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2019年12月28日土曜日

巌聖水6500の特長

巌聖水6500の特長

「巌聖水6500」(がんせいすい6500)は、広島県福山市東村町で採水されたミネラルウォーターで、飲泉療法に良いとされている「天然ラドン」「冷鉱泉水」「活性水素」「ミネラル」が豊富な天然還元水です。
巖聖水6500の水は、地下の花崗岩帯を悠久の時をかけて透過し、みがかれて、瀬戸内海へ滝となって流れ落ちています。
こうしてミネラル分たっぷりの水“奇跡の水”と呼ばれる「うまい水」「身体に良い水」となりました。
なお、巖聖水6500は、今から6500万年前に形成された白亜紀の花崗岩に由来します。

巖聖水6500の温泉分析書

知覚的試験 無色透明無味無臭
ラドン含有量 123×10-10キュリー/kg
(基準ボーダー20×10-10キュリー/kg)
炭酸水素イオン
(HCO3)
150.0 mg / L
メタケイ酸
(H2SiO3)
55.0 mg / L
遊離炭酸
(CO2)
18.0 mg / L
その他微量成分 総ヒ素:不検出
総水銀:不検出
鉛イオン:不検出
クロムイオン:不検出

カルシウム・マグネシウムがバランスよく配合

巖聖水6500には、“水の硬度”を左右するミネラル成分「カルシウム」と「マグネシウム」がバランスよくたっぷりと溶け込んでいます。

飲む温泉水として最適の硬度!

巖聖水6500には、この両成分が1リットルあたり98mg(100mgがミネラルウォーターとして最適といわれています)溶け込んでおり、下図でいうところの美味しい軟水(なんすい)の位置付けになります。

口当たりが柔らかで うまい水

"美味しい軟水"の巖聖水6500は、ぴったりpH7・0の"中性水"です。甘くマイルドな口当たりでお料理の味をいっそう引き立てます。
遊離炭酸(CO2)が、飲むと口中ではじけるため、さわやかなのど越しが特長で、入浴に使用すると、血行を良くする効果が大きいといわれています。
巖聖水6500を、お口からお肌から、身体の内側と外側の両面から取り込むことによって、身体を改善して"健康いきいき生活"を始めませんか。

巖聖水6500の特筆すべき成分

「細菌類0(ゼロ)」「無色透明無味無臭」そして「ヒ素・水銀・鉛・クロムなどの有害物質は不検出」の安全な水であるということです。
そして『巖聖水6500』は、炭酸水素イオン(HCO3)、メタケイ酸(H2SiO3)の含有量が多く、「活性水素」が豊富にあることも大きな特長です。
フランスのルルドの泉は“奇跡の水”と呼ばれ、「活性水素」が多く含まれていることも世界的に有名です。

おいしい水の条件・からだに良い水の条件

実際に目で見えるデータとして巖聖水6500をご案内します。
分かりやすいように「H天然水(大分県)」「H天然水(鳥取県)」の2つを比較してみました。

おいしい水・からだに良い水

ラドン含有量
巖聖水6500がいかに優れているか、日本を代表する他の有名天然水データ比較グラフからも歴然としています。
パンフレットでも巌聖水6500をご紹介しておりますので、以下からダウンロードしてご覧ください。

巌聖水6500 紹介パンフレット(PDFファイル)

(リンクを右クリックでダウンロード保存)

巌聖水6500の採水地

巌聖水6500は、以下の場所にて採水しております。

巌聖水6500のご注文

皆様のニーズにお応えするため、巌聖水6500のさまざまなラインナップを取り揃えております。
商品名 個数 価格(税込)
500 ml 1ケース(24本×1) 3,800円
2 L 1ケース(6本入) 2,300円
10 L(お徳用サイズ) 1ケース(2箱入) 3,300円
巌聖水6500をご希望の方は、以下の注文申込書をダウンロードして頂き、必要事項をご記入のうえFAXにてお申し込みください。
また、こちらのお問い合わせフォームからでも受付しております。

巌聖水6500 注文申込書(PDFファイル)

(リンクを右クリックでダウンロード保存)

2019年12月24日火曜日

福島第一原子力発電所,五輪で宇浮かれる日本!

1.福島第一原子力発電所の事故とは

東日本大震災は想定外だったという評価が聞かれます。その後の地震、豪雨などの異常気象や火山の噴火でも想定外という言葉が使われています。東京電力福島第一原子力発電所(以下福島第一原子力発電所と記載)の事故調報告書※1でも、「スリーマイル島原発事故(1979年)やチェルノブイリ原発事故(1986年)以降、東電が、国と連携して、設備と運用の両面からシビアアクシデント対策を整備してきた」とし、「今回の事故はその想定を大幅に上回るものであり、これまでの取り組みだけでは事故の拡大を防止できなかった」としています。しかし、「人と環境を放射線リスクから防護すること」を目的とする原子力安全※2に関しては想定外では済まされません。もちろん、東京電力だけでなく、今後いずれの原子力発電所においても想定外を理由とした原子力事故※3は許されません。

想定外、言い換えると想定を超える「不確かさ」に備えるために、「深層防護」という概念があり、さまざまな分野で活用されています。例えば、軍事戦略や、情報システムのセキュリティ対策など、社会への影響が甚大な分野です。原子力安全に対してはこの「深層防護」という概念を活用して、多層の防護策を組み合わせることで、全体としての防護の信頼性を最大限に向上させています。国際原子力機関(IAEA)の原子力安全の専門家による報告書INSAG-10※4では表1に示すように、防護レベルをレベル1からレベル5までの5層に設定しています。

国内においては、1992年5月28日付け原子力安全委員会決定文(ⅰ)において東電福島第一原子力発電所事故の前まではINSAG-10の分類に従えば、深層防護の第1層「異常状態の防止」、第2層「異常状態の緩和とDBA※5の防止」、および第3層「DBAの緩和とBDBA※6の防止」までを安全規制要求とする一方で、第4層「BDBAの緩和」を目的としたシビアアクシデント(SA※7)に対するハード面およびソフト面の対策を事業者の自主的取り組みとして推奨していたと理解できます。しかし、福島第一原子力発電所事故ではこの深層防護の第1層から第3層の防護策が事故後は比較的短時間しか働かず、さらに第4層のシビアアクシデント対策も有効に機能せず、防護レベルの第5層に当たるサイト外の緊急時対応に至りました。
表1 深層防護レベル
防護
レベル
目的 目的達成に不可欠な手段
プラントの
当初設計
レベル1 異常運転や故障の防止 保守的設計および建設・運転における高い品質
レベル2 異常運転の制御および故障の検知 制御, 制限および防護系、ならびにその他サーベランス特性
レベル3 設計基準内への事故の制御 工学的安全施設および事故時手順
設計基準外 レベル4 事故の進展防止およびシビアアクシデントの影響緩和を含む、過酷なプラント状態の制御 補完的手段および格納容器の防護を含めたアクシデントマネジメント
緊急時計画 レベル5 放射性物質の大規模な放出による放射線影響の緩和 サイト外の緊急時対応
出所:深層防護レベル(INSAG-10 6頁のTable 1)「原子力安全の基本的考え方について」第Ⅰ編 別冊 深層防護の考え方, AESJ-SC-TR005(ANX):2013, p.51
また、深層防護あるいは多重防護と類似した言葉として、「多重障壁」という言葉があります。原子炉の場合、5重の壁とも言われ、「ペレット※8」「燃料被覆管」「原子炉冷却材圧力バウンダリ※9」「原子炉格納容器」「原子炉建屋」の五つを指します。これらの障壁は閉じ込め機能を達成するための重要な手段であり、「人と環境を放射線リスクから防護する」目的に照らして非常に重要です。
図1 放射能を閉じ込める5重の壁
図1 放射能を閉じ込める5重の壁
出所:電気事業連合会「放射能を閉じ込める5重の壁」
http://www.fepc.or.jp/nuclear/safety/shikumi/jikoseigyosei/index.html(2019年5月20日閲覧)
深層防護と多重障壁の関係を説明した例として、IAEAの報告書INSAG-12※10があります。ここでは図2(その1)の左図のように、物理障壁と防護レベルの関係を示し、両者が共に深層防護を構成する(together constitute defence in depth)と説明しています。以降の説明では、深層防護(多重防護)の防護レベルと多重障壁とを区別するために、前者を深層防護、後者を物理障壁と記載します。
図2 深層防護の防護レベルと物理障壁の関係(その1)
図2 深層防護の防護レベルと物理障壁の関係(その1)
出所:INSAG-12を参考として三菱総合研究所作成
図2 深層防護の防護レベルと物理障壁の関係(その2)
図2 深層防護の防護レベルと物理障壁の関係(その2)
出所:INSAG-12を参考として三菱総合研究所作成 *「拡大図」は図2(その1)を示す

2.なぜ深層防護策が有効に機能しなかったのか

では、福島第一原子力発電所の事故では、なぜ深層防護策が有効に機能しなかったのでしょうか。2012年7月5日の国会事故調報告書※11では以下が要因として指摘されました。
  1. シビアアクシデント対策の対象が内部事象※12に限定され、外部事象※13(地震、津波など)、人為的事象(テロなど)を対象外とし、米国では規制対象としている長時間の全交流電源喪失※14を想定していなかった。
  2. シビアアクシデント対策が規制対象とされず、事業者の自主対策とされたため対策の実効性が乏しくなった。
  3. 規制当局が、深層防護について5 層のうち3 層までしか対応できないとの認識を持ちながら必要な措置を怠った。
  4. 9.11 テロ後、全電源喪失に対する機材の備えと訓練を義務付ける規制(通称「B.5.b」)が米国で導入された事実を知りながら、日本の規制には反映させなかった。
  5. 日本のシビアアクシデント対策について、事業者と規制当局のなれ合いの結果、対策範囲は狭く、その対応は遅れ、実効性に乏しく、国際水準を無視したものであった。

元々、2007年のIRRS※15において、S8(Sは提言(Suggestion)を意味する)として以下の指摘を受けていました。

S8: 原子力安全・保安院は、リスク低減のための評価プロセスにおいて設計基準事象を超える事故の考慮、補完的な確率論的安全評価の利用およびシビアアクシデントマネジメントに関する体系的なアプローチを継続すべきである。(ⅱ)
福島第一原子力発電所事故で深層防護策が有効に機能しなかった直接的な原因として、外部事象(地震、津波など)および長時間の全交流電源喪失に対する想定と対策が不十分であったとされていますが、特に深層防護の第4層のシビアアクシデント対策が有効に機能せず、最終物理障壁である原子炉格納容器および原子炉建屋のバウンダリ機能※16を維持できなかったことが事故を一層深刻なものとし、さらに、第5層のサイト外の緊急時対応の不十分さも露呈した結果となりました。

3.福島第一原子力発電所事故の教訓による新たな枠組み

福島第一原子力発電所事故の教訓から、国内外で、再稼働を目的とした原子力発電所の安全性を審査する新規制基準が策定され、その新規制基準に基づく適合性審査が行われています。図3に新たな規制の枠組みのイメージを示します。第4層および第5層の防護策が徹底的に強化されていることがわかるかと思います。
図3 新たなシビアアクシデント対策規制の枠組みのイメージ
図3 新たなシビアアクシデント対策規制の枠組みのイメージ
出所:原子力安全・保安院「発電用軽水型原子炉施設におけるシビアアクシデント対策規制の基本的考え方について(現時点での検討状況)」2012年8月27日
「原子力安全の基本的考え方について」第Ⅰ編 別冊 深層防護の考え方

4.福島第一原子力発電所の今後の廃炉に向けて考えること

福島第一原子力発電所はシビアアクシデント事故によって、ペレット、燃料被覆管、原子炉冷却材圧力バウンダリ、原子炉格納容器、原子炉建屋の閉じ込め機能という全ての物理的障壁が完全にあるいは一部損傷しています。福島第一原子力発電所の現在の状況は、事故時に揮発性の放射性物質のほとんどが放出され、残留する放射性物質は原子炉格納容器などのバウンダリ機能や建屋および周辺部の地面への飛散防止剤の散布等により一定程度の放出抑制が図られています。崩壊熱レベルも事故直後に比べ大幅に低下し、その他、未臨界維持や火災・爆発防止についても、一定の対策と監視により放射性物質の異常放出の脅威の可能性は低い状況にあります。しかし、今後予想される燃料デブリ取り出しに向けた各種の作業や工事における誤操作・誤動作等の内部事象および地震・津波などの外部事象に対して、十分に対処する必要があります。前述の通り、福島第一原子力発電所の現在の状況は通常の運転プラントとは全く異なるため、防護策も運転時とは異なりますが、深層防護の考え方に基づき、多層の防護レベルおよび防護策を講じておく必要があります。

事故炉である福島第一原子力発電所の深層防護レベルおよび防護策の一例(当社試案)を表2に示します。
なお、表2ではIAEAの報告書INSAG-10に準拠して、防護レベルをレベル1からレベル5までの5層で整理しています。
具体的には、福島第一原子力発電所の現在の状況の維持をレベル1の「異常状態の防止」とし、現状からの有意な変化を異常状態として、「異常状態の抑制」をレベル2としています。さらに、放射性物質の異常放出、異常な温度上昇、再臨界、火災・爆発などを事故として、これらに伴う放射性物質の異常放出防止をレベル3の「想定事故の緩和」とし、これらの事故を上回る事故に対する異常放出緩和をレベル4の「想定を越える事故の緩和」としています。
さらに、これらの防護策が効果的に機能せず発電所の外での緊急時対応が必要な状態をレベル5の「周辺の放射線影響緩和」として整理しました。
ここで、「異常状態」や「事故等」は運転プラントでは、運転パラメータの変化量、放射性物質の放出量や公衆被ばく量などによって定量的に定義されますが、福島第一原子力発電所に関しては現状では定量的な定義について合意されたものはありません。また、福島第一原子力発電所のような事故炉について深層防護レベルを何層とするかについても合意されたものはありません。
表2 事故炉である福島第一原子力発電所の深層防護レベルおよび防護策の例(当社試案)
防護
レベル
目的 目的達成のための
防護策の例
懸念されるリスク
レベル1 異常状態の防止
  • 放射性物質放出防止
  • 崩壊熱除去
  • 未臨界維持
  • 火災・爆発防止
  • 現状の放射性物質の保持状態の維持・監視
  • 崩壊熱除去:循環冷却設備の運転と監視
  • 未臨界維持・監視
  • 窒素供給と水素濃度監視
  • 原子炉格納容器および原子炉建屋のバウンダリ機能の脆弱性
  • 強風・竜巻による放射性物質の飛散
  • 屋外仮設設備の脆弱性
レベル2 異常状態の緩和
  • 放射性物質放出防止
  • 崩壊熱除去
  • 未臨界維持
  • 火災・爆発防止
  • 放射性物質の飛散・漏えいの監視と防止策の実施
  • 崩壊熱除去:温度・水位の監視と代替冷却の実施
  • 臨界近接検知と臨界防止策の実施
  • 水素濃度監視と希釈策の実施
  • 同上
レベル3 想定される事故の緩和
  • 放射性物質異常放出
  • 火災・爆発
  • 使用済燃料取扱事故
  • 異常放出の防止策の実施
    (フィルタードベントなど)
  • 崩壊熱除去:外部注水の実施
  • 臨界の終息策の実施
  • 原子炉格納容器および/または原子炉建屋のバウンダリ機能回復とその破損防止対策が必要
レベル4 想定を超える事故の緩和
  • 構造物、重機器等の損壊・落下
  • 使用済燃料の落下破損
  • テロ・サボタージュ
  • 異常放出の緩和策の実施
  • 放射性物質の拡散緩和対策(フィルタードベント、大容量泡放水砲など)
  • 同上
レベル5 周辺の放射線影響緩和
  • オフサイト緊急時対応
出所:三菱総合研究所
表2の福島第一原子力発電所の深層防護レベルおよび防護策の一例から考察されることは、防護レベルや防護策を多層化することは無論重要でありながら、最終物理障壁の原子炉格納容器および原子炉建屋のバウンダリ機能の脆弱性があらためて浮き彫りになることです。従って、防護レベルや防護策の多層化と最終物理障壁のバウンダリ機能強化を組み合わせ、全体として防護の信頼性を向上させることが、「人と環境を放射線リスクから防護する」目的に照らして必要であるということです。
また、原子炉建屋が損傷していることで、強風・竜巻による建屋瓦礫など放射性物質の飛散も懸念されます。さらに、原子炉建屋の屋外に設置された仮設設備の環境条件や経年変化に対する頑健性も気になるところで、これらの懸念の払拭と仮設設備の信頼性を高める観点から、原子炉建屋および仮設設備全体を覆う外周建屋の設置とそれに伴うバウンダリ機能の回復が望まれます。

従って、深層防護の考えに基づく福島第一原子力発電所の信頼性を向上させるための第一の課題は、失われた最終物理障壁である格納容器および原子炉建屋のバウンダリ機能をどのように回復・維持するかであり、そのための方策をできるだけ早期に具体化する必要があります。原子炉格納容器および原子炉建屋のバウンダリ機能回復のための検討は実施されているものの、シビアアクシデント事故により高温高圧にさらされた原子炉格納容器や水素爆発などにより損傷した原子炉建屋のバウンダリ機能の回復には非常に大きな困難が伴うと考えられます。この代替策として、各号機の原子炉建屋の外周建屋の設置、1号機から4号機全体を覆う大型原子炉建屋、さらには、発電所敷地全体を覆う発電所全体カバーなどの構想について、長期的な得失、費用対効果などを含めた総合的な検討が必要と考えます。なお、3号機で進められた使用済燃料取り出し用の原子炉建屋の一部を覆うカバー設置はその第一歩ですが、今後長期間に及ぶ廃炉作業に向けてはさらに広いカバー範囲と頑健性が必要と考えます。

さらに、地震・津波を始めとする外部事象などに対する長期健全性評価を継続的に実施し、各種の深層防護策(防護レベル・防護策および物理障壁機能)が確保されていることを確認する監視・検査方策を確立する必要があります。その上で、その後の燃料デブリ取り出しに際しては、回復した原子炉格納容器および原子炉建屋のバウンダリ機能の一部を開口することが必要となるため、開口するバウンダリ貫通部の処置(グリーンハウス化、セル化、二重化、負圧管理など)の対策を講じるとともに、各種作業に関連する防護策の有効性を評価・確認するべきです。福島第一原子力発電所の廃炉作業を着実に推進するためには、深層防護の考え方で安全対策を講じる必要があると考えます。

5.最後に

「深層防護」についてはさまざまな議論がありますが、本コラムではあえて福島第一原子力発電所廃炉作業と深層防護というテーマを取り上げました。そこには、事故後8年間が経過し、事故から得られたさまざまな教訓を風化させることのないようにとの思いがあったためです。そこで、現時点で得られている情報や知見に基づき、当社の見解として現状の課題と今後の対策の試案を示した次第です。さらに優れた今後の対応策が検討・提示されて、より安全に福島第一原子力発電所の廃炉が進められることを期待しています。
※1「福島第一原発事故と4つの事故調査委員会」 国立国会図書館 ISSUE BRIEF No.756 (2012.8.23) p.8、および東京電力(東電事故調)「福島原子力事故調査報告書」2012.6.20. pp.39-45 http://www.tepco.co.jp/cc/press/2012/1205628_1834.html(2019年5月20日閲覧)
※2原子力安全とは、人と環境を原子力の施設と活動に起因する放射線の有害な影響から防護すること。
※3原子力事故とは、原子力関連施設での放射性物質や放射線に関係する事故のこと。
※4International Nuclear Safety Group (INSAG) Defence in Depth in Nuclear Safety, INSAG-10 June 1996 なお、深層防護に関するIAEAの最新の記載図書は、SSR-2/1 (Rev.1), Safety of Nuclear Power Plants : Design February 2016
※5DBA:設計基準事故(Design Basis Accident)。原子力施設を設計する際に、ここで想定される事故に対しては対応可能とすることが求められます。
※6BDBA:設計基準事故を超える事故(Beyond Design Basis Accident)。設計基準を超える事故のため、設計で確実に対処できるとはいえません。
※7SA:原子炉の燃料が重大な損傷を受けるなど設計時の想定を超える過酷事故(Severe Accident)。
※8ペレット:原子炉で使用する核燃料を、粉末状にした上で成型し、磁器のように焼結してセラミック化して融点を高めることで、原子炉の壁の一つ目を構成している。ウラン金属は融点が1,132℃であるが、焼結により融点を2,700~2,800℃程度まで高めている。
※9原子炉冷却材圧力バウンダリ:原子炉冷却材を内包して原子炉と同じ条件で圧力障壁を形成するもので、この圧力障壁が万一破損すると原子炉冷却材喪失事故(LOCA)となる範囲の機器、配管、隔離弁等の施設をいう。
※10International Nuclear Safety Group (INSAG) Basic Safety Principles for Nuclear Power Plants 75-INSAG-3 Rev. 1, INSAG-12 October 1999 (ここでは物理障壁としての「原子炉建屋」(第5の壁)は省略されています。)
※11「福島第一原発事故と4つの事故調査委員会」 国立国会図書館 ISSUE BRIEF No.756 (2012.8.23) p.8、および1Fの国会事故調報告書(東京電力福島原子力発電所事故調査委員会「報告書」2012.7.5. pp.95-125)
※12内部事象:プラントにとって望ましくない事象が、無作為な機器故障や原子力発電所運転員の誤操作等によって生じる場合を「内的事象」と呼ぶ。
※13外部事象:プラントにとって望ましくない事象が、地震・津波や火災、航空機の墜落等の外部からの影響によって生じる場合を「外的事象」と呼ぶ。
※14発電所の外部からの交流受電、発電所内の非常用発電装置による交流電源が全て失われた状態を「全交流電源喪失」と呼ぶ。
※15「IRRS」とは、Integrated Regulatory Review Service(総合規制評価サービス)の略称で、各国の原子力規制機関等の専門家によって構成されるミッションが、IAEA 加盟国の原子力安全や放射線防護に関する各種の規制や取り組みについてIAEA安全基準との整合性をレビューする。わが国においては、2007年6月に旧原子力安全・保安院および旧原子力安全委員会が受入れを実施し、2008年3月に報告書が公表された。その後、2016年1月に原子力規制委員会が2回目のIRRSを受け入れている。ここで、原子力規制委員会は、S8の現況として「東京電力福島第一原子力発電所事故後の炉規法改正により、シビアアクシデントの発生を防止するための基準を強化するとともに、万一シビアアクシデント等が発生した場合に対処するための規制要求を新設するとともに、既設炉にも最新の基準への適合を義務づけるバックフィット制度を導入した。現在実施されている新規制基準適合性審査において、設計基準事象を超える事故の考慮、確率論的リスク評価の利用およびシビアアクシデントマネジメントを含めた体系的な審査を行っている」と説明している。
※16バウンダリ機能:軽水炉等の発電炉において、原子炉冷却材や放射性物質を含む気体などを保持するための建屋、容器および配管等の壁を総称していう言葉。発電炉設備の安全性のための一般設計基準に用いられる用語である。
i1992年5月28日付け原子力安全委員会決定文(1997年10月20日一部改正)「発電用軽水型原子炉施設におけるシビアアクシデント対策としてのアクシデントマネージメントについて」において、以下のとおりとしている。
(1)
我が国の原子炉施設の安全性は、現行の安全規制の下に、設計、建設、運転の各段階において、①異常の発生防止、②異常の拡大防止と事故への発展の防止、および③放射性物質の異常な放出の防止、といういわゆる多重防護の思想に基づき厳格な安全確保対策を行うことによって十分確保されている。(筆者注:ここでは多重防護という言葉が使用されているが深層防護と同義と理解)
(2)
あるアクシデントマネージメントが原子炉施設の設備を大幅に変更することなく実施可能であり、その実施を想定することによりリスクが効果的に減少する限りにおいて、その実施が奨励又は期待されるべきと考えられる。
iiS8に対して、国会事故調査報告書で以下が指摘されている。(1Fの国会事故調報告書(東京電力福島原子力発電所事故調査委員会「報告書」2012.7.5. pp.560-563))
日本は過去IAEAによるピア・レビューを受けたが、その結果に対しても、適切な対応を怠ってきた。 ~(中略)~ IRRSを2007年に受け入れたが、現時点まで具体的な改善策が取られていない。
~(中略)~ 世界標準が遵守されていることを再チェックされる仕組みとなっているが、日本は2010年2月に受ける予定であったフォローアップ・ミッションを経産省の対応の遅れによりいまだに受けていない。
~(中略)~ このように、日本はIAEAによるピア・レビューを、自らの規制・法的枠組みの改善に用いるというよりは、保安院の独立性が確保されていることのアピールに利用したと言える。

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2019年12月17日火曜日

元素記号一覧表

元素記号一覧表。
・元素記号の単語カード形式サイト(元素記号 単語カード
・元素記号一覧表の切り替え(リンク無し 元素記号一覧表
原子番号 元素記号 日本語名
原子番号 元素記号 日本語名
1H水素
61Pmプロメチウム
2Heヘリウム
62Smサマリウム
3Liリチウム
63Euユウロピウム
4Beベリリウム
64Gdガドリニウム
5Bホウ素
65Tbテルビウム
6C炭素
66Dyジスプロシウム
7N窒素
67Hoホルミウム
8O酸素
68Erエルビウム
9Fフッ素
69Tmツリウム
10Neネオン
70Ybイッテルビウム
11Naナトリウム
71Luルテチウム
12Mgマグネシウム
72Hfハフニウム
13Alアルミニウム
73Taタンタル
14Siケイ素
74Wタングステン
15Pリン
75Reレニウム
16S硫黄
76Osオスミウム
17Cl塩素
77Irイリジウム
18Arアルゴン
78Pt白金
19Kカリウム
79Au
20Caカルシウム
80Hg水銀
21Scスカンジウム
81Tlタリウム
22Tiチタン
82Pb
23Vバナジウム
83Biビスマス
24Crクロム
84Poポロニウム
25Mnマンガン
85Atアスタチン
26Fe
86Rnラドン
27Coコバルト
87Frフランシウム
28Niニッケル
88Raラジウム
29Cu
89Acアクチニウム
30Zn亜鉛
90Thトリウム
31Gaガリウム
91Paプロトアクチニウム
32Geゲルマニウム
92Uウラン
33Asヒ素
93Npネプツニウム
34Seセレン
94Puプルトニウム
35Br臭素
95Amアメリシウム
36Krクリプトン
96Cmキュリウム
37Rbルビジウム
97Bkバークリウム
38Srストロンチウム
98Cfカリホルニウム
39Yイットリウム
99Esアインスタイニウム
40Zrジルコニウム
100Fmフェルミウム
41Nbニオブ
101Mdメンデレビウム
42Moモリブデン
102Noノーベリウム
43Tcテクネチウム
103Lrローレンシウム
44Ruルテニウム
104Rfラザホージウム
45Rhロジウム
105Dbドブニウム
46Pdパラジウム
106Sgシーボーギウム
47Ag
107Bhボーリウム
48Cdカドミウム
108Hsハッシウム
49Inインジウム
109Mtマイトネリウム
50Snスズ
110Dsダームスタチウム
51Sbアンチモン
111Rgレントゲニウム
52Teテルル
112Cnコペルニシウム
53Iヨウ素
113Nhニホニウム
54Xeキセノン
114Flフレロビウム
55Csセシウム
115Mcモスコビウム
56Baバリウム
116Lvリバモリウム
57Laランタン
117Tsテネシン
58Ceセリウム
118Ogオガネソン
59Prプラセオジム



60Ndネオジム



2018年6月11日月曜日

三重水素

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三重水素
概要
名称、記号 トリチウム、トリトン,3H
中性子 2
陽子 1
核種情報
天然存在比 微量
半減期 12.32
崩壊生成物 3He
同位体質量 3.0160492 u
スピン角運動量 1/2+
余剰エネルギー 14,949.794± 0.001 keV
結合エネルギー 8,481.821± 0.004 keV
ベータ崩壊 0.018590 MeV
三重水素(さんじゅうすいそ、: tritium、記号:3H または T[1])とは、質量数が3、すなわち原子核陽子1つと中性子2つから構成される水素放射性同位体である。一般に、トリチウムと呼ばれる。

目次

概要

自然界に最も多く存在する、質量数が1(原子核陽子1つ)の「普通」の水素軽水素1H)、
質量数が2(原子核陽子1つと中性子1つ)の水素は重水素2H)、
質量数が3(原子核陽子1つと中性子2つ)の水素は三重水素(トリチウム)(3H)、
と呼ばれる(「水素の同位体」も参照)。もともとは 重水素2H)と三重水素(3H)とを併せて重水素と呼ばれていた。[要出典]
三重水素は、その質量が軽水素や二重水素の約1.5~3倍と比較的大きく異なることから、物理的性質も大きく異なることが多い。一方、化学的性質は最外殻電子の数(水素の場合は1)によって決まる要素が大きいため、三重水素の化学的性質は軽水素や重水素とほぼ同じであることが多い(「同位体効果」も参照)。
三重水素は、地球環境においては、酸素と結びついたトリチウム水(HTO[2])としてに混在しており[3]、水圏中に気相、液相、固相の形態で広く拡散分布している。大気中においては、トリチウム水蒸気(HTO)、トリチウム水素(HT)および炭化トリチウム(CH3T)の3つの化学形で、それぞれ水蒸気、水素、炭化水素と混在している。なお、海水中の三重水素濃度は通常、数 Bq/Lより少ない[4][5]
三重水素は宇宙線と大気との反応により地球全体で年間約72 PBq(7.2京ベクレル[6])ほど天然に生成される[7]。加えて、過去の核実験により環境中に大量に放出され[8]未だに残っている三重水素(フォールアウトトリチウム)、原子力発電所または核燃料再処理施設などの原子炉関連施設から大気圏や海洋へ計画放出された三重水素(施設起源トリチウム)[9]が地球上で観測される三重水素の主たる起源である[10]
高純度の液体トリチウムは、核融合反応のD-T反応を起こす上で必須の燃料であり、水素爆弾(きれいな水爆)の原料の一つとしても利用される[11]
体内では均等分布で、生物的半減期が短く、エネルギーも低いことから三重水素は最も毒性の少ない放射性核種の1つと考えられ[12]、生物影響の面からは従来比較的軽視されてきた[13]。しかし一方で、三重水素を大量に取扱う製造の技術者ではあるものの、内部被曝による致死例が2例報告されている[14]。三重水素の生物圏に与える影響については、環境放射能安全研究年次計画において研究課題として取り上げられたことなどもあり、長期の研究実績に基づいた報告書が公表されている[15]

物理的特徴

トリチウム封入管を使用したミリタリーウォッチ
三重水素は弱いβ線 (18.6 keV) を放射しながらβ崩壊を起こしヘリウム3 (3He) へと変わるベータ放射体 (beta-emitter) で、半減期は12.32年である[16]
{}_{1}^{3}{\hbox{H}}\ {\xrightarrow[ {12.32\ years}]{\beta ^{-}\ 18.6\ keV}}\ {}_{2}^{3}{\hbox{He}}^{+}+{\hbox{e}}^{-}+\overline {\nu }_{{{\hbox{e}}}}
電子は、5.7 keV の平均運動エネルギーを持ち、残りのエネルギーは反電子ニュートリノによって奪われる。三重水素から発する低いエネルギーのβ線は人間の皮膚を貫通できず外部被曝の危険性がほとんどないため、その酸化物であるトリチウム水 (HTO) は放射性夜光塗料の材料などに用いられている[17][18]。また、この低いエネルギーであるがゆえに、三重水素の標識化合物は、液体シンチレーション計測法でないと検知することができない[19]

熱核反応(核融合反応)の燃料として

二重水素 (D) と三重水素 (T) の核融合反応である熱核反応(D-T反応)は、二重水素同士の熱核反応(D-D反応)に比べて反応に必要な温度・圧力条件が低い。
{\displaystyle {\ce {{^{3}_{1}H}+{^{2}_{1}H}->{^{4}_{2}He}+n}}}
そのため、1952年のアイビー作戦にてエニウェトク環礁の一つの小島を消滅させた水素爆弾(きれいな水爆)の原理の中では、D-D反応を起こすための中間の起爆反応として用いられた[20]。現在では、三重水素は、ITERをはじめとする核融合実験炉においては核燃料として研究されている。

トリチウムの生成

三重水素(トリチウム)は原子炉においては、炉内の重水 (HDO) の二重水素 (D) が中性子捕獲することでトリチウム水 (HTO) の形で生成される。
ほかには、ウラン235 (235U) 或いはプルトニウム239 (239Pu) が中性子と反応した時に起こる三体核分裂によっても生じる。また、制御棒に使用されるホウ素同位体 10B が、高速中性子を捕獲することでも生じる。
{\displaystyle {\ce {{^{10}_{5}B}+n->2{^{4}_{2}He}+{^{3}_{1}H}}}}
生成量は原子炉ごとに異なるとされるが、一年間の運転で加圧水型軽水炉内には約200兆ベクレル (2 × 1014 Bq)、沸騰水型軽水炉では約20兆ベクレル (2 × 1013 Bq) が蓄積する[21]。しかしながら、トリチウム水(HTO)は、化学的性質が水(H2O, HHO)とほぼ同一であるため、化学的には水とトリチウム水を分離することはできない[22]。ただし物理的な同位体効果を利用した分離技術は確立されており[23]、トリチウム含有水の蒸留電気分解同位体交換法など、いくつか分離方法が存在する[24]。しかしそれでも大量かつ極めて低濃度の水からトリチウム水だけ、分離してまとまった量を回収することはコスト的に非常に困難である[25][26]
トリチウム水からトリチウムを単離するのは上述のとおり極めて難しいため、高い純度のトリチウムを得るにあたっては回収しやすい形で人工的に生成する必要がある。比較的良く知られたトリチウムの生成方法としては、原子炉内でリチウム Li に中性子を当て(中性子捕獲させ)、トリチウムとヘリウム4(4He)に分裂させた上で得るという方法がある[27]。しかし、リチウムはイオン化傾向が高く、少量の水と接触するだけで激しく反応するなどの性質があり危険であるため、水との反応性はなくすがリチウムのトリチウムにはなる性質は残す合金を作るといった研究が行われており、東工大でリチウムと鉛の合金が適しているといった研究結果が出されている。また、この合金だと鉛に当たった中性子は2倍に増えるため、通常より多くのトリチウムが生産されることも期待されている。
{}_{3}^{6}{\hbox{Li}}+{\hbox{n}}\to {}_{2}^{4}{\hbox{He}}(2.05MeV)+{}_{1}^{3}{\hbox{H}}(2.75MeV)
{}_{3}^{7}{\hbox{Li}}+{\hbox{n}}\to {}_{2}^{4}{\hbox{He}}+{}_{1}^{3}{\hbox{H}}+{\hbox{n}}
ただし、この方法の場合、十分な量のトリチウムを生成するためには中性子がその分相当量必要となり、やはりトリチウムの価格がデューテリウム(二重水素)に比べて高くなる[28]

自然界での生成

宇宙線中性子または陽子が大気中の窒素または酸素と核反応し、地表面積あたり毎秒0.2[個/cm2⋅sec] 程度の割合で三重水素が生成している。地球の表面積を 5.1×1014[m2]とすると、トリチウムの年間生成量は約72[PBq](P=1015)となる[29]。放射性崩壊と天然生成量が平衡にあるとき、その同位対比は地表に存在する水素原子の 10−18 に相当し、これを1 TU (Tritium Unit) と定めている。
{\displaystyle {\ce {{^{14}N}+{^{1}n}->{^{3}H}+{^{12}C}}}}
{\displaystyle {\ce {{^{16}O}+{^{1}n}->{^{3}H}+{^{14}N}}}}

規制基準

発電用原子力施設で発生する液体状の放射性廃棄物については、放射能の時間による減衰、多量の水による希釈などの方法で排水中の放射性物質の濃度を規制基準を超えないように低減させた上で排出することとなっている[30]。トリチウム水については、周辺監視区域外の水中の濃度が60[Bq/cm3](=6×104[Bq/L]) を超えてはならないと定められている[31]高度情報科学技術研究機構(もと原子力データセンター)によると、トリチウムには海産生物による濃縮効果がないと考えられている[32][33]。そのため、他の核種の100倍を越える量[32]が海洋に放出されている。
2001年には、英国ブリストル海峡での二枚貝やカレイの体内に、高濃度のトリチウムがあるとの論文[34]が発表されているが、海水の濾過が不十分であると、トリチウム水以外のトリチウムが加算され、生物濃縮が過小評価されうること等、トリチウム及び濃縮率の測定問題等が指摘されている[35]英国食品基準庁の指針に従い、1997年より10年間、毎年調査をし続けた結果では海水が5〜50Bq/Lであったのに対し、ヒラメは4,000〜50,000Bq/kg、二枚貝イガイは2,000〜40,000Bq/kgの濃縮が認められ、濃縮率の平均値はそれぞれ3,000倍と2,300倍であった[35]。 一方で、トリチウム水で育てた海藻を二枚貝イガイへ与えた実験では、投与量に比例してトリチウムが蓄積し続けることが確認されている[36]
液体状の低レベル放射性廃棄物の海洋放出の安全性については、主に再処理施設に関してだが、次の答申
がある。
一般的な原子力発電所では年間約1.0〜2.0×1012[Bq](1〜2兆ベクレル)ほどトリチウム水を海洋に放出している(表参照)[37]
実用発電用原子炉施設からの年度別トリチウム水放出量(単位:[Bq])
施設名 2007年 2008年 2009年 2010年
東京電力(株)福島第一原子力発電所 1.4×1012 1.6×1012 2.0×1012 -
東京電力(株)福島第二原子力発電所 7.3×1011 5.0×1011 9.8×1011 1.6×1012
出典:平成23年版(平成22年実績)原子力施設運転管理年報 p.602

脚注

  1. ^ T という記号は三重水素という水素の同位体に対して特別に割り当てられた記号である。通常、元素の同位体の記号は元素と共通であり、左肩に質量数を付与して同位体であることを示すのが一般的である。このようにある元素の同位体に対して特別な記号が与えられているものとしては、他には二重水素 (D) がある。
  2. ^ 水分子は水素原子2個と酸素原子1個からなることから、その化学式は良く知られているように、
    H2O
    である。これを全原子を明示する形に冗長に書けば、
    HHO
    となる。地球上に存在する大半の水素と酸素の質量数はそれぞれ1と16であるので、質量数を明示する形でさらに冗長に書けば、
    1H1H16O
    となる。ところで、トリチウム水とは水分子の一つ(または二つのこともあるかもしれないが今は考えない)の水素 1H が3倍の重さの三重水素 3H に置き換わったものであった。したがって、トリチウム水であれば水分子の式は、
    1H3H16O
    と書ける。さらに、三重水素 3H には特別な略記号 T が与えられていた。すなわち、3H は単純に T に置き換えて良い。したがって、
    1HT16O
    と書ける。ここで最後に、左肩の質量数の添字を省略すれば、トリチウム水を表す水分子の式は、
    HTO
    となることがわかる。
  3. ^ トリチウム水 HTO は、天然存在濃度では、軽水( H2O)と性質や反応にほとんど違いがなく、水の理想的なトレーサーとしての利用がある。宇宙線の作用による生成速度を一定とみなせば、放射性壊変による消失速度が一定であるので、地球における天然の三重水素総量は古今とも一定値となる。 大気循環しているトリチウム水濃度はおおまかに地球上で動植物も含め一定値と考え、水中濃度の低下量から大気循環からはずれた期間を知る地下水の年代測定が可能である。土木、農業分野での地下水流動の実証的な調査に役立てられている。
  4. ^ 日本国内で測定された最高値は、原発事故を起こした福島第一原発の港湾内2・3号機取水口間にて2014年5月12日に採取した海水から1900 Bq/L検出されている。放射能濃度、5カ所で最高値=福島第1港湾内外の海水—東電 2014 年 5 月 16 日 20:30 JST 更新 ウォールストリートジャーナル
    他の原発の例では、1991年2月9日に美浜原発の放射能漏れ事故の際に、福井県美浜沖の海水で1991年2月18日に測定された490 Bq/Lであった。また、東海再処理施設の排水の影響により、茨城県東海沖で1990年1月1日に190 Bq/Lの三重水素が海水から検出されている。
  5. ^ 日本国内の環境中における三重水素濃度は、文部科学省の委託で日本分析センター環境放射線データベースを公開している。世界の環境水中の三重水素濃度は、国際原子力機関(IAEA)がGNIPデータベース(Global Network for Isotopes in Precipitation)として公開している。また、放射線医学総合研究所のGNIPデータベース用の測定データも環境中のトリチウム測定調査データベースNETS DBで利用申し込みにより無料で検索できる。
  6. ^ 1[PBq](1ペタベクレル)=1015[Bq](1千兆ベクレル)
  7. ^ 宇田(2009)
  8. ^ 核兵器(分裂と融合)の大気圏内核実験により環境中の濃度は、それ以前の天然存在量の200倍程度へと急増したが、環境中への放出量の減少により漸減している。百島則幸:トリチウムの環境動態 富山大学水素同位体科学研究センター研究報告
  9. ^ なお、再処理施設からの放出実績及び基準については、表2 再処理施設からの放射性気体廃棄物の年間放出実績(1977年度〜1996年度)及び表3 東海再処理施設保安規定に定める処理済廃液の放出基準および1年間の最大放出量ATOMICA:再処理施設からの放射性廃棄物の処理内図表)参照
  10. ^ 宮本 (2008)
  11. ^ 武谷(1957) p.194
  12. ^ 松岡 (1995) p. 9, 10
  13. ^ 須山 (1981)
  14. ^ 詳細は、松岡 (1995) p. 9, 10参照。なお、その事例の報告を受けICRPの安全基準は改訂されている。同書より。
  15. ^ 放医研(1978)放医研(1986)放医研(1999)
  16. ^ 井上 (1989), 理科年表
  17. ^ 松岡 (1995) pp. 13–14
  18. ^ またトリチウム水は、分子生物学の実験などにおける、放射性同位元素標識にも利用される。
  19. ^ 一般環境中の濃度は 1〜3 Bq/L 程度と低いため、特別にバックグラウンドノイズを軽減した液体シンチレーションカウンターが必須である。なお、かつてはガスカウンターが用いられた。百島則幸:トリチウムの環境動態 富山大学水素同位体科学研究センター研究報告
    別な方法としては、崩壊で生じる 3He を質量分析装置で計測する方法もあるが、数ヶ月の期間が必要である。トリチウム 原子力資料情報室 (CNIC)
  20. ^ 原水爆実験 (1957) pp. 194–197
  21. ^ トリチウム 原子力資料情報室 (CNIC)
  22. ^ 一般的な溶媒である水そのものであるため、化学反応により溶媒に不溶性の化合物を作り沈殿させ、それをろ過するという手法などが使えない。
  23. ^ 水素は同位体の質量比がすべての元素の中で最も大きく、同位体分離が一番容易であると言われる。資料(2014) p.29
  24. ^ 資料(2014) pp.29-38、磯村 (1981)
  25. ^ 現在もっとも多くのトリチウムを生成している施設は原子炉の一種であるCANDU炉である。CANDU炉では重水を冷却と減速材に使用するため、重水中の重水素が中性子を吸収することにより生じる。トリチウムの回収はCANDU炉使用の上で重大な問題であり、回収されたトリチウムは科学的、あるいはその他の目的に使用されるが、一部は環境中に放出される。実際、カナダのブルース原子力発電所や韓国の月城原子力発電所周辺では環境中トリチウム濃度の増加が観測されている。
  26. ^ 膨大な汚染水から低濃度のトリチウムを分離するのは溶媒が水であるがために難しく、原子力施設から環境中に放出されたトリチウムは2015年現在の技術では除染できない核種である。
  27. ^ 原水爆実験 (1957) pp. 194–195。ほか、工藤 (1985) に詳しい。
  28. ^ 本来、原子炉内で核分裂に寄与しない中性子は、燃料棒などに含まれるウラン238プルトニウム239に核変換させるために利用させるため、この方法ではプルトニウムを作る代わりにトリチウムを作るということになり、プルトニウム価格に応じて高くなる。武谷著作集3 pp. 281–285
  29. ^ 宇田(2009)
  30. ^ 実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則九十条六・七、規制基準資料 p.2
  31. ^ 試験研究の用に供する原子炉等の設置、運転等に関する規則等の規定に基づき、線量限度等を定める告示別表第1(ただし、核種の表記として『3H』とするべきところ、『3H』という表記になっている。)、規制基準資料 p.3
  32. ^ a b 環境・安全専門部会報告書(環境放射能分科会) 第3節 軽水型原子力発電所からの放出実績及び被ばく評価 5
  33. ^ トリチウムの環境中での挙動”. 原子力百科事典ATOMICA. 2017年6月11日閲覧。
  34. ^ McCubbin D et al (2001). "Incorporation of organic tritium (3H) by marine organisms and sediment in the severn estuary/Bristol channel (UK)." Mar Pollut Bull. 2001 Oct;42(10):852-63. PMID11693639
  35. ^ a b Enhancement of tritium concentrations on uptake by marine biota: experience from UK coastal waters,Hunt GJ1, Bailey TA, Jenkinson SB, Leonard KS.,J Radiol Prot. 2010 Mar;30(1):73-83. doi: 10.1088/0952-4746/30/1/N01. Epub 2010 Mar 10. [1] (PDF)
  36. ^ Jaeschke et al. (2013). “Bioaccumulation of tritiated water in phytoplankton and trophic transfer of organically bound tritium to the blue mussel, Mytilus edulis.” J Environ Radioact. 2013 Jan;115:28-33. PMID 22863967
  37. ^ 放射性廃棄物の海洋投棄については昭和40年代から調査検討されている。参考資料2

参考文献

全般
核融合・水素爆弾について
生物影響について
その他

関連項目

外部リンク