2011年12月17日土曜日

天孫降臨

熱中性子炉

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原子力工学における熱中性子炉(ねつちゅうせいしろ、: thermal-neutron reactor)とは、主に熱中性子によって核分裂連鎖反応を維持する原子炉を言う[1][2]。水(軽水重水)または黒鉛などの減速材を必要とする。

概要


減速材
燃料棒
制御棒
或る燃料棒中で発生した高速中性子は減速材中で減速し熱中性子と呼ばれる状態へ変化した後、他の燃料棒へ達する。
原子炉内の核分裂連鎖反応に伴って放出される核分裂中性子は平均約2MeVもの運動エネルギーを持つ速い中性子である[3]が、235U はこのようにエネルギーが高い中性子に対しては核分裂はし難い。ところが、中性子のエネルギーが「熱中性子」と俗称される0.03〜0.3[eV]にまで落ちてくると235U は、100〜1,000倍核分裂しやすくなるという特徴がある[4]
そのため、効率的な原子炉を作るには核分裂中性子をそのまま使うのではなく、他の原子核に繰り返し衝突させることでエネルギーを失わせた熱中性子を用いて核分裂連鎖反応に使った方が良い。とくに熱中性子による核分裂連鎖反応を維持する原子炉は熱中性子炉(thermal-neutron reactor)と呼ばれる。
なおここで、中性子からエネルギー失わせることを減速(moderation, slow down)と呼び、減速をさせる物質を減速材(moderator)と呼ぶ。

減速材の種類による炉型の分類

熱中性子炉に分類される炉型としては以下の三つがある[5]
軽水減速炉(light water moderated reactor)
一般に軽水炉と呼ばれる。普通の水を減速材として使用する炉を言う。この場合、軽水は冷却材としての役割も果たす。
重水減速炉(heavy water moderated reactor)
一般に重水炉と呼ばれる。重水を減速材として使用する炉を言う。冷却材としては重水を用いる場合と、軽水などの材料を使用する場合がある。
黒鉛減速炉(graphite moderated reactor)
一般に黒鉛炉と呼ばれる。黒鉛を減速材として使用する炉を言う。冷却材としては、炭酸ガスヘリウムなどの気体を使用する場合が多い。

比較

熱中性子炉に分類される軽水炉と、高速中性子炉に分類される高速増殖炉との比較表を以下に掲載する[6]

分裂に寄与
する中性子
燃料 減速材 冷却材 転換比
高速増殖炉 高速中性子 プルトニウム約16~21%
劣化ウラン約79~84%
なし ナトリウム 1.2
軽水炉 熱中性子 ウラン235約3~5%
ウラン238約95~97%
軽水 軽水 0.6
尚、上の表の転換比とは消費される核分裂性物質と、生成される核分裂性物質との比であり、1を超えると増殖率と呼ばれる[7]。高速増殖炉では燃えた量よりも多くのプルトニウムを得ることが出来るため核分裂炉の完成型等と呼ばれる事がある[8]。熱中性子炉の場合は転換比は1を超えることのできない設計となっているため増殖炉とすることは出来ない。また、冷却材にナトリウムを用いる高速増殖炉は、冷却材の温度を現在世界の発電炉の80%以上を占める軽水炉よりも200℃程度上げる事が出来るため、熱効率が高くなるという利点もある[9]。ただ、高速増殖炉において冷却材にナトリウムを用いる場合、ナトリウムの化学的活性が強いため多くの技術的な問題がある事[9]等から熱中性子炉が多く用いられている。

脚注

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  1. ^ 用語辞典(1974) p. 247 『熱中性子炉』
  2. ^ 臨界状態(遅発臨界)は遅発中性子によって維持される。 用語辞典(1974) p.205『遅発中性子』
  3. ^ ATOMICA 熱中性子炉
  4. ^ 石川(1996) pp.12-13
  5. ^ 以下の炉型の説明については安(1980) p.43に基づいた。
  6. ^ ATOMICA 原子炉の比較 - 2011年1月20日閲覧
  7. ^ 出典は参考文献P62より
  8. ^ ATOMICA 高速増殖炉 - 2011年1月20日閲覧
  9. ^ a b 出典は参考文献P64より

参考文献

  • 鈴木穎二著『核エネルギーの世界』東京電機大学出版局、昭和61年11月30日第1版第1刷発行
  • 安 成弘『原子炉の理論と設計』東京大学出版会〈原子力工学シリーズ〉、1980年。
  • 石川 迪夫『原子炉の暴走』日刊工業新聞社、1996年、第2版。
  • S.グラストン, M. C. エドランド『原子炉の理論』伏見康治, 大塚 益比古訳、1955年。
  • 村主 進(編著)『原子炉安全工学』日刊工業新聞社、1975年。
  • 石川 迪夫『考証 福島原子力事故 炉心溶融・水素爆発はどう起こったか』日本電気協会新聞部、2014年。
  • 『図解 原子力用語辞典』原子力用語研究会(編)、日刊工業新聞社、1974年、新版。

関連項目

外部リンク

首相「原発事故収束」を宣言


首相「原発事故収束」を宣言 ステップ2達成、廃炉作業へ

2011.12.16 22:24 防犯・防災
記者会見で福島第1原発事故に関して「原子炉は冷温停止状態に達し、ステップ2が完了すると宣言」と表明する野田佳彦首相=16日午後、首相官邸(酒巻俊介撮影)
記者会見で福島第1原発事故に関して「原子炉は冷温停止状態に達し、ステップ2が完了すると宣言」と表明する野田佳彦首相=16日午後、首相官邸(酒巻俊介撮影)
 東京電力福島第1原発事故で野田佳彦首相は16日、「原子炉は冷温停止状態に達し、事故そのものが収束に至ったと判断できる」と記者会見で述べ、事故収束の工程表「ステップ2」の完了を宣言した。今後は避難住民の帰宅や、廃炉に向けた作業が本格的に始まる。
 原子炉が一定の安定状態になることを意味する冷温停止の達成はステップ2の最大目標で、政府は年内達成を掲げていた。
 政府の原子力災害対策本部によると、1~3号機の原子炉圧力容器下部の温度は約37~67度(16日現在)と100度を下回った。原発から放出されている放射性物質(放射能)の量は毎時約0.6億ベクレルで、事故直後の約1300万分の1まで減少。原発敷地境界の被曝(ひばく)線量は年間0.1ミリシーベルトで、目標の1ミリシーベルト以下を達成した。原子炉の注水が約12時間停止しても敷地境界の被曝線量は1ミリシーベルトを下回ると評価した。
 同本部は「不測の事態が起きても、原発敷地境界の被曝線量が十分低い状態を維持できる」として、「発電所の事故そのものは収束に至った」と結論づけた。
 ステップ2達成は避難した住民の帰宅の条件でもあり、今後、計画的避難区域や警戒区域の本格的な見直しが始まる。野田首相は会見で、「避難指示区域の見直しについて政府の考え方を近く示す」と述べた。
 政府は「年間線量が50ミリシーベルト以上で帰宅が困難な区域」「20ミリシーベルト以上50ミリシーベルト未満の居住制限区域」「20ミリシーベルト未満の解除準備区域」-の3区域に、警戒区域を再編する見通し。土地の買い上げも検討されている。
 また、野田首相は除染作業などへの対応について「当面の費用として1兆円を超える額を用意している。作業要員などに来年4月をめどに3万人以上を確保する」と述べた。

2011年12月10日土曜日

東日本大震災 動画特集


ホーム 東日本大震災 動画特集
 福島県警は東日本大震災が発生した3月11日夕から14日午後にかけ、県警ヘリコプターで撮影した浜通りの映像を発表した。
 津波で浸水し、土台だけになった住宅地をはじめ、太平洋側に引き潮が流れる様子、いわき市久之浜町で住宅が炎上している様子などが映っている。
いわき市平沼の内~夏井川河口~四倉~四倉新港~蟹洗温泉~久ノ浜(火災)~広野火発~楢葉町~木戸川~第二原発

南相馬市鹿島区~松川浦~磯部地区~鹿島球場~南相馬火発~南相馬市鹿島
南相馬市鹿島区~南相馬警察署~原町火発~小高~浪江
第一原発~広野火発
鹿島区北海老~原町火発~第一原発~原町火発火災

2011年12月5日月曜日


★阿修羅♪ > 原発・フッ素18 > 865.html  



日本中がくまなく汚染される“福島の海産物が産地偽装して流通”と・・(広河隆一氏)
http://www.asyura2.com/11/genpatu18/msg/865.html
投稿者 尚林寺 日時 2011 年 12 月 04 日 11:47:33: JaTjL5JPya4go
http://blogos.com/blogger/blogos/article/
12月1日、フォトジャーナリスト・広河隆一氏が都内で記者会見を行なった。主催したのは自由報道協会。1986年に原発事故を起こしたチェルノブイリを何度も訪問して、取材を続けてきた経験を元に、今回の福島第一原発の事故による被曝問題について語った。
  チェルノブイリで被曝した犠牲者の墓や、後遺症に悩む子供たちの姿が次々とスライドで映し出され、会場の記者達は息を飲む場面もあった。広河氏はチェルノ ブイリ周辺と同様に、日本でも「放射性物質に汚染された食品が産地偽装をする形で流通している」と驚くべき警告をした。詳しい記者団とのやり取りは以下の 通り。
―311の震災が起きるまでは、安全神話の元で放射性物質は集中管理されてきましたが、(原発事故で)一旦ばらまかれた放射性物質 をどう管理するのかという政府の方針が定まっていません。ガレキの処理と称して放射性物質を引き取らせるようなこともあるやと伺っています。チェルノブイ リでは放射性廃棄物をどのように処理していたのか、お聞かせください。
広河氏:大体、汚染された立ち入り禁止区域の中に、埋めるという処理 をするわけです。建物にしてもそのまま残しておくと、火災になった場合に濃縮された放射能が拡散する事態になるのを恐れる。それと、中の物を盗み出して、 汚染地であることを隠して売るなんて人間も多くいるそれを避けるためです。そのために、立ち入り禁止区域を設けて、柵の中には「許可証がないと入れない」 という風になっております。
ただ、ベラルーシとウクライナはああいう風に当初から「危険地域だ」と指定されることに反対する勢力もありまし て、それは危険地域と設定してしまうと、逃げる先の住居から仕事場から用意しないといけなくて経済的にも大変ということで、「何とかして安全地域に変えた い」という気持ちがあったようです。それは除染によっては変わらない。
だから、「安全安心」とするための閾値をどんどん上げてしまっている。汚染がひどくて立ち入りが禁止されていたところを、どんどん開放していく傾向があります。それは、ベラルーシとウクライナの両国で原発を建設しようという動きが絡んでいるということですね。
廃 棄物の処理に関しては、食べ物はミルクなんかのある程度のセシウムがあると、廃棄されます。しかし、大体の汚染された物は、別の大きな町に持ち出されて、 汚染されてない物と混ぜ合わせて、(放射線の)平均のベクレル値を下げて販売されるというやり方が、長い間、行われてきました。そうでもしないと、食べる 物がなくなってしまうという状態がありました。
日本でも今は、産地を偽装して売るということになってます。福島の海産物が夜に名古屋まで運 ばれていって、名古屋の市場で安い値段で卸されて業者が買い付けして、関西圏に出回っているということが実際に行われているようです。それは噂としてでは なく、実際にやってる人の親戚から聞いた話です。これからは食べ物によって、福島だけでなく日本中がくまなく汚染される事態になりつつあります。数年後に は福島県の女性の母乳の放射能の値と、九州の女性の値も変わらなくなってくるんじゃないかと思います。
―福島の海産物が名古屋まで運ばれているとのことですが、これを広河さんが信頼できる情報と判断された理由は何でしょうか?
広 河氏:僕もその後、調べている途中ですので、それ以上のことは分らないんです。ただ、一回限りのことではなくて、仕事としてやってると。アルバイトで働い てる人の親戚から聞いた話です。そういう話は、海産物に限らず、他の作物でもおそらくまかり通っているはずです。どこでいつ起きたかという事実関係を発表 するまでには、本人に会って調べたいと思っています。ただし、これは単なる噂ではなく、働いている人の親族の方の話から聞いた話ですから、信頼性が確かだ ということです。
―価格があまりにも安いということもあるんでしょうか?
広河氏:「非常に安い」ということを聞きつけて、(被災地の産品だと)分っている人達が買い付けにくるようですね。