2011年3月20日日曜日

放射能漏れに対する個人対策

「放射能漏れに対する個人対策 」(by 山内正敏 スウェーデン国立宇宙空間研究所)テーマ:DISCLOSURE
これは旧版です。改定版は
ここ!(http://www.irf.se/~yamau/jpn/1103-radiation.html )

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放射能漏れに対する個人対(旧版)



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放射能に関して、 放射線医学総合研究所 (事故対策本部に加わった組織)を始めとして、多くのメディアや研究者が『現在の放射能の値は安全なレベルである』という談話を発表していますが、残念ながら、その組織も『どこまで放射線レベルが上がったら行動を起こすべきか(赤信号と黄信号)』を発表していません。これでは近隣地域の人々の不安を払拭する事は出来ないと思います。行動を必要とする危険値や警戒値を語らずに『安全です』と言ってそれは情報とは全く言えないからです。これは我々が取り扱っている宇宙飛翔体での管理についても言える事です(その為に宇宙天気予報があります)。
そこで、少々荒っぽいですが、行動指針を概算してみました。科学的に厳密な予測は気象シミュレーションや拡散条件など多分野に渡る計算を必要として、短い時間にはとても出来ないので、多少の間違いもあるかも知れませんが、緊急時ですので概算をここに公表します(3月19日現在)。

先ず第一に、刻々と変化する放射能に対してどう判断するかです。色々な研究所が上限値を出していますが、これが総量である事が問題です。というのも測定値は1時間当たりの値だからです。とりあえず、総量100ミリSv(Svはシーベルト)という数字で考えてみます。この数字は原子力関係者が平時に受けて良いとされる政府基準・東電基準で(国際基準は500ミリSv)、更に妊婦を除く大人が受けても大丈夫と科学的に示されている値でもあります( R.L. Brent の2009年のレビュー論文 を参照)
 気がついてから脱出まで半日かかるとして、かつ状況が刻々と悪くなる事を考慮すれば、危険値は100時間で割るのが妥当ですから、
(1) 1000マイクロSv/時に達したら、緊急脱出しなければならない = 赤信号。
という事になります。しかしながら、この値になって行動すると云う事はパニックを意味します。現在の値の変動幅を見るに、一桁の余裕を見れば数日の余裕があると考えられます。逆に言えば、1割以下の量を超えた段階で行動を開始するのが妥当で、
(2) 100マイクロSv/時に達したら、脱出の準備を始めた方が良い = 黄信号。
という事になります。

第2に、妊婦に関する特別な考慮です。事故対策本部の放射線医学総合研究所に100ミリSv(総量)で大丈夫とありますが、これは正確ではありません。上にあげた R.L. Brent のレビュー論文(2009年)によると、100ミリSv(総量)というのは、1%以上の人が影響を受ける値です。つまり、安全値というより、むしろ、これを越えると有為な差があるという危険値です。論文のTable 5 や Figure 4 論文を見ると、安全と言い切れるのは5ミりSv(総量)以下で、そこから100ミリSv(総量)まではグレイゾーンです。現に、大人の場合、同様に『1%以上の人に明らかに影響がある』と言われる1000ミリSv(総量)に対して、原子力従事者の安全基準は1割の100ミリSv(総量)です。普通の人が毎年放射能を受ける訳でない事を考えても、3割以下で安全と考えるのが妥当で、その事は上記論文の Figure 4 からも見て取れます。ということは、
(3) 妊娠初期(妊娠かどうか分からない人を含めて)の場合、300マイクロSv/時に達したら、緊急脱出しなければならない = 赤信号。
(4) 妊娠初期(妊娠かどうか分からない人を含めて)の場合、30マイクロSv/時に達したら、脱出の準備を始めた方が良い = 黄信号。
となります。
逆に言えば、(2)や(4)の1割以下(普通の人で10マイクロSv/時、普通の人で3マイクロSv/時)なら安心して良い事になります。

第3に、距離との関係です。チェルノブイリで問題になったのは事故現場からの直接放射でなく、そこで発生した高濃度の放射性噴煙が移動しながら出す放射線でした。福島原発の場合。燃料棒が壊れているという事ですから、焚き火での焼けぼっくいと同じく、マイクロスケールでの爆発を繰り返して、それが放射能の濃淡を作っています。現に現場付近では、初期の値は大きく変動していました(今は飽和しているから一定値になっている)。この手のマイクロスケールの高濃度放出は自然界では普通に起きている事で、それ故に科学者でなくても多くの人が『そんなものだ』と感じています。このリスク計算がありません。
 地表と違って上空100mと越えると風は安定的にかなりの速さで吹いています。その場合、だいたい10m/秒という見積もりが良く(10km上空は50~100m/秒です)、この速度だと、高濃度の放射性ダストは(サイズにもよりけりだけど)数時間は拡散せずに放射能を出し続けます。10m/秒とは時速約40kmに相当します。そのようなダストは現発現場でも高濃度の放射能を出しますから、現場で非常に高い値を記録したら、その風下の人間は緊急に室内に退避しなければなりません。その警報が届くまでに2時間見積もる必要があり、そこから80km圏という数字が簡単に出て来ます。ちなみに、こういう警報は日本語で出されますから、日本人(現状では1時間以内で対応すると思われる)と外国人とでは避難の速さが違い、その為に日米での退避半径が違うと考えられます。
 さて、では福島原発での放射能の値がどれだけ上がったら室内退避をすべきでしょうか? この場合、原発での測定が一ヶ所であることを考慮しなければなりません。局所的な高放射能雲なので、一桁の誤差を見積もる必要があります。雲が居住圏にジグザグしながら浮遊するとして(例えば朝凪夕凪)、2時間を想定すれば50ミリSv/時が危険値であって、その1割が警報発令の値という事になります。即ち
(5) もしも原発の場所で5ミリSv/時を越えたら風下100km以内(左右60度の扇形)の人は至急屋内に退避し、100km以上でも近くの放射能値情報に随時注意する。
となります。

written 2011-3-18 (revised 3-19)
山内正敏
スウェーデン国立スペース物理研究所
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単位について(Gy と Sv)

Sv = Q x Gy

で大抵は Q=1 です。但し、ソースの近く(原子炉の近くとか、放射性ダストの近く)では中性子の事があり、その場合はQ=10です。


source: http://www.irf.se/~yamau/jpn/1103-radiation.html

2011年3月19日土曜日

原子炉の基本構成


原子炉の基本構成 [編集]


加圧水型原子炉
炉心
炉壁・容器

原子炉の分類 [編集]

減速材による分類 [編集]

軽水炉軽水
通常のである軽水は中性子減速能が大きいが中性子吸収能も大きい。通常は減速材が冷却材を兼ねる。軽水は安価で大量に入手することができ、火力発電で使用されているため性状が良くわかっている。反面、吸収能が大きいため軽水冷却炉では濃縮されたウラン燃料を用いて発生する中性子の数を増やす必要がある。
重水炉 : 重水
水素同位体である重水素からなる水である重水は軽水に次ぐ減速能を持つが吸収能は小さい。従って重水炉では天然ウランを始めとして多様な物質を核燃料として用いることができる。ただし、重水は高価である。
黒鉛炉 : 黒鉛
炭素からなる黒鉛は水に次ぐ減速能を持ち常温で固体である。黒鉛は減速能を持たない物質を冷却材として用いる設計の原子炉で使用されており構造が比較的簡単な為、原子力開発能力の低い国でも使用されている。しかし発電効率が悪い反面プルトニウム239の生成効率が高い事から核兵器用プルトニウム製造に良く使用された。現在では主にガス炉の減速材として使用されている。
高速中性子炉高速増殖炉 : 無し
高速炉とも呼ばれるこの型の原子炉は、減速材を利用せず、核分裂に伴なって発生する高速中性子をそのまま利用する。これは燃料増殖に有利である。

冷却材の種類による分類 [編集]

軽水冷却炉:軽水
軽水が減速材と冷却材を兼ねる炉と、軽水は燃料の冷却のみに用いられて減速材には黒鉛等を用いる炉がある。
重水冷却炉:重水
重水が減速材を兼ねていることが多い。
ガス冷却炉:ガス(二酸化炭素ヘリウム
水蒸気と異なりガスは圧力を高めなくとも高温にすることができるため初期の原子炉では二酸化炭素が冷却材として用いられた。反面、密度が小さく熱運搬能力に乏しいためガス炉による商用発電は経済性に劣り商用発電炉の主流は軽水炉に替わった。ヘリウムは、現在研究・開発が進められている1,000を越える高温を原子炉から得る高温ガス炉の冷却材として用いることが研究されている。また高速増殖炉の冷却材としてヘリウムガス冷却も検討されている。なお、日本に初めて導入された原子炉は英国製のガス冷却炉である。
溶融金属冷却炉:溶融金属(ナトリウムビスマス合金)
溶融金属は常圧で高温を得られる熱運搬能力に優れた流体であるため、配管を耐圧とする必要が無く原子炉全体を小型軽量化できる。このため艦船の動力として採用されていたが、金属を流体の状態に保つための高温の維持に苦労が多く、採用はごく少数に留まった。ナトリウムは初期の原子力潜水艦の原子力炉冷却材として採用されていた。しかし、ナトリウムは水と激しく反応するため、旧ソ連のアルファ級などでは低融点の鉛・ビスマス合金(スプリンクラーヘッドなどに使用されている)を冷却材とする原子炉が採用された。ナトリウムは中性子減速能を持たないため、高速増殖炉の冷却材として使用されている他、鉛・ビスマスも高速増殖炉冷却材として検討されている。
溶融塩原子炉
高温ガス冷却炉同様の減速材で被覆した固体燃料を溶融塩に浸す形式と、本形式独自の、燃料自体を溶融塩に溶かし込んで炉内を循環させる形式がある。

冷却材の状態による分類 [編集]

加圧水型原子炉 (PWR)
炉心内の液体冷却材が沸騰しておらず液体状態な原子炉。(ただし、加圧されているため液体のまま300℃以上の温度となっている)
沸騰水型原子炉 (BWR)
炉心内の液体冷却材が沸騰していて蒸気と液体の混合状態な原子炉。

中性子の性状による分類 [編集]

熱中性子炉
熱中性子を利用する原子炉。熱中性子はウラン235を良く核分裂させることができる。熱中性子炉という名前だが、高速中性子の寄与もそれなりにある。
高速中性子炉
高速中性子を利用する原子炉。高速中性子はウラン238に吸収されやすく、中性子を吸収したウラン238はプルトニウム239となるため燃料の増殖が容易である。反面、高速中性子はウラン235とは反応しにくく、また、ウラン238に吸収されてしまう分だけ核分裂に利用できる中性子の数が少なくなるため、中性子を効率よく利用できる原子炉とする必要が生ずる。なお、高速中性子は核燃料から発生する超ウラン物質を核分裂させる能力にも優れ、このため、高速炉を高レベル放射性廃棄物の消滅処理に利用することが検討されている。
低減速炉
熱中性子だけでなく高速中性子も積極的に利用しようという炉。計算機の性能向上により炉心の精密なシミュレーションが可能になり、この道が開けた。

使用目的による分類 [編集]

研究炉
原子炉の核特性の研究、教育目的、放射線や中性子線の照射実験などに用いられる原子炉。日本には以下の研究用原子炉がある[2]
  • 原研JRR-1 日本原子力研究開発機構濃縮ウラン軽水炉(ウォーターボイラー型)50kW、茨城県東海村、1957年8月臨界 - 1968年9月運転休止 - 廃炉。
  • 原研JRR-2 日本原子力研究開発機構、90% (20%) 濃縮ウラン重水炉(CP-5型)10MW、茨城県東海村、1962年4月17日臨界(90%燃料) - 1970年10月1日臨界(20%燃料) - 運用停止
  • 原研JRR-3 日本原子力研究開発機構、天然ウラン重水炉(国産1号炉)10MW、茨城県東海村、1962年9月12日臨界。
  • 原研JRR-4 日本原子力研究開発機構、濃縮ウラン軽水炉(プール型)1MW(最大3MW)、茨城県東海村、1963年10月26日日本初の電力発電。1976年3月18日運転終了 - 1996年3月31日解体終了。
  • 原研JPDR 日本原子力研究開発機構、濃縮ウラン軽水炉(BWR型)46.7MW(電力12.5MW)、茨城県東海村、1965年1月28日臨界。
  • 原研JMTR 日本原子力研究開発機構、濃縮ウラン軽水炉(タンク型)50MW、茨城県大洗町、1968年3月30日臨界。
  • 原研HTTR 日本原子力研究開発機構、二酸化ウラン黒鉛炉GCR型)30MW、茨城県大洗町、1998年11月10日臨界。
  • 近畿大学研究炉 (UTR-KINKI) 濃縮ウラン軽水炉(UTR型)0.1W(後に1Wに変更)、大阪府東大阪市(旧布施市)、1961年11月11日臨界。日本初の大学所有の研究炉。
  • 立教大学研究炉 (RUR) 20%濃縮ウラン水素化ジルコニウム炉TRIGA-II型)100kW、神奈川県横須賀市佐島字松越、1961年12月9日臨界 - 廃炉。
  • 五島育英会研究炉 (MITRR) 東京都市大学(旧武蔵工業大学)、20%濃縮ウラン水素化ジルコニウム炉(TRIGA-II型)100kW、神奈川県川崎市王禅寺、1961年12月臨界 - 廃炉。
  • 京都大学研究炉 (KUR) 90%濃縮ウラン軽水炉(プール型)1MW - 5MW、大阪府熊取町、1964年6月25日臨界。
  • 日立研究炉 (HTR) 10%濃縮ウラン軽水炉(プール付タンク型)100kW、神奈川県川崎市王禅寺(東京原子力産業研究所(TAIC研)株式会社内)、建設費は約1.4億円。1961年12月25日臨界。1962年8月に日立製作所から東京原子力産業研究所に譲り渡された。休止 - 炉心解体。
  • 東芝研究炉 (TTR-1) 20%濃縮ウラン軽水炉(プール型)30kW(最大100kW)、神奈川県川崎市末広町(日本原子力事業総合研究所(NAIG研)内)、総工費は約1.5億円。1962年3月13日臨界 - 休止。
  • 三菱研究炉 13%濃縮ウラン軽水炉(タンク型)30kWの研究炉を、三菱電機三菱原子力工業が協力して、茨城県東海村字舟石川に設置する準備を進め、1962年8月に設置許可になっていたが、その後建設計画が取りやめになった。
  • 東京大学研究炉(弥生)濃縮ウラン空気冷却高速中性子源炉2kW、茨城県東海村、1971年4月臨界。2011年3月休止予定。
  • 動燃高速実験炉(常陽MOX燃料Na冷却高速中性子型(FBR型)50MW、茨城県大洗町成田町
発電炉(動力炉)
発電用原子炉。商業用発電炉を略して商用炉とも呼ばれる。原子力発電所を参照のこと。
原子力機関
艦船等の推進機関として利用される原子炉。加圧式重水炉が多い。
プルトニウム生産炉
天然ウランから核兵器用プルトニウムを生産するための原子炉。
地域熱供給炉
暖房用の蒸気を供給する原子炉。発電と共用の場合もある。原子炉は一旦燃料を装荷すれば長期間に渡って熱を発生するためボイラー燃料などを頻繁に供給することが難しい旧ソ連の内陸部で実用化された他、アメリカのアラスカ州などで設置が検討されている。
宇宙炉
原子力電池とほぼ同じ用途であるが、より大電力を必要とする場合に利用される。旧ソ連の偵察衛星が一時期これを搭載していたことがある。

開発段階による分類 [編集]

実験炉
理論の基礎的研究段階の原子炉。研究炉とも呼ばれる。
原型炉
技術上の問題点洗い出し、経済性試算段階の原子炉。
実証炉
大型プラントの検証段階の原子炉。
実用炉
実用段階の原子炉。この段階でその設計が完成したと見なされて、多数のプラントが建設される。

開発世代による分類 [編集]

米国エネルギー省 (DOE) は、2030年頃の実用化を目指して提唱する次世代の原子炉の一般的な概念を示すために、原子炉の開発世代を以下のように定義した[3]
第1世代 (GEN-I)
1950年代から1960年代前半に運転を開始した初期の原型炉
第2世代 (GEN-II)
1960年代後半から1990年代前半に建設された商業用原子炉群
第3世代 (GEN-III)
1990年代後半から2010年代頃に運転開始する原子炉で、第2世代の改良型として開発された原子炉
第4世代 (GEN-IV)
現在研究が進んでいる電子炉で、天然ガス火力発電とも競合できる高い熱効率、高度な安全性、放射性廃棄物の負担の最小化、及び高度な核拡散抵抗性等の特徴をもつ革新的原子炉群。高温ガス炉は中国で商用炉が建設中である。[4]

AP-1000 [編集]

2011年12月22日米NRCはウェスティングハウス東芝の子会社)による第3世代新型加圧水型原子炉AP-1000の設計を認可した。この認可は1978年以来34年ぶりである。出力は約110万KWであり、最大の特徴は運転員の操作や電源を必要としない安全装置を備える。原発の故障や運転員の操作や電源復帰まで72時間の余裕があり、外部もきわめて堅牢なため、きわめて安全と言われる。ジョージア州のボーグル原発での採用が予定されている[5]

5重の壁 [編集]

5重の壁は、以下の物からなる。

2011年3月15日火曜日

福島原発160人被ばくの可能性…8万人避難

福島原発160人被ばくの可能性…8万人避難
東日本大震災
東日本大震災 田村市から見た福島第1
福島県田村市から見た、東京電力福島第1原子力発電所。左端は原子炉建屋が損傷した1号機。左から3機目は新たに注水作業を開始した3号機
Photo By 共同 
 東日本大震災で被害を受けた東京電力福島第1原発で、1号機の爆発事故から一夜明けた13日、3号機でもトラブルが発生した。宮城県の女川原発では放射線量が急上昇、約120キロ離れた福島原発から放出された放射性物質の影響とみられる。第1原発の3キロ圏内から避難した19人の被ばくが新たに確認され、半径20キロ圏内の住民8万人は避難を余儀なくされた。

 福島第1原発(福島県大熊町)の半径10キロ圏内に残っていた114人と、20キロ圏内で避難対象になった約8万人は13日に避難を開始した。

 大熊町の避難所から、さらに田村市の船引小学校に避難してきた町の男性職員は「これからいつ、どうなるのか」と不安をもらした。最初の避難から3日目を迎え、体調を崩す住民もおり「病院の情報や薬が欲しいという相談がある」という。

 三春町の体育館に避難した富岡町の会社員福田一三さん(63)は避難指示の出た12日朝、10分の違いで妻や子供らと別の避難所に運ばれた。連絡も絶え、福田さんは「無事だろうか」と案じた。浪江町の住民約500人は自家用車やバスを使い段階的に約30キロ離れた川俣町の川俣南小学校に避難。インターネットの短文投稿サイト「ツイッター」には不安やいら立ちがつづられ、南相馬市の女性は13日朝、「車がない私は避難する方法がない」と書き込んだ。

 一方、受け入れる自治体側も苦悩。三春町では、公共施設や小中学校の体育館など9カ所に避難所を設けたが、12日夜の段階で避難住民が約1800人になり、町の担当者は「もういっぱいで、これ以上受け入れられない」と話した。要望に応えて被ばくの有無を検査するところがある一方、遠方の町では「原子力に関する知識が乏しいし(避難民が)どんどん来たらどうなるのか」と心配する声も上がった。

 福島県は第1原発の3キロ圏内から避難した19人の被ばくを新たに確認したと発表。被ばく確認は12日に発表した3人と合わせて22人となった。経済産業省原子力安全・保安院のまとめでは、住民ら約160人に被ばくの可能性があるという。

 また、新潟県は、福島原発周辺の放射線モニタリング業務支援のため福島県に派遣した職員2人が被ばくしたと発表。2人は12日午後、放射線測定機を設置するため福島原発に近い福島県原子力センターに向かっていた。
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2011年3月1日火曜日