全設計・評価手法を使うことが可能である。」との結論が得られています。
浜岡原子力発電所ではこの範囲で実施する予定です。

燃料の構成の比較(イメージ)

燃料の構成の比較イメージ画像
出典:コンセンサス2008

プルトニウムもウランと同様に使用することができます

毒性について

プルトニウムの化学的毒性は、鉛やカドミウムなどの一般の重金属と同程度です。
プルトニウムを飲み込んだとしても消化管からの吸収は極めて少なく、そのほとんどは体外に排出されます。
吸い込んだ場合は肺に溜まり続ける可能性がありますが、原子力発電所ではプルトニウムはウランと混ぜてペレットに焼き固めた上で、金属の管(被覆管)に入れて密封したものを使用するため、吸い込む可能性は極めて小さいと考えられます。

放射線の影響について

プルトニウムはウランに比べて多くの放射線を出しますが、そのほとんどはアルファ(α)線です。
アルファ線は透過力が弱く紙1枚でさえぎることができます。
原子力発電所では、プルトニウムはウランと混ぜてペレットに焼き固めた上で、金属の管(被覆管)に入れて密封したものを使用するため、アルファ線を十分遮蔽することができます。

放射線の種類と透過力

アルファ線は紙、ベータ線はアルミニウムなどの薄い金属板、ガンマ線・エックス線は鉛や厚い鉄の板、中性子線は水やコンクリートで遮断することができます。

プルサーマルを実施しても安全性に問題はありません

MOX燃料の溶け始める温度(融点)について

MOX燃料はウラン燃料に比べ、燃料の融点が若干低下します。
燃料の融点は、原子炉の運転に伴い変化していきますが、両者とも2,500℃以上です。
運転中のMOX燃料とウラン燃料の最高温度は1,700℃以下であり、このときの融点は双方とも約2,600℃です。
よって、MOX燃料とウラン燃料の運転中の最高温度と融点の間には900℃以上の十分な余裕があり、安全性に問題はありません。

燃料の融点と温度の関係について(例)

燃料の融点と温度の関係について(例)のグラフ

制御棒による原子炉を停止させる能力

制御棒は、ホウ素などの中性子を吸収しやすい材料でつくられており、原子炉に入れることによって、制御棒が(中性子がウランやプルトニウムを核分裂させる前に)中性子を吸収し、原子炉は停止します。
プルトニウムはウランに比べて中性子を吸収しやすいため、プルトニウムの割合が増えると制御棒の吸収する中性子が少なくなります。
しかし、現在使用している制御棒の能力にはもともと余裕があり、MOX燃料を使用した場合でも、今までのウラン燃料炉心と同様に原子炉内の燃料を適切に配置することで、原子炉を停止させる能力を調整できるため、安全性に問題はありません。

制御棒の効果について(例)

制御棒の効果について(例)のグラフ

プルサーマルは、海外で多くの実績があります

世界各国の36基の原子炉でMOX燃料が使われています。(2007年12月末現在)
日本では、1986年から1991年にかけて敦賀発電所と美浜発電所で実証試験をおこない、問題がないことを確認しています。
また、原子炉の型式は違いますが、新型転換炉「ふげん」でもこれまで772体のMOX燃料の使用実績があります。

各国のMOX燃料使用実績の推移(2008年11月現在)

モックス燃料は、ベルギー・スイス・ドイツ・フランス・アメリカを始めとし、さまざまな国での実績があります。1965年頃から利用され始め、2007年には、モックス燃料使用原子炉基数が合計36基となりました。
出典:資源エネルギー庁調べ
(コンセンサス2009)

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