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2015年9月1日火曜日

事故の最終報告書を発表

2015年8月31日、国際原子力機関は2012年から世界40か国以上の専門家ら約180人が検証した事故の最終報告書を発表した。報告書は、日本では原発は絶対安全であるとの思い込みがあったことにより大事故につながったと批判し、各国に安全第一の文化をもつ重要性を強調している。日本の電力事業者間ではこの規模の事故はあり得ないとの思い込みがはびこり、政府規制当局も疑問を持たなかったなど問題点を列挙した。長時間にわたり電力供給が停止することなどを想定外としていたことが事故の主な要因と挙げている。規制当局の責任と権限も不明確でこれも弱点となった。 原子力規制委員会が設けられ改革が行われ緊急事態への備えの強化などの評価をしている[169]。

2012年7月22日日曜日

【赤木智弘の眼光紙背】忘れ去られてしまった、「お金の大切さ」


【赤木智弘の眼光紙背】忘れ去られてしまった、「お金の大切さ」より

「たかが電気のためになんで命を危険に晒さなければいけないのでしょうか?」、確かにその通りである。 原子力発電無用論を支持する私は、坂本氏の意見に賛成である。 余りにもリスクが大きい、利権屋の為の道具でしかない原子力発電などもはや、不要である。 環境に放出される放射性物質、放射能汚染被害、人命を危険に晒してまで、再稼働させるような物でもない。 まして、一部の利益の為の再稼働、電気代の値上げに増税、原子力安全保障の利益確保、大切なお金の為に、人命を差し出し、国土を奪う愚かさに、目を覚まして欲しいものである。
 これは、失われた20年、そして失われゆく30年、まだ、始まったばかり、多くの問題を抱えた日本においては、国民総被曝、再稼働は自滅の選択である。 お金は大切であり、賠償金に保証金、被災され避難生活されている方々、これから問題となる被爆者の方々への償いとお金の大切さが身に沁みるのは、これからである。 国内に抱えた核弾頭、地震大国日本列島、地層の変化を再調査せず、設備の点検も大切なお金の為、安全性も大切なお金の為、「たかが電気のためになんで命を危険に晒さなければいけないのでしょうか?」、このような状況を理解して方々は当然、賛同するでしょう。 批判はさておき、原発反対、日本は脱原発唱える事を政策に、必ず起こす原子力事故、再稼働反対に「政治的な決断」を行って欲しいものである。

2012年7月13日金曜日

終息しない、原子力事故

事故は、未だに終息してはいない。 食べて被爆、安全性をアピールする国家、原子力事故をいかにも安全で、無害なものであるかを強要し、事故の隠蔽工作に明け暮れる・・・。
それほど、重大な事故が時が過ぎるとともに記憶が薄れていく・・・、膨大な情報がリアルタイムで飛び交う現代、正しい情報が得られにくいのである。
国内初の核実験を行った、日本は核実験を政府主導のもとに、行いつつある事実、政治的決断を行う、独裁政権の幕開けとなる開戦国、日本である。
軍事力増強、民主主義の崩壊と、国家の体質は軍国主義えと、変貌するのである。 国の政策が、陰りを見せ始め、今後の問題が棚上げされる現政権、内閣分裂は事故の終息ではなく、始まりに過ぎないのである。 傲慢な政策、政治的な決断と、おもいあがった判断を、政策と勘違いし、なすり合いの泥仕合が政治であると、思い込んでいる。 それほど、逼迫した状況では、まともな判断など下せるはずもなかろう。 結論は、日本が終息し、原子力事故はあらたなる問題に直面した訳であるから、今現在に至っても、危険な状況下に有り、人類滅亡の危機と隣り合わせである。
自らの手で、生み出した不始末に責任を負えない、放置国家なのである。

2012年4月13日金曜日

三発目の原爆は、原発であつた

太平洋戦争の終結、二つの原水爆の投下(リトルボーイとファットマン)二十世紀に核を放たれた日本帝国は、世界初の被爆国として、原子力利用に於ける被害を身をもって知る事となった国、多くの国民を犠牲に成り立った国でもある我が国、日本である。
第二次世界大戦を知らない私たちは、先人の犠牲の上に成り立っている事を再確認する必要があると想う。 意識レベルの低下、薄れゆく記憶、実際に核爆発を体験していると言った事実が、原発利用の推進を強め、破壊兵器ではなく、発電する為のエネルギー源であると研究開発が進んだのかもしれない。 核エネルギー反応、原子力エネルギー反応は、効率のよいエネルギー源であるが、経済性と汚染廃棄物といった副産物は浄化できない汚染物質を新たに生み出す人工的な有害物質を作り出す点にある。 この有害物質が放射能であり、核兵器に利用される大量殺戮の為の原爆や水爆のエネルギー源である核分裂エネルギーである。
 放射線治療、X線などは、これらの応用で、極めて人体に影響を及ぼさないが、放射線エネルギーを放つ、鉱物資源など自然界が放つ放射線は数多く存在する。
ちなみに、核爆発では8シーベルト、半減期間は約10分程度で、3ヶ月以内に100%死亡する被爆線量である臨界被爆線、閃光が見えた場合には、7、8シーベルト?線源からの距離にもよるが、4800シーベルト毎秒で確実に致死に至る。 爆死ではないが、被曝死である。 一般に年間被爆線量が4mシーベルト毎時であるが、一年は、8760時間
0.000456621マイクロシーベルト毎時の被曝線量を常に受けていることになると考えると、体内に取り入れられる放射線量の基準は適切であろうか?疑問が残るのであるが、内側に内在し続ける放射線源、体外への排泄はされづに半減期間のあいだ放射線量を放つ訳であるから、体内への摂取、内部被爆にはより、注意が必要であろう。
専門家ではないが、いづれにせよ危険である事は確かな事である特に、成長期の未成年の子供達や生まれて間もないお子さんをお持ちのご家族は、バラ撒かれた放射能汚染は、子供手当てなどでは決してまかないきれるものではないのである、命に関わる重要な問題である生産者への保証はあっても全国の消費者への保証は無いのであるから料金の値上げや増税、無意味なNHK視聴料金、無駄な公共事業、設備投資と上げれば切りがない。
原子力発電は、今の日本には必要の無いものの象徴であると言えるのである。

 

2012年3月27日火曜日

21世紀、史上最大の核自爆

20世紀、世界大戦の開戦国である大日本帝国、核実験の為に投下された敗戦国の末路である。
領土問題、侵略行為の愚かさを、民衆の犠牲に思い知らされた大戦の敗退、過ぎた事とは言え、犠牲になつた、多くの人命を愚かな行為の代償としては、あまりにも大きすぎるのである。
この事は、今回の原発事故、21世紀、史上最大の核自爆の末路を考えていただきたいのである。
自ら、自爆自滅の意思表明を原発再稼働という愚かな行為、暴走する核分裂炉のようなものである。 原発の再稼働は、自殺行為である事に、国家破滅行為である事に気づかないでいる、哀れで救いようのない政策には、「呆れてものが言えない」と考えている方々がほとんどであろう。
関電の犯した、過ちは「1500万足らずの、はした金で、五人調査官らを買収」である。 金額が少なすぎるし(一人頭、最低3億は積んでいただきたい)、目先の端金で、便宜を図って貰えると考え方に、関電も自滅を選択しているのである。 大口需要である、工場の移転で消費が冷え込む中、原発の再稼働は、見送るべきであろう。 老朽化した、原子炉は放射性物質の増殖炉であり、汚染物の拡大を促進するだけの、自滅行為である。 東電のあほの次は、関電のあほが、過ちを犯す事に異論はないのである。 関電本社を、原発施設内に置いてもらわない限り、安全性は証明できないのである。 安易に、便宜を図って貰う行為に出る前に、対して役に立たない、本社を移転させ、安全性をアピールするほうが、話は簡単で現実的であるのだから。
所詮は、天下り企業である、今以上に悪化する事は、明白であり、決して改善などされないと断言できる。 この企業体質を変えられない企業は、破滅するだけである。 近い将来、必ず事故を引き起こすのは、自明の理なのだから。
 電力の輸入も、考えなくてはならない時期なのかもしれない。

自ら自滅する、国家

これ以上、問題を肥大させては絶対ならないのである。 経済性を優先させ、安全性を無視する行為は、滅亡を早めるだけである。 日本が、自滅を選択しているのは明らかである。 一日も早く、例背に対処していただきた。 いかに危険な状況下におかれているかを冷静に考えていただきたいのである。 復興ままならぬ、日本!、それだけ、問題の根は深いのである。 先進国における被ばく実験としての、日本列島、犠牲となる島民である。
原発の再稼働は、自滅行為である事に、早く築いてほしいものである。 島民であり、被ばく大国である日本、安全性を無視する行為、偽装工作された、安全性に保障などないのである。
いまの日本では、政治のコントロールも、核分裂のコントロールも不可能である。
原発で自爆した、21世紀の象徴が、福島原発事故であると言える。 日本の新たなる、観光名所となるか、被災の象徴として、国家破滅のモニュメントとなるか、海洋を汚染し続ける日本、まさに汚染大国日本である。 国家滅亡の危機である。

2012年3月20日火曜日

大阪市の「ゼロリスク原理主義」


大阪市の「ゼロリスク原理主義」

2012年03月19日 13:16
大阪府市統合本部の「エネルギー戦略会議」が18日開かれ、関西電力の筆頭株主(持株比率8.9%)である大阪市として「全原発の廃止」など23項目の株主提案を6月の株主総会に提出することを決めた。その骨子は公表されていないが、朝日新聞によると次のようなものだ:
  • 可及的速やかに全ての原発を廃止
  • 絶対的な安全性の確保
  • 原発事故発生時の損害賠償リスクを会社の負担能力内に
  • 使用ずみ核燃料処理方法の確立
  • 需要が供給能力を上回る場合のみ必要最小限の安定的稼働を検討
  • 再生可能エネルギーによる発電所の大規模導入
  • 発送電の分離
「絶対的な安全性」とは何だろうか。「リスクをゼロにする」ということを意味するなら、それには全原発の稼働をただちにやめて廃炉にするしかない。原発を「全廃」する期限がいつか示されていないが、1日でも動かしているかぎりリスクはゼロではないので、「必要最小限の安定的稼働」というフレーズはそれと矛盾している。大阪市はどっちを考えているのだろうか。

おそらく彼らも、経済性とリスクにトレードオフがあることぐらい知っているだろう(座長は京大の植田和弘氏だ)。株主として考えるべきなのはリスクをゼロにすることではなく、株主利益を最大化するにはどれぐらいリスクを負担すべきかということである。

原子力安全委員会によれば、苛酷事故のリスクはIAEA基準では10万炉年に1度だが、いろいろな要因を最大に考慮すると500炉年に1度である。関電の管内には11基の原発があるのでリスクはこの11倍、すなわち最大でも約50年に1度である。賠償額を約5兆円とすると、これを確率で割り引いた1年あたりのリスクは1000億円。昨年(4~12月)の関電の燃料費増による損失3300億円よりはるかに小さい。

この500炉年に1度というリスクはIAEAの想定の200倍であり、現実には福井県の近海で東日本大震災クラスの地震や津波が起こることは想定されていない。起こったとしても電源装置の防水性には問題がなく、配管の耐震性は福島第一でも証明された。これらの想定がすべて間違っていてチェルノブイリと同じような事故が起きたとしても、作業員以外の人的被害は考えられない。

つまり原発を稼働することによる株主利益は、事故のリスクを最大限に勘案しても2000億円以上あるので、リスクを保険でヘッジすればよい。「人命は金に代えられない」という人もいるかもしれないが、人的被害は原発の50年以上の歴史の中でOECD諸国ではゼロなので、ここで想定されるリスクは農産物などの経済被害だけであり、計算可能である。

使用ずみ核燃料については、Economist誌も指摘するように技術的には何の問題もなく、海洋投棄や海外投棄で解決できる。問題はこれを政治的に利用する勢力と、それに迎合する政治家である。その処理コストをすべて内部化しても、既存の原発を稼働することは火力よりはるかに安く、株主利益にかなう。

原発の直接のコストだけでなく、機会費用を考えなければならない。再生可能エネルギーは原発の代わりにはならないので、原発を廃止したら火力を増やすしかない。しかしOECDも指摘するように、大気汚染で全世界で毎年300万人が死んでおり、最悪の汚染源は石炭火力だ。これが原発を廃止する機会費用である。

大阪市の追求するゼロリスク原理主義は、合理的なリスク配分を考えないで大衆に迎合する最悪のポピュリズムだ。資本主義の原則は、リスクをゼロにすることではない。株式会社は、リスク負担を最適化してリターンを最大化するための制度である。リスクをゼロにしたければ、大阪市はただちに保有する関電株をすべて売却すべきだ。

池田信夫の記事

2012年3月17日土曜日

中間貯蔵施設から六ヶ所再処理工場へ


中間貯蔵施設から六ヶ所再処理工場へ?! でたらめな関電新聞広告

キャスクが中間貯蔵施設から出て行く50年先には、六ヶ所再処理工場は寿命が来ている。
 そもそも六ヶ所再処理工場で処理できない分を中間貯蔵施設に運ぶので、中間貯蔵施設から六
ヶ所に行くはずは全くない。 交渉でも50年後に第2再処理工場ができていなかった場合どこ
に運び出すかを追及したが、いい加減な返答しかできなかった。

 関電は交渉の前日、和歌山県の地方紙に中間貯蔵施設の広告を掲載した(下図は広告の一部)。
その図の中間貯蔵施設から伸びる矢印の先の再処理工場の説明には「青森県六ヶ所村で建設中」
と書かれ、六ヶ所に行くような説明になっている。 また、この新聞広告での「リサイクル燃料
貯蔵センター(中間貯、蔵施設)」は「青森県むつ市で建設中」で全国54基の原発から運び込まれるような説明になっている。 明らかにデタラメな宣伝、情報操作である。
明らかに、騙すことを意図とした。

関電にお詫びと訂正の広告を掲載するよう要求した。 広告記載における、情報操作を悪用している企業関係者、発案の段階で、すでに被爆しているのだか、半減期は長いのである。

2012年3月15日木曜日

#75 ドイツの研究分野の阻害

#75 ドイツの研究分野の阻害

核関連施設の廃墟のために数十億の研究費を費やしている。
研究炉、実験炉、試験発電所、パイロットプロジェクトとしての発電施設、高速増殖炉、ホ
ットラボ、試験再処理工場――数十億ユーロものコストを50 年代からこれまでにドイツは原
子力研究や原子力技術につぎ込んできた。これらはとうの昔に廃止されており、放射線を
撒き散らすこれら廃墟のために現在も膨大な研究予算をかけ続けている。
連邦研究省はこれまでに30 億ユーロもの税金を解体、浄化、核廃棄物の処理などに投
じてきたが、さらに同額が今後の数年間で必要になるという――これは他の分野の学問や
研究のために不足している私たちにとって大切な財源のはずだ。


#76 脱原発先送りの利益


脱原発の期限延長で利益を得るのは電力コンツェルンのみである。
ドイツのすべての原子力発電所はかなり前に減価償却されている。それによって今では、
とりわけ賠償保険の欠如、燃料税の非課税、さらに内部留保の免税措置もあって、かなり
安価に電気が生み出されている。しかし、私たち消費者は、その恩恵には全く預かっていな
い。
なぜなら電力価格は電力市場で決まり、その取引価格は需要のピーク時の価格に依存
するからだ。原子力発電所はこうしたピーク電力は、出力調整が効かないため全く発電でき
ない。その結果――古い原子力発電所からの電力による利益は、電力コンツェルンのみが
得ている――原発を長く稼働させればさせるほど、さらに多くの利益が。2002~07 年までの
間にEnBW、E.ON、 RWE、Vattenfall という4 大電力コンツェルンはそれぞれの利益を3
倍にした。
 電気料金が下がったところはどこにあったか?

東京電力は、値上げをしたが、電力を消費する立場の人たちは、反対する。 値上げをしてまで、再稼働させる必要もなく、重大事故を引き起こした、東電の無責任すぎる対応、企業としてのありかたに問題がある。
 今回の震災による発電所の被害は、東電の怠慢であり、安全性を怠った事が原因であると断言したい。
安全を怠った、企業の在り方が引き起こした人災なのである。 ここまで、問題が大きくなると、東電のように、他人事のように、配慮無き無責任な言動が、安易な言動がまかり通るものかもしれない。 このような企業が、原子力を取り扱う事自体が誤りであり、民間レベルで原発を運用、管理は非常に危険なものであると証明された。
もはや、地方自治体や民間企業などで誘致、運用、管理は行ってはならないのである。
東電の原子力発電事業は完全に崩壊したのである。 断固、再稼働させてはならない!、これを機に脱原発を推進しましょう。 脱原発は先送りしてはならない。目先の利益を優先する国や企業が引き起こす問題の数々、その犠牲になるのは民衆なのである。
 独占的な市場、国家機関ともいえる電力会社、サービスの向上、安全性に配慮を欠く企業は生き残ることはないのである。 事実上、倒産である東電は、自ら自爆してしまったのである。
他の電力会社は、前者の轍を踏むまい。 電力需要はなんとか賄えているいま、脱原発を唱え、新たなエネルギー開発に傾注するのである。
 長らく、不当に利益を貪り続けてきたのだから、被災保障、施設廃棄などで掛る費用は十分賄える訳であるから、ここに至っては問題はないであろう。



福島第1原発の事故で東電と国を集団告訴


福島第1原発の事故で東電と国を集団告訴へ 業過致死傷の疑い

2012.3.14 23:17 [東日本大震災]
東京電力福島第1原発の事故を防げずに多くの人々を被ばくさせ、近隣の入院患者らを避難途中に死亡させたなどとして、福島県の二つの市民団体が、東電幹部や原子力安全委員会、経済産業省原子力安全・保安院幹部ら国の責任者について、業務上過失致死傷などの容疑で福島地検への告訴を検討していることが14日、分かった。
市民団体は「脱原発福島ネットワーク」と「ハイロアクション福島原発40年実行委員会」。5月中旬にも福島地検に告訴状を提出する計画で、福島県民の参加を募り千人規模での集団告訴を目指す構え。
大量の放射性物質を拡散させたことに対し「人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律」違反容疑での告訴も検討する。ネットワークの世話人を務める佐藤和良いわき市議(58)は「あれだけの大事故を起こしながら、誰ひとりとして刑事的な処分を受けていないのはおかしい」と話している。

関連ニュース

2012年3月14日水曜日

小出氏が原発事故の真実語る


小出氏が原発事故の真実語る 講演会に800人

小出氏講演会 京都大学原子炉実験所助教の小出裕章氏をを招いた講演会「福島原発事故の真実~事故がつきつけた原発の危険」が10日、京都市下京区のシルクホールで開かれ、約800人が参加しました。京都府保険医協会と「バイバイ原発3・10きょうと」実行委員会の共催。
小出氏は、原子力発電所の問題点として▽広島・長崎の原爆よりもはるかに多くの放射性物質を持つ▽危険性があるため、電力会社は都会に原発をつくらない▽燃料のウランは有限▽生み出された放射性廃棄物は、100万年にわたって隔離しなければならない―などをあげました。
福島原発事故によって、失われた土地や子どもを中心にした被ばく被害、農作物被害など被害全体の大きさは、国家が破たんするほどの規模だと指摘し、「福島では、年1ミリシーベルトをはるかに超える地域で子どもたちが住んでいます。子どもたちを守るために行動しなければならない。原発を即刻全廃するため、みなさん力を合わせましょう」と呼びかけました。
「がれきの処理はどうすればいいのか」「除染は可能なのか」などの質問が出され、小出氏が回答。主催者から今後の運動提起や、署名協力の呼びかけなどが行われました。
 原子炉実健所の専門家が真実を語る放射性廃棄物の処理問題、放射能汚染処理、数え上げればきりがない問題が山積みである。

2012年3月13日火曜日

権力と利権


 権力と利権 

#72 補助金

原子力開発部門は数十億ユーロ規模の補助金を得ている。
原子力技術の研究と開発に対しては、ほとんどすべて国が支払っている。さらに国は最
初の原子力発電所の建設にも税金で力強く支援をし――そして原発の解体作業にも引き続
いて国費が投入されている。
それに加えて減税措置や数多くの助成金、核廃棄物の処理費用、国庫の優遇的な利用、
輸出の際の担保契約がある。1950~2008 年までに、直接的、あるいは間接的に国が支
払った補助金は1,650 億ユーロに達し、さらに930 億ユーロはすでに支払う予定がある。
欧州原子力共同体(EURATOM)は、これまでおよそ4,000 億ユーロを原子力産業にばら
撒いてきた。そして今でも毎年2 億ユーロほどの税金が、新しい原子力プロジェクトと原子
力の研究に流れている。

#73 非課税の燃料

ウラン消費は非課税である。
非課税の唯一の燃料として、ウランはこれまでに課税されたことがない――毎年数十億ユ
ーロの原子力コンツェルンへの贈り物だ。さらに核燃料製造の際に生じるCO2 排出に対
しても、原子力コンツェルンはCO2 排出権を購入する義務がない。
#74 非課税の内部留保
原子力コンツェルンは、数十億の収入に対して税金を払う必要がない。
数十年にわたって原子力発電所を運営する企業は、原子力発電所の解体や核廃棄物の
貯蔵のためと称する内部留保に対して、非常に寛大な免税措置を享受している。この内部
留保が生み出す利子ですら免税なのだ。これまでに蓄えてきたおよそ280 億ユーロのそ
のお金を、原子力コンツェルンは他の企業を買収したり、新規事業へ投資する軍資金とし
て活用している。
連邦財務省はこの免税措置によってこれまでに最大82 億ユーロの収入を逃してきた。

#75 ドイツの研究分野の阻害

核関連施設の廃墟のために数十億の研究費を費やしている。
研究炉、実験炉、試験発電所、パイロットプロジェクトとしての発電施設、高速増殖炉、ホ
ットラボ、試験再処理工場――数十億ユーロものコストを50 年代からこれまでにドイツは原
子力研究や原子力技術につぎ込んできた。これらはとうの昔に廃止されており、放射線を
撒き散らすこれら廃墟のために現在も膨大な研究予算をかけ続けている。
連邦研究省はこれまでに30 億ユーロもの税金を解体、浄化、核廃棄物の処理などに投
じてきたが、さらに同額が今後の数年間で必要になるという――これは他の分野の学問や
研究のために不足している私たちにとって大切な財源のはずだ。
#76 脱原発先送りの利益
脱原発の期限延長で利益を得るのは電力コンツェルンのみである。
ドイツのすべての原子力発電所はかなり前に減価償却されている。それによって今では、
とりわけ賠償保険の欠如、燃料税の非課税、さらに内部留保の免税措置もあって、かなり
安価に電気が生み出されている。しかし、私たち消費者は、その恩恵には全く預かっていな
い。
なぜなら電力価格は電力市場で決まり、その取引価格は需要のピーク時の価格に依存
するからだ。原子力発電所はこうしたピーク電力は、出力調整が効かないため全く発電でき
ない。その結果――古い原子力発電所からの電力による利益は、電力コンツェルンのみが
得ている――原発を長く稼働させればさせるほど、さらに多くの利益が。2002~07 年までの
間にEnBW、E.ON、 RWE、Vattenfall という4 大電力コンツェルンはそれぞれの利益を3
倍にした。
電気料金が下がったところはどこにあったか?

#77 電気料金

原子力発電による電力が、電気料金を高騰させている。
電気料金はここ数年高騰している――原子力発電をしているにもかかわらず。その決定的
な原因の1 つは、ライプツィヒ電力取引市場の電力供給量を圧倒的に支配している4 大電
力コンツェルンの独占権力である。2002~08 年にかけてEnBW、E.ON、RWE、
Vattenfall の4 社は、およそ1,000 億ユーロの利益を計上した。同じ期間中に彼らは電
気料金を50%以上値上げしている。
原子力発電所はコンツェルンの市場での独占権力を強固にし、数十億もの利益を確保す
る。それに対して再生可能エネルギーは、すでに今日の時点でも電気料金を緩和する効果
がある。風力発電の恩恵で、消費者は毎年数十億ユーロも節約しているのだ(Merit-
Order 効果)。
もし現在の原子力への過大な助成措置がなくなれば――例えば、原子力発電所に現実的
な賠償保険額をカバーすることを義務付けたり、内部留保の非課税を取り消したり、ウラン
燃料税を導入すれば――たちまち原子力発電からの電力は誰もが購入できないほど高騰
する。スイス・バーゼルのPrognos 研究所は、1992 年に現実的な原発電力の値段をおよ
そ2 ユーロ/kWh と算出している。

#78 市場で生き残れない

新規の原子力発電所は採算が取れない。
市場経済が支配的なここ20 年間においては、原子力発電所はほとんど建設されていな
い――同じ期間中に世界全体の発電所出力は数十万MW増加しているにもかかわらず。
これは、新規の原子力発電所は採算が取れないことを意味している。
この点においては、フィンランドとフランスの両国で建設中の最新の原子炉についても全く
同じだ。フィンランドの原子炉はダンピング価格の入札で、補助金を与えられた上で決まっ
た(とりわけバイエルン州立銀行の好条件の低利子融資=バイエルン州の補助、訳注:シ
ーメンス社はバイエルン州を代表する企業)。建設コストはとうの昔に高騰している。またフ
ランスでは、原子力産業AREVA 社と電力独占企業EdF 社がしっかりと国の手中にあり
――そこでは市場経済原理などほとんど考慮されない。
E.ON 社の経営者も率直に「国の金なくして、原子力なし」と認めている。
#79 コンツェルンの権力
原子力は、エネルギー供給の中央集権構造と巨大電力コンツェルンの権力を強固にする。
ドイツでは、4大電力コンツェルンが電力市場を支配している。電力コンツェルンは電力系
統を独占し、大型発電所を稼動させ、電気料金を決定し、信じられないほど深くエネルギー
政策に食い込んでいる。原子力は電力コンツェルンの影響力を強化する。市民出資、また
は地方自治体の管理による分散型で効率が高く、環境に配慮された発電所は、電力コンツ
ェルンの影響力を弱める。それゆえ、原子力発電所を運営する電力コンツェルンは、そのよ
うな発電所を全力で阻止しようとする。


2012年3月12日月曜日

気候保護と電力供給


 気候保護と電力供給 

#66 安定供給

原子力発電所は安定供給をしているわけではない。
原子力からの電気――それは停電も意味する。安全性欠如のため、例えば原発ビブリス
A では2007 年に全く発電しなかった。原発ビブリスB も同時に13.5 カ月間停止している。
2009 年初頭、この2 つの原子炉はまたもや稼働を停止した――それぞれ13 カ月、および
9 カ月にわたって。原発クリュメルはすでに3 年間発電しておらず、原発ブルンスビュッテル
も同様の状態だ・・・
2007 年と2009 年には、17 基の原子炉のうち7 基が同時に修理のため停止された。ま
た夏季には原子力発電所が役に立たない――河川水温が高すぎて、冷却水を確保できず、
定期的に出力を落とさなければならないからだ。

#67 過剰生産

原子力発電所は無駄が多い。
2007 年と2009 年において、17 基ある原子力発電所のうち7 基が一時的に同時に停止
された時でさえも、ドイツは相当量の電力を輸出していた。連邦環境省と連邦経済省はそ
れぞれ独自の調査によりこれを裏付けている――電力供給の空白は生じず、脱原子力によ
っても安定供給はなされる。原発を廃炉しても、再生可能エネルギーや節電、コージェネレ
ーションで代替することができる。

#68 温室効果

原子力からの電気はCO2 フリーではない。
ウラン採掘やウラン精製、ウラン濃縮には莫大な量の気候変動の原因となる温室効果ガ
スが排出される。それゆえ今日でもすでに、原子力発電の電力は、風力や天然ガスによる
コージェネレーションの電力よりもCO2 バランスが悪い。将来的にはこのCO2 バランス
はさらに悪化する――鉱石中のウラン含有量が尐なくなればなるほど、ウラン採掘と精製に
化石エネルギーを投入することになるからだ。

#69 気候保護

原子力は気候を救わない。
原子力は世界エネルギー需要の僅か2%しか賄っていない。そのようなニッチの技術で
気候を救うことはできない。
その反対である――原子力は再生可能エネルギーの拡大を阻止し、エネルギー供給の転
換を妨げ、エネルギー浪費を促進し、我われが将来の持続可能なエネルギー供給システ
ムのために必要とする資本を奪う。

#70 非効率

原子力とは、純粋にエネルギー浪費のことである。
物理的に原子力発電所は、核分裂によって放出されたエネルギーの約3 分の1 のみ電
気に変換できる。残りの3 分の2 のエネルギーは――生態系にダメージを与えながら――河
川や大気を温め続ける。石炭発電所でさえ、原発よりも高い熱効率を発揮している。

#71 電気の浪費

原子力は電気の浪費を促進する。
原子力発電所は常時稼働するケースでのみ採算が取れる。しかし夜間に必要とされる電
力は尐ない。原子力コンツェルンが数十年にわたって、夜間蓄熱暖房機を推奨したのは自
明のことである。しかしその暖房機器が稼働するのは冬季だけである。それでは夏季の原
子力からの電力はどこで必要とされるのだろう? フランスの原子力コンツェルンEdF 社は
この分野の先駆者であり、すでにそれに対してすばらしい営業アイデアを展開している――
彼らが推奨するのはエアコンだ。

ボーナス #114 核融合という幻想

核融合は今日すでに活用することができる――ソーラーエネルギーの形で。それ以外の全
ては時間と金がかかりすぎる。
原子力の別の利用法――それが核融合だ。それは原子核の分裂ではなく、融合によって
エネルギーを獲得しようとする。
問題となるのは、そのためには1.5 億℃までの高温が必要なことであり、それは太陽の10
倍の熱さであるということだ。
人間の手による核融合の実例はこれまで水素爆弾だけだ。地上の「核融合発電所」は、
すでに60 年代に約束されていたが、数十億ユーロもの研究費にもかかわらず50 年経っ
ても兆しすら見えない。万が一それができたとしても、燃料には数トンもの放射性トリチウム
が必要となり、新しい危険な核廃棄物を生産することになる。それに対して天高くには私た
ちの惑星システム最大の核融合発電所、太陽が稼動している。私たちが未来永劫にわたっ
て必要とするよりも数万倍ものエネルギーを届けている。そして、太陽は今日、すでにまっ
たく危険なしで活用することができる。

核廃棄物と処分


核廃棄物と処分

#42 核廃棄物の山

原子力は大量の核廃棄物を生み出す。
約12,500 トンの高レベル放射性廃棄物である使用済み燃料が、これまでにドイツの原
子力発電所で発生した。これに毎年約500 トンが加算される。さらに数千㎥の低・中レベル
の放射性廃棄物も加わる。ここには本来、大気中と水中に放出されたすべての量も加える
べきだろう。そして、再処理工場からの廃棄物。ウラン採掘時の廃棄物。ウラン濃縮工場か
らの务化ウラン。最後に原子力発電所自体――なぜなら、これもまたいつかは「処分」しなけ
ればならないからだ。

#43 処分という嘘

これまで核廃棄物はただの1g として無害に処分されていない。
「食品の鮮度を長持ちさせる用途に」核廃棄物は利用できるようになる――このような約束
で専門家たちは、1950 年代半ばに核廃棄物処分への批判的な質問をかわした。そして核
廃棄物の処分問題を気にかけることなく、次々と原発は建てられていった。数百万トンの放
射性廃棄物は、今日に至るまで1g として無害に処分されていない。
法律上では、核廃棄物処分場が確保されない限り、ドイツではそもそも原子力発電所を
稼働してはいけないことになっている。しかし「廃棄物処理の準備がある証明」として、地下
水が浸入し、崩壊の危険にさらされた(低レベル)放射性廃棄物処分場アッセII、ゴアレー
ベン岩塩採掘跡での処分場調査作業、ヴァッカースドルフ再処理工場の建設、他国への核
廃棄物の輸送、そして使用済み燃料をキャスクで地上の格納庫に保管する「中間貯蔵施
設」などが存在するだけである。

#44 技術面の未解決問題

高レベル放射性廃棄物の最終処分は、技術面ですら解決されていない。
核分裂の発見から70 年経過した今でも、人間と環境に危害を与えないようにするために、
「どのように」高レベル放射性廃棄物を処分するべきなのかさえ明らかでない――「どこに」
などとは問いかけるべくもなく。
原子力ロビーの思惑とは違い、該当する最終処分場に関する数多くの安全性についての
疑問は、相変わらず全く明らかにされていない。それゆえアメリカでも、人間と環境に対す
る重大な脅威のために最近では、ユッカマウンテンにおける最終処分場プロジェクトを疑問
視している。スウェーデンの花崗岩層における最終処分場構想も同じように中止直前だ
(#61 を参照)。そしてゴアレーベンの岩塩採掘跡の空洞に迫っているのは――大きな範囲
の地下水による浸水である。放射性廃棄物処分場アッセII の浸水の経験によって、最終処
分場としてのゴアレーベンの「適性」について、さらに議論すること自体、そもそも不要となっ
た。

#45 百万年

核廃棄物とは百万年にわたる放射線危害である。
原子力発電所からの放射性廃棄物の放射線がある程度弱まるまで、およそ百万年かか
る。それまで核廃棄物は人間と生物圏から隔離されてなければならない。
もし仮に3 万年前のネアンデルタール人が原子力発電所を使い、その核廃棄物をどこか
に埋めたとしたら、その核廃棄物は今でも人間を死に至らしめる量の放射線を出し続けて
いる――そして私たちは、絶対に掘り起こしてはならない場所を知るすべを持っていなけれ
ばならない。

#46 放射性廃棄物処分場アッセII

放射性廃棄物の試験処分場アッセは、20 年と経たないうちに水没しようとしている。
12.6 万個の(低レベル)放射性廃棄物のドラム缶を原子力産業と原子力研究者は1967
~78 年の間にほぼ無料で「試験的な(低レベル)放射性廃棄物の最終処分場」であるアッ
セ II に廃棄した。この岩塩採掘跡地は数千年は安全であると専門家は断言し、浸水の可
能性は否定された。
その20 年後、今では毎日1.2 万リットルもの水がこの坑道に流れ込んでいる。これまで
にいくつかのドラム缶は密閉性が無くなり、この岩塩採掘跡地は崩壊の危険にさらされてい
る。
そして今、大規模な地下水汚染を避けるために、これまでに投入した全ての廃棄物を再
び取り出す事態となった。このための費用は――約40 億ユーロまでの範囲だといわれてい
るが――それを廃棄した事業者ではなく、納税者が負担することとなる。この処理のためだ
けにCDU 党(キリスト教民主同盟:保守)とSPD 党(社会民主党:中道左派)の連立政権
は、原子力法を改正した。
アッセII は公的にはゴアレーベンの岩塩採掘跡の空洞に計画されている大型の(高レベ
ル)放射性廃棄物の最終処分場のための「パイロット・プロジェクト」とされている。

#47 最終処分場はない

世界を探してもこれまでに、安全な高レベル放射性廃棄物の最終処分場は1 つと存在し
ない。
核廃棄物の最終処分場は、非常に長い年月の間、地質が安定した場所に作られなけれ
ばならない。この処分場の周辺地質は、処分された核廃棄物やその容器と科学的な反応
を生ずるものであってはならない。さらにこの場所は生物圏や天然資源の埋蔵のポテンシ
ャルがある場所、あるいは人間の影響から隔離しなければならない。そしてこの地域から
の水は、海に流れてはならない。
世界中でこれまで誰1 人としてこのような場所を発見していない。そもそもこうした場所が
あるのかどうかすら全くの疑問である。

#48 聖フロリアヌスの原理(訳注:問題を他所に押し付ける行動様式、政治的手法)

誰1 人として核廃棄物を歓迎しない。
2005 年以来、使用済み燃料は原子力発電所の敶地のキャスク倉庫に置かれている。こ
のことは北の原発ブルンスビュッテルから南の原発イザールに至るまで、原子力推進派の
多くを常に困難な説明責任の窮地に陥れている。核廃棄物は絶対に家の近所に貯蔵され
てはならないと推進派が要求するのだ。(自治体にお金を運ぶ)原子炉は絶対に運転を続
けろと言うのにもかかわらず・・・
キリスト教社会同盟(CSU 党、バイエルン州の保守大政党)も、電気なら絶対に原子力だ
と望む――しかし核廃棄物の処理は、決してバイエルン州の近くには望まない。最終処分場
の候補地に関する議論について、彼らは「我々はドイツ全土に火をつけることになる」と警
告している。

#49 キャスクの嘘

核廃棄物の容器は十分に検査されていない。
(使用済み燃料輸送用の)キャスクは安全だ、といわれている。しかしすべてのモデルが
実際には検査を受けていない。多くの場合、縮小された試験用モデルが落下試験され、燃
焼試験される。もしくはただのシミュレーション試験があるだけだ。
しかし時には、そうした試験の結果ですら改ざんする――2008 年春の新作キャスクのシリ
ーズのように。この製造者は、よりうまく試験の測定値と理論値が合致するように「任意で
選択することのできるパラメーター」を採用した。これには連邦材料研究庁も度を超えてい
ると判断。材料研究庁は差し当たり許可を拒み、それゆえ2009 年はキャスク輸送を行うこ
とができなかった。

#50 再処理工場の嘘(その1)

いわゆる使用済み燃料からの再処理は、核廃棄物からより多くの核廃棄物を作り出す。
再処理工場――これはリサイクルステーションのようにも聞こえる。しかし実際は、使用済
み燃料のうちの約1%だけが新しい燃料に取り入れられる――それはプルトニウムだ。すべ
てを考慮すると再処理後には、処理前よりも多くの核廃棄物が発生する。それゆえフランス
では再処理工場のことを率直に「usine plutonium」、プルトニウム工場と呼んでいる。
さらに再処理工場は、世界最大規模の放射性物質の拡散装置でもある。(再処理工場か
らのプルトニウムを混ぜた)いわゆるMOX 燃料は、製造、輸送、そして原発での使用時に
おいて、天然ウランからの燃料よりはるかに危険である。同時に「プルトニウム工場」は、原
子爆弾のための原料を供給している。

#51 海岸線の核廃棄物

再処理工場は、放射性物質の拡散装置である。
ラ・アーグ(フランス)とセラフィールド (イギリス)の再処理工場は、大量の放射性物質を
大気中やイギリス海峡、アイリッシュ海に放出している。施設の周辺では若者の白血病の
発症率が国の平均よりも最大で10 倍も多い。
グリーンピースは数年前に、セラフィールド再処理工場の排水管付近でいくつかの泥のサ
ンプルを採取した。帰国の際、それらはすべてドイツ当局によって即座に没収された――核
廃棄物の持ち込みという理由で。

#52 再処理工場の嘘(その2)

フランスとイギリスの再処理工場には、いまだにドイツからの膨大な量の核廃棄物が保管
されている。
原子力発電の事業者は、過去数十年にわたって数千トンもの使用済み燃料をラ・アーグ
とセラフィールドの再処理工場に運び込んだ。現在までにその核廃棄物のごく一部が、キャ
スク輸送でドイツに戻ってきている。残りの大部分は、今も外国であるかの地に山積みだ。

#53 モアスレーベンの核廃棄物の山

旧西ドイツの原子力コンツェルンは、核廃棄物を旧東ドイツのモアスレーベンの処分場に
平然と廃棄した。
80 年代後半に西ドイツの原子力発電所では核廃棄物のドラム缶が山積みになっていた。
幸運なことにドイツ統一がやって来た――そして環境大臣アンゲラ・メルケルも東から。彼女
は担当局のリーダーであるヴァルター・ホーレフェルダーとゲラルト・ヘネンヘーファーと共
同で、原子力発電企業に対して核廃棄物を格安で旧東ドイツのモアスレーベンの最終処分
施設に廃棄することを許可した。現在では、ここはすでに崩壊の危険があり、処分場の改
修工事には20 億ユーロを超える納税者の負担が必要だという。
時は過ぎ、メルケルは首相になり、ホーレフェルダーは電力コンツェルンE.ON と原子力
ロビー団体「Deutsches Atomforum」の代表になった。ヘネンへーファーは、2009 年の
終わりから再び、連邦原子力監督機関の長に任命されている。

#54 コンラート坑道の核廃棄物の山

ザルツギッター市の真下に865kg のプルトニウムが処分される予定。
ドイツ連邦放射線防護局は、865kg もの強毒性のプルトニウムを含む30 万㎥の低・中レ
ベル放射性廃棄物を旧鉱山のコンラート坑道跡に処分するつもりである――ザルツギッター
市街地の真下に。コンラート坑道を最終処分場として利用する決定は、完全に政治的な理
由による。はっきりとした基準による他の数多くの候補地との比較は、これまで1 度も行わ
れていない。「コンラート坑道」が、原子力産業の視点から魅力的だったのは、とりわけ核廃
棄物の大きな容器もそのまま通すことのできる際立った大きさの縦抗であった。
コンラート坑道の長期的な安全性予測のほとんどの根拠は、理論的な想定に基づいてい
る。古い手法によるモデル計算は、今日の学問の水準とかけ離れている。

#55 中間貯蔵施設

高レベル放射性廃棄物は、尐し設備を追加したジャガイモ貯蔵庫並みの倉庫に置かれて
いる。
キャスクの中の核廃棄物は強く放射線を放出しているため、容器の外側はかなり熱くなる。
中間貯蔵施設のゴアレーベン、アーハウス、ルブミン、そして原子力発電所敶地の中間貯
蔵施設は、それゆえ大きな通気口があり、外気がキャスクを冷やすことができるようにして
いる。もしキャスクの1 つでも密閉性が保証されない場合、放射線物質は、妨げられること
なく外に拡散する。

#56 使用済み燃料のキャスク

キャスクは放射線を遮断しない。
2008 年秋の使用済み燃料輸送の際、環境保護団体は、近くを通過する核廃棄物のキャ
スク積載列車から警報が鳴るほどの放射線値を検出した。しかし当局は容器の積み替え
の際、放射線測定という管理を放棄した――なぜなら自身で測定器を1 つも用意できなかっ
たからだ。中間貯蔵施設の運営組織GNS は「従業員を不必要に放射線にさらしたくなかっ
た」ため、測定器を用意しなかった。

#57 短時間の核廃棄物処理

核廃棄物が入ったキャスクは、公式には40 年間の耐久性があるという。
原子力発電所は法的には、害の無い核廃棄物の処理が保証されてはじめて、稼動する
ことが許可される。しかし核廃棄物は100 万年にわたって放射線を出し続ける。環境から
放射線を遮断するキャスクは、およそ40 年間耐久性があると想定されている。公式にもそ
れでよしなのだ。

#58 専門家の口封じ

ゴアレーベンを最終処分場にするためにドイツ政府は、地質学者たちの口を封じた。
かつて国を代表する最終処分場の専門家であったヘルムート・レーテマイヤー教授は
1983 年、数回にわたるボーリング調査で、氷期時代に生じた亀裂が走るゴアレーベンの岩
塩採掘跡の岩盤は「生物圏への汚染を永続して隔離する」ことはできない状態だという結
論に辿り着いた。彼と彼の同僚はそれゆえ、他の候補地のさらなる調査を推奨した。キリス
ト教民主同盟(CDU 党、保守大政党)と自由民主党(FDP 党)の連立政権政府はそれに異
議を唱え、圧力によって専門家鑑定を消し去った。今日に至るまでCDU 党とFDP 党、原
発ロビーは、ゴアレーベンの岩塩採掘跡地は最終処分場に適していると主張している。

#59 ゴアレーベンの浸水

ゴアレーベンの岩塩採掘跡地にも地下水がでる。
かつての「最終処分場の試験地」アッセII の放射性廃棄物のドラム缶だけに水が押し寄
せているのではない。ゴアレーベンの岩塩採掘跡地も乾いていないのだ。ここでの「坑道調
査」の工事の際には、何度も地下水と水酸化ナトリウム溶液の浸水が起きており、連邦地
質学・天然資源研究所は、そこに最大100 万㎥の水酸化ナトリウム溶液がある場所を特
定している。
また岩塩層の上にもそれを保護する粘土層がなく――地上300m の深さにゴアレーベン
溝という亀裂が走り――この岩塩層は直接地下水とも通ずる。
アッセII と違いゴアレーベンの地下には、幸運なことにまだ核廃棄物は存在しない――住
民たちの根強い反対運動によって。

#60 核廃棄物は最終処分場を破壊する

放射線は岩塩を脆くする。
放射線は岩塩を脆くする。このことをグロニンゲン大学のヘンリー・デン・ハルトク教授は
証明している。ゴアレーベンで計画されているような岩塩の層の中に核廃棄物の最終処分
場を建設した際の結末は、壊滅的でありうる。それに対して、該当する監督官庁はこれまで
いかなる結論も出していない。
岩塩層はもう1 つの理由からも最終処分場として不適正との議論がある――可塑性のあ
る岩塩層はいずれ貯蔵室を圧迫し、中の容器は破裂するとの指摘だ。圧力によって常に層
自体が上昇する。そして極度に水溶性でもある。加えてゴアレーベンの岩塩の中にも存在
するカーナライト(光ろ石)は早くも300℃で溶けはじめる――最終処分場では十分に到達す
る温度である。

#61 花崗岩層の亀裂

核廃棄物の処分には、花崗岩層でさえ動きすぎる。
これまで世界中で最も先駆的と見なされてきたスウェーデンの最終処分場のコンセプトで
さえ、言葉通り「脆い」ものだと証明された。160 万年前から安定していると言われてきた原
成岩においても、地質学者は地震の跡を検出した。過去1 万年間にここでは58 回の地震
があり、うち最高がマグニチュード8 に達している。幸運なことに、そのときにはまだ核廃棄
物は投棄されていなかった。

#62 放射線の料理鍋

原子力発電所から鍋ができる。
「僕は昔、原子力発電所だったんだ」――こんな台詞がいつの日か鍋やフライパンを飾る
のかもしれない。核施設の廃炉コストを抑えるため、ドイツ社会民主党と緑の党の連立政権
は放射線防護政令を緩和した。放射線を帯びた原子炉の解体瓦礫の大部分は、今では家
庭ゴミと同様に処分したり、リサイクルしてもよいことになった。イタダキマス!

#63 ロシアに押し付ける核廃棄物

グローナウ市のウラン濃縮プラントは発生する核廃棄物をロシアに押し付けている。
数千トンにもおよぶ务化ウランをグローナウ市にあるUrenco 社のウラン濃縮プラントは
ロシアで廃棄した。表向きには「核燃料」と称された放射性廃棄物は、ウラルの「立入り禁
止地区」に運ばれ、錆付いた核廃棄物のドラム缶は露天に放置されている。
ロシアの核燃料を取り扱うTenex 社は、表向きには燃料とされる廃棄物の仕入れに費用
を一切支払う必要がなかった。多大な金額をUrenco 社が厄介払いのために支払ってい
たのだ。

#64 幻想曲風に――月光ソナタ

月は遠く離れすぎている。
最初は核廃棄物は何の問題もないと言われた。なぜなら科学者たちは核廃棄物処分に
ついての素晴らしいアイディアを次から次へと生み出したからだ。――地面に染みこませる、
「核の池」に沈める、地下水に流す、川に流す、海に沈める、砂漠に放置する、穴を掘って
埋める、古い防空壕に保管、ステンレス容器に密閉、北極の氷の中に閉じ込める、宇宙や
月に打ち上げる、などなど。
最後のアイデアは月が遠すぎたことから失敗に終わった。他のいつくかのアイデアや新し
いアイディアは、今も実施されている。

#65 核の錬金術

核変換も核廃棄物問題を解決しない。
核廃棄物処理の素晴らしい方法として多くの人が賛美しているのが核変換である。中性
子を利用して長寿命核種を短寿命の核種に変換したり、ほとんど放射性を持たない物質に
変換させることができるという。この変換の前提条件は、高レベル放射性物質が混ざったカ
クテルを高精度で入念に個々の構成物質に分別することである。さらに、その上でそれぞ
れの物質を、非常に特殊で多大なエネルギーを浪費するそれぞれの処理用にそれぞれ専
用に製造された原子炉内で行う必要がある。結論を言えば、極度に手間がかかり、危険で
コストが高く、技術的な実現性にも疑問符がつく。その上、核廃棄物がそれでもなお残る。
ボーナス ♯108 冷戦
ゴアレーベンはニーダーザクセン州の旧東ドイツに対する復讐であった――漏水するモア
スレーベン最終処分場への。
1970 年代に最終処分場の候補地選択を依頼されていた地質学者ゲルト・リュッティク教
授は、定年退職後に、なぜニーダーザクセン州の当時の大統領アルブレヒト(CDU 党)が、
専門的知見からはただの「第三ランクの候補地」だったにもかかわらず、ゴアレーベンの岩
塩採掘跡地を最終処分場に選出したかのを報告している――ニーダーザクセン州を汚染
する恐れのあった東西ドイツの国境近くの、旧東独側のモアスレーベン最終処分場への
「東」に対する復讐からだという。アルブレヒトのモットーは、「今こそやつらに見せつけてや
るぞ!」というものだ。

ボーナス ♯109 地下に隠された死体

核廃棄物処分場アッセに、原子力産業は放射線で死亡した労働者の遺体の一部を処分し
た。
「試験最終処分場」としてカムフラージュされた陥没の恐れのある核のゴミ捨て場アッセII
には、原子力産業がすぐにでも投げ出したかったあらゆるものすべてが廃棄された。例え
ば、1975 年11 月19 日に原発グントレミンゲンA における原発事故で死亡した2 人の労
働者の放射線で汚染された体の一部もそこに廃棄した――遺体の一部は、カールスルー
エ原子力研究センターの核廃棄物焼却施設において灰にされ、容器に梱包されて、ここに
運び込まれている。

ボーナス ♯110 見せかけの調査

ゴアレーベン岩塩採掘跡地の「調査」は、最終処分場建設のためのカムフラージュにすぎ
ない。
非公開の会談で連邦政府は、1982 年にゴアレーベン岩塩採掘跡地を、それまで公的に
主張されていたように「調査する」だけではなく、そこに同時に最終処分場を建設することを
取り決めた。そのためゴアレーベンの縦坑と坑道は、調査で必要とするよりもおよそ2 倍に
大きくなり、追加コストはこれまでにおよそ8 億ユーロ必要となった。
このトリックにより政府は、当時すでに最終処分場建設に必要であった原子力関連法案
の手続きをすり抜けた。今の環境大臣レットゲン(CDU 党)も計画されている調査坑道のさ
らなる建設工事のために、この1983 年に活用した古びれた枠組みの運営計画をそのまま
使おうとしている――そうすることによってのみ、今後の住民参加手続きを避けることがで
きるからだ。

ボーナス ♯111 殺しのライセンス

核廃棄物の最終処分場は密閉されていなくても良い、と環境省は決定した。
核廃棄物の最終処分場は、それが生物圏から完全に隔離されない場合であっても、まだ
「安全」だとされている。これは、2009 年に連邦環境相ガブリエル(社会民主党)が公開し
た最終処分場のための安全必要条項の中に記載されている。より正確に言えば、近隣住
民の1,000 人に1 人が放射線の漏洩により癌を発症するか、その他の深刻な健康被害を
受けることをこの条項は許している。放射性物質が地下水を通じて大きな範囲に拡散する
ため、かなり多くの人びとが「近隣住民」と見なされる――これから先100 万年にかけて。
ボーナス ♯112 破裂するガラス固化体
ガラス固化された核のスープは破裂しうる。
高レベルの放射性物質で、液状、強度に自己発熱し、爆発の危険性があるのが、使用済
み燃料の再処理において生じた核廃棄物である。この「核のスープ」を尐なくともいくらか取
り扱いを容易にするためにガラスの中に溶け込ませる――化学的にはとても安定した結合
物だといわれている。
しかし化学者は、このガラス固化体も水との接触の際に、場合によっては破裂し、非常に
危険な物質が洗い出されうることを証明している。最終処分場が永続的に乾燥した状態で
ないなら、危険がある!

ボーナス ♯113 ご都合主義

ゴアレーベン岩塩採掘跡の上にはそれを守る粘土層が存在しないと分かるや、最終処分
場にはそのようなものは必要ないという。
1995 年に連邦地質学・天然資源庁は、41 の北ドイツにある岩塩採掘跡地の核廃棄物最
終処分場としての適性の可能性について調査した。この調査では「岩塩層の被覆バリア機
能」の大きな意味を明確に強調しており、これは下にある岩塩層を水から守るためのもので
ある。ゴアレーベン岩塩採掘跡は、水が通る亀裂が地中に走っており、そもそもこの調査の
対象外だった――そうでなければここはすぐに検討から外れていただろう。
2009 年の新しい最終処分場基準では、岩塩層の上で防護の役割を果たす被覆層につ
いてはもう触れられていない。このようにしてゴアレーベン最終処分場の検討は、今後も可
能であり続ける。

自由と民主主義


自由と民主主義


#80  自由の剥奪

原子力は私たちの自由を奪い、私たちの基本的人権を制限する。
使用済み核燃料のキャスク運搬に反対するデモが迫ると、当局はただちに集会の自由と
いう基本的人権を数 km2 の広さにも及んで制限し、平和的な抗議も警察の力で排除する。
道路閉鎖の柵がその地域全域を封鎖し、市民は氷点下のなか何時間も拘束され、一部で
はトイレの準備すらない。長期間にわたり公安は、反原発主義者をテロリスト扱いして監視
や尾行を行い、電話を盗聴し、家宅捜索を行っている。警察は数千人のデモ参加者を、不
法に、裁判所による審査もなしに、小部屋、営舎、車庫、体育館や、それどころか鉄の檻の
中に、ときには数日間も拘留する。
ここで私たちの基本的人権を制限するのは、どのような権利に基づくものだろうか?

#81  生存権

原子力は生存権を侵害する。
原子力発電所は、私たちの生存権と身体を害されない権利を脅かす。それゆえ、ドイツ連
邦憲法裁判所は「カルカー判決」において、原子力発電所の稼動を「変動的原則」と結びつ
けた。
この判決によれば、原発の安全対策は、まず第一に、科学と技術の最新の状況に常に適
合していなくてはならない。第二に、原子炉は、想定しうるかぎりのあらゆるリスクから保護
されなければならない。このどちらも残念ながらなされていない。
それにもかかわらず、いまだどの監督官庁も、原子力発電所の稼働許可を取り消してい
ない。

#82  警察の暴力

原子力反対の抗議活動を阻止するために国家は暴力を行使する。
うまく反論できない者には、暴力しか残されていない――警察はこれまでに数万人の市民
に対し、警棒で、足蹴りで、拳で、放水車で、格闘技の絞技で、ペッパースプレーで、ガス榴
弾で乱暴に扱い、負傷させ、これまでに 2 名が死亡している。この 2 人は何をしたのか?
彼らは反原発のデモを行ったのだ。

#83  50 年間の争い

原子力は、数十年にわたり社会を分裂させる。
1950 年代にドイツで最初の原子炉が建設されて以来、原子力にまつわる対立がある。な
ぜなら原子力は生命を脅かすからだ。これは今日まで何も変わっていない。それゆえ完全
な、事実上の脱原発だけが、この対立を終わらせることができる。
電力コンツェルンは 2000 年 6 月 15 日、いわゆる「脱原発合意」において段階的な脱原
発に同意し、署名により国と契約した。その代償として彼らは、かなり多くの見返りをもらっ29
た。EnBW、E.ON、RWE、Vattenfall の電力コンツェルン 4 社は、いまやあらゆる策略や
ロビー活動などのイニシアチブによって、合意した期間よりも原子力発電所を長く稼動させ
ようと試みているが、それは彼らが「脱原発合意」と契約を破っていることに他ならない。

#84  コンツェルンによる政治

電力コンツェルンの政治への影響力が大きすぎる。
産業と政治がこれほど密接に、互いに絡み合っている分野は、エネルギー産業以外では
他に見あたらない。多くの政治家、上級公務員は、まず企業の意向に沿った政治を行い、
その後、その企業で非常に有利なポストに天下ったり、契約を得たりする。ヴォルフガンク・
クレメント、ヨシュカ・フィッシャー、ゲラルト・ヘネンヘーファー、ヴァルター・ホーレフェルダー、
ヨアヒム・ランク、オットー・マイェフスキ、ヴェルナー・ミュラー、ゲアハルト・シュレーダー、ア
ルフレート・タッケ、ブルーノ・トマウスケ、ゲオルク・フライヘア=フォン=ヴァルデンフェル
スらが代表的だ。また、現職の国会議員(レッツォ・シュラオホ、グンダ・レステルなど)も、電
力コンツェルンやその子会社で収入を得ている。
コンツェルンの権力は、民主主義の弊害になる。

#85  国民の白痴化

「原子力がなければ電気が消える」という作り話を、電力コンツェルンは 30 年以上も語り続
けている。
「太陽光や水力、風力では、わが国の電力需要の 4%以上を長期にわたって賄うことはで
きない」。これは、ドイツの電力コンツェルンが 1993 年の半ばに行っていた全国の新聞各
紙への広告内容である。しかし事実はこれに反する――2009 年にドイツで消費された電力
の 16%以上が、再生可能エネルギーで生産され、はやくも 2020 年にはその割合は 50%
になりうる。今世紀半ばまでには電力供給の 100%を再生可能エネルギーで賄うことも可
能だ。
それにもかかわらず電力コンツェルンは、彼らの原子力発電所の残りの稼動期間を延長
させるために努力し、今日でも「長期の停電」が差し迫っているという作り話を吹聴している。
誰がそれをいまだに信じるのか?

#86 望ましくないこと

誰も原子力発電所の隣に住みたくない。
ドイツ原子力産業フォーラムが委託したアンケート調査を信じるならば、原子力はもうすぐ
再び社会に受け入れられるという。しかし、Emnid 世論調査研究所が 2008 年半ばに得た
回答のほうが、より信用でき、訴える力が大きいだろう――回答者の 3 分の 2 以上が、自分
が住んでいる地域への新たな原子力発電所の建設を拒んでいる――たとえそれと引き換え
に、一生電気代が無料になったとしても。30

#87  倫理

原子力の利用は倫理に反する。
原子力発電所は、わずかな人びとが、わずかな時間しか利用できないのに、非常に多く
の人の命と健康に大きなリスクを背負わせる。原子力発電所は、数十万年も安全に保管し
なければならない核廃棄物を後世に残す――この先の 4 万世代にとって、想像できないほ
ど重い負の遺産である。

ボーナス  #115  法の保護なし

未来の世代は、法によって核の危険から保護されない。
最終処分場から何かが漏出すれば、それはまず第一に未来の世代に被害を与える。し
かし、もし現在の監督官庁が未来永劫の長期間にわたる安全保護についての見通しを見
誤ったりしても、それを誰一人として法廷で訴えることはできない。なぜなら千年後に放射
性物質が再び地上に顔を出しても、その原因を作った原告自身はすでに存在しないからだ。
そして、将来の世代の損害は、法廷では主張することができなくなる。このことについて、
リューネブルク上級行政裁判所は、計画されていたコンラート坑道の最終処分場を巡る訴
訟の中で良しと判断し、それを連邦憲法裁判所が追認した。忘れてはならない――核廃棄
物は法治国家すら消滅させるのだ。

戦争と平和を、願う


戦争と平和

#88  偽装プログラム

原子力の平和利用と軍事利用は切り離せない。
ウラン濃縮工場は核爆弾につかう高濃縮ウランを製造できる。原子炉でも大量のプルトニ
ウムを増殖できる。「ホットセル」内で核爆弾を製造することも可能である。再処理工場では
原発の核廃棄物から原子爆弾の原料プルトニウムを抽出している。
多くの国々では平和的核利用という隠れ蓑の下、核兵器開発を進めており――いくつかの
国ではそれは非常に成功している。原子力発電所の数が多ければ多いほど、それだけ軍
事的、あるいはテロのために悪用される危険性も大きくなる。

#89  高速増殖炉

「高速増殖炉」は、核兵器拡散の危険を累乗的に増大させる。
「高速増殖炉」という原子力発電所は、従来の原子炉と比べて格段に危険で、より高い確
率の事故のリスクがある。さらにそこでは燃料としてウランではなく、プルトニウムを使用す
る。「高速増殖炉」の大規模稼働で膨大な量のプルトニウムが生産され、それが商品として
市場に流通する。そうした流通サイクルの中から核兵器を製造するためにプルトニウムを
数キロばかり流用したり、抜き取ることなど容易である。

#90  汚い爆弾

核施設から出る放射性物質は「汚い爆弾」のために悪用されうる。
ある核施設から出た放射性物質をほんの尐し普通の爆発物と組み合わせれば、いわゆ
る「汚い爆弾」の製造ができあがる。爆発すれば、放射性物質が霧のように拡散し、追加の
効果として周辺環境を汚染する――恐るべき脅威だ。

#91  攻撃の標的

原子力発電所は、攻撃の標的である。
数百万という人間に危害を加え、命を奪い、地域全域を居住不可能にするのに、原子爆
弾を持つ必要はない。原子力発電所を 1 つ攻撃すればそれで事足りる。
ドイツ政府の依頼で行われた極秘のフライトシュミレーション実験では、舵を握った被験者
の 50%が、ジャンボ旅客機を原子力発電所に突入させることに成功した。ドイツ連邦刑事
局は原子力発電所の空からの攻撃について「最終的にはその可能性を考慮に入れなけれ
ばならない」と判断している。

#92  务化ウラン弾

ウラン濃縮の過程で生じる放射性廃棄物は、务化ウラン弾になる。
多くの軍隊、とりわけアメリカ合衆国軍は、务化ウランから製造した务化ウラン弾を使用し
ている。それは標的に命中すると微粒子の塵になって拡散し、発火炎上し、周囲を汚染す
る。この放射性の微粒子は、兵士、民間人を問わず深刻な健康障害を引き起こす。軍は、
务化ウラン弾の使用根拠として、密度が非常に高く貫通力に優れていることを挙げている。
原子力産業は、自身の生み出す放射性廃棄物を安価に「処理」できることで潤っている。

#93  ウランをめぐる抗争

原子力産業のウランへの渇望は、新たな争いを煽りたてている。
アフリカ諸国におけるウラン分布は、かの地に数十年にわたって続く紛争と深い関係があ
る。原子力発電所の数が多ければ多いほど、天然ウラン資源への依存度が大きくなる。す
でにかなり前からウランは投機の対象である。ウラン埋蔵量が尐なくなれば、石油抗争と同
様に「ウランを巡る戦争」の現実味が上昇する。

ボーナス  #116   キャンパス内の爆弾の原料

ミュンヘン工科大学は武器になるウランをため込んでいる――大学の研究炉の燃料として。
国際的な抗議にもかかわらずミュンヘン工科大学は、兵器になる高濃縮ウラン燃料を必
要とする研究炉を固持している。400kg ものこの危険極まりない物質が、ガルヒンク市にあ
るキャンパスに貯蔵されている。15kg 強で初心者でも原子爆弾を製造することができる。
さらに、ここガルヒンク・キャンパスで発生する使用済み燃料から核兵器を作ることすらで
きる。ミュンヘン工科大学はどこにこの危険な廃棄物を保管しているのか? アーハウス市
の特に厳重に守られていないキャスク倉庫の中である。

日本は、核実験の為に原爆を投下された国である。 単なる実験としてであって、日本が脅威であるからという理由でなく、敗戦は免れない日本に対して!報復措置がとられた。
このことは、原発ににもあてはまる。
 当初から、原発は反対されていたハズ、知らぬ間に話が進められ、建設された原発、投下された原爆、被害状況の膨大さに慌てて降参する日本政府、操業停止する発電所、廃炉を決めた日本政府、責任意識のかけらもない東電・・・。
石器時代の技術では、東電では到底太刀打ちできない以上、もはや、撤廃が唯一無二の選択なのである。





事故と大災害のリスク


事故と大災害のリスク

#20 安全性の欠陥

ドイツにある17 基の原子力発電所のうち1 つとして、今日では営業許可を得られない。
防護壁能力の不足、貧弱な電気回路、老朽化した鋼鉄――本来、連邦憲法裁判所が判決
で要求している安全の水準、つまり学問上、技術上においてその時代毎に妥当だと考えら
れる安全基準を満たしている原子力発電所は、今のドイツには1 つもない。数百万ユーロ
もの高額な追加安全装備も話にならない。
明白な安全性の欠陥により、ドイツの17 基の原子力発電所はすべて、再度、新設として
の許可を得ることはできない。

#21 老朽化のリスク

原子力発電所を使えば使うほど、事故の危険性は増大する。
機械や電気部品の耐久性は永遠ではない。とりわけ原子力発電所においては著しく老朽
化する。配管は脆くなり、制御装置は故障し、バルブやポンプは動作しなくなる。亀裂は広
がり、金属は腐食する。デービス・ベッセ原子力発電所(オハイオ州/USA)では、16cm の
厚さの鋼鉄で作られた原子炉圧力容器を貫いて、誰も気づかないまま穴が開いた。内側に
取り付けられた薄いステンレス層が漏水を防ぐのみであった。
原子力発電所を長く使えば使うほど、そして古くなればなるほど、事故のリスクは増大す
る。それは報告義務のある事故・故障の届け出の統計からも読み取ることができる――ドイ
ツの原発、ビブリスやブルンスビュッテルのような古い原子炉では、新しいものよりも明らか
に頻繁に事故・故障が発生している。

#22 報告義務ある事故・故障

3 日に1 度はドイツの原子力発電所のどこかで、「安全性にかかわる」事故・故障が発生し
ている。
ドイツ連邦放射線防護局にある事故・故障の報告窓口には、ドイツの原子力発電所の安
全性にかかわる重大な事故・故障の報告が、毎年100~200 件届けられている――1965
年から合計するとその数約6,000 件。毎年、これらの届出のうち、重大災害に発展する可
能性を持った事故・故障が数件含まれている。これまでドイツで破滅的な大災害が発生し
なかったのは、単に偶然と幸運が重なったからである。

#23 スペア不足

原子力発電所での修理作業においては、簡単に新たなミスが発生する。
現在稼働中のドイツの原子力発電所は1974 年から1989 年の間に営業運転をはじめて
いる。多くの修理部品は今では製造されていない。それゆえ、修理時には代替部品を作ら
なければならない。これはリスクの多大な作業であり、なぜなら、もし製造したスペア部品が
何らかの理由でオリジナルの部品と全く同様に作用しない場合は、重大な結末をもたらす
可能性があるからだ。

#24 石器時代の技術

30 年前の技術とは一言で言うと、廃棄するにふさわしい。
現在でもなお稼働しているドイツの原子力発電所は、1970 年から1982 年の間に建設工
事が開始された。
理性ある人間であれば、1970 年製造のVW-411(フォルクスワーゲン)のような車を「最
新の安全技術水準」であるとは絶対に言わない――もし、その車が今日までの間にバンパ
ーを取り替えたり、ブレーキを交換したり、シートベルトを取り付けたとしても。もし誰かが、
ホームコンピューターCommodore-C64(1982~83 年製造)を今日のスタンダードに改
造すると言ったなら、間違いなく声の限りに嘲笑われるだろう。原子力発電所においてのみ、
原発事業者の見解では、こうしたことは問題ないとされている。

#25 地震の危険性

原子力発電所は十分に地震対策がなされていない。
フライブルク市近郊の原発フェッセンハイム、カールスルーエ市近くの原発フィリップスブ
ルク、ダルムシュタット市付近の原発ビブリス――これら3 つ全ての原子力発電所は、ドイツ
で地震活動の最も活発な地域であるオーバーライン低地の上に建っている。しかし、それら
は他のドイツの原子炉と同じように、地震に対して簡単な備えしか持たない。
原子力発電所フェッセンハイムは、1356 年にバーゼル市を壊滅させた規模の地震発生
時には、震源が30km 以上離れていなければ持ちこたえることができない。地震のほうが
原発の事情にあわせてくれるのだろうか?
原子力発電所ビブリスは、1.5 m/s2 の重力加速度までしか耐えられない。ただし地震学
者は、マンハイム市ととダルムシュタット市の間のエリアで明らかにそれを上回る強い揺れ
を予測している。原子力発電所ネッカーヴェストハイムが建つ石灰層の地下では、地下水
が浸食し、最大1,000 ㎥もの新たな空洞が開けられている。

#26 航空機墜落

原子力発電所は航空機の墜落に対して守られていない。
ドイツにある原子力発電所は1 つとして、燃料満タンの旅客飛行機の墜落に耐えること
ができない。これは、原子炉安全協会が――当初は極秘資料として――連邦環境省依頼の
専門家鑑定に記されている。
それどころか7 つの原子炉はかなり薄いコンクリートの壁を持つだけで、戦闘機の墜落や
戦車装甲を貫通する兵器でさえ、破局的な大災害を引き起こすことができる。

#27 すでに倒れゆく新型原子炉

新型の原子炉でさえ、安全でない。
フランスの原子力コンツェルンAREVA が現在、フィンランドとフランスで建設中の自称、
最新型の欧州加圧水型原子炉(EPR)であっても、炉心溶融にいたるまでの重大な事故は
起きうる。その場合、大量の放射性物質が周囲に撒き散らされる。原子炉を稼動させ、非
常時には安全に停止に導くEPR の操作管理技術に対して、フィンランド、イギリス、フランス
それぞれの原子力安全監督官庁は、リスクが多大であり、それゆえ共通の声明を出すこと
でこれに反対している。
単純な航空機墜落に対してさえ、自称では格段に安全だと唱えられている新型原子炉は
防護されていない。フランス政府は、この新型の建設を中止する代わりに、危険だとする専
門家による鑑定書を軍事機密として封印した。

#28 保険

車50 台分の保険の補償額のほうが、1 基の原子力発電所の保険よりも手厚い。
ドイツの原子力発電所の破局的な大災害は、健康被害、物損、資産の損害など合計2.5
~5.5 兆ユーロ規模の被害を発生させる。これはPrognos 研究所が1992 年に当時ドイツ
自由民主党(FDP 党)が大臣を務めていた連邦経済省依頼の専門家鑑定の中で、試算し
た数字である。
ドイツで原発を稼動する全ての事業者が加入している損害賠償保険は、合計最大で25
億ユーロまでカバーされているが――これは想定される被害額の0.1%でしかない。原子力
発電所の駐車場に停めてある車50 台のほうが、原子力発電所自身よりも大きな補償額で
カバーされている。

#29 破局的な大災害

破局的な大災害は、今日にでも起こりうる。
1989 年に行われた「ドイツ・原子力発電所のB 段階のリスク調査」では、西ドイツの原子
力発電所において技術的な欠陥により起こりうる破局的な大災害のリスクを年間0.003%
としている。一見、小さなリスクに見える。しかし、EU のみにおいてでさえ、2007 年末の時
点で146 基の原子力発電所が稼働している。それぞれ40 年間の稼動期間を想定すると、
このリスクで見積もったとき、破局的な大災害の起こりうる確率は16%を超える。ここには、
さまざまな原子力発電所で発生しうる故障・事故のシナリオや原子炉の危険性を増大させ
る老朽化は全く考慮されていない――同様に、ハリスブルク(スリーマイル島)とチェルノブイ
リの原因となった人為的なミスもここには含まれてない。

#30 安全性ランキング

ドイツの原子力発電所の安全性は、あろうことか国際比較で低い。
ドイツの原子力発電所は「世界で最も安全性が高い」?
それは間違っている! 1997 年に行われたOECD 諸国の国際的な安全性の比較にお
いて、ドイツで標準的な原発であると代表された原発ビブリス B は、炉心溶融の耐性で最
悪の成績であった。
水素爆発の可能性がとりわけ高く、鋼鉄製の原子炉格納容器が極めて不安定であると、
専門家は鑑定した。ビブリスでは「炉心溶融時に放射性物質が大量に拡散する危険性が
格段に高い」とコメントされている。

#31 悪天候

単に嵐が来ただけで事故の危険性が高まる。
原子力発電所の停電、いわゆる外部電源喪失は、原子炉にとって最も危険な状態である。
非常用電源が完全でなければ、冷却装置は停まり、炉心溶融の危機が迫る。この状態を
引き起こすのは、単なる悪天候で十分だ。
1977 年から2004 年の間にこれまで8 回、西ドイツの原子力発電所の重要な装置が雷
または嵐で停止し、危惧されている外部電源喪失の緊急事態になった。そのうち1977 年
1 月13 日に原発グントレミンゲンA では、修復不能な障害が発生した。洪水によっても危
機は迫る――大西洋岸にあるフランスの原子力発電所ブライエは、頻繁に洪水で冷却装置
の一部が停止している。

#32 金の亡者

原子力発電所において迷ったときの判断基準は――安全より利益優先――それが爆発事故
の後であっても。
2002 年のはじめ、原発ブルンスビュッテルで安全検査をした一団はまさに「死人のような
真っ青な顔」で原発から出てきた。彼らは原子炉圧力容器の脇の配管調査をした――配管
というより、25 個の残骸であったが。2001 年12 月14 日、水素爆発によって、直径10cm
の配管(肉厚5~8mm)の3m 分が粉々に破裂した。
当時の原発事業者HEW(現Vattenfall)は、「経年変化で発生したパッキンの漏損」であ
ると申告し、その配管バルブを閉じたが――原子炉の稼動はそのまま続けられた。季節は
冬のことであり(電力需要が大きいことから)、電力市場における電気価格は最高値を記録
していた。州都キール市にある州の社会福祉・健康省(原発の監督官庁)が強い圧力をか
けたことではじめて、HEWは2 月中旬に原子力発電所の稼働を停止し、安全検査が実施
された。その後、この原子力発電所は、13 カ月に及んで停止された。

#33 人為的なミスのリスク

人間はミスをする――それは原子力発電所では致命的となる。
バブルの開閉を間違う、警告信号を見落とす、スイッチを入れ忘れる、命令を間違って理
解する、緊急時に誤った対応をする――技術的・施設面ではなく、人為的なミスが、原子力
発電所においてはとりわけ危険な事態を引き起こす多くの原因となる。「人為的なミスのリ
スク」は事前に計算できない。
そうした前提がありながら原発従事者という人間が、トラブル発生時には炉心溶融を回避
するために、常時作業とは全く異なる非常に重要な緊急事態の対応を行うべきだという。
原子力発電はミスしない人間を要求する。しかしそんな人間は存在しないし――とりわけ
原子力発電所の非常事態などという極度のストレス下でミスをしない人間などいない。

#34 ホウ酸

原子力発電所を稼動する複数の事業者は、長年にわたって組織的に稼動の際の法令規
定を無視している。
17 年間にわたり原発フィリップスブルクでは、十分なホウ酸濃度を緊急注水容器に準備
しないまま稼働を続けた。それは、緊急時に炉心に注入されるべきものである。緊急注入
水の中のホウ酸濃度が足りない場合、炉心への注水は「火にガソリンを注ぐ」ような効果を
招く。
原発稼動をする事業者はそんなことは気にしない。それどころか、彼らはむしろ意図的に、
稼動の際のハンドブックにある規定を無視している。数々の調査は、他の原子力発電所に
おいても長年にわたって、十分なホウ酸を準備しておらず、緊急の冷却システムが完全に
は機能しないことを報告している。

#35 スパゲッティ配線

原子力発電所における電気系統のトラブルは日常事であり、それは深刻な結末を伴う可
能性もある。
2006 年の夏、欧州は崩壊寸前の危機に瀕した。配線設計の構造的な欠陥により、スウェ
ーデンの原発フォルスマルクにおいて、ショートと停電した後に、非常用電源が始動しなか
った。炉心溶融がはじまるまで、わずか数分しか残されていなかった。これは特殊なケース
ではない――原発ブルンスビュッテルにおいては、電気系統のミスが原因で、1976 年の営
業運転開始以来、緊急冷却用装置の非常用電源が十分に機能していなかったことが判明
している。さらに原発ビブリスでも同じように間違いと手抜き工事で施工された配線接続の
数々が報告されている。

#36 チェルノブイリより悪い事態

ドイツの原子力発電所で破局的な大災害が発生すると、それはチェルノブイリ事故よりも大
きな被害が出る。
ドイツの原子力発電所は、原子炉内に黒鉛を抱えていないため、チェルノブイリのように
火を噴くことはない。それゆえ放射性雲が爆発後にそれほど高い上空まで運ばれることは
なく、放射線量は数百km の範囲内において強く増加する。ドイツの人口密度はチェルノブ
イリの地域より7 倍高く、ライン-マイン地域のそれは約30 倍だ。明らかにより多くの人び
とが、より高い放射線量に犯されることになる。
#37 数百万人もの癌発症
ドイツの原子力発電所における破局的な大災害発生の際には、数百万もの人びとが著し
い健康被害を覚悟しなければならない。
ドイツ連邦経済省が委託した調査では――チェルノブイリ事故の経験を考慮して――ドイツ
で重大な原発事故の後に想定される健康被害を試算している。例えば原発ビブリスで破局
的な大災害が発生した場合、追加で480 万人の癌発症者が見積もられている。加えて、放
射線や避難、故郷の喪失によって直接的、もしくは間接的な健康被害の数々が加わる。

#38 故郷の喪失

破局的な大災害の際には、数千km2 の区域に永続的に人が住めなくなる。
数百万もの人びとがドイツの原子力発電所において破局的な大災害が発生したとき、自
身の家、住宅、仕事場に戻れなくなる。この人びとはどこで生活し、仕事をし、睡眠を取るこ
とができるのだろうか? 誰が彼らの健康の面倒を見るのか? 誰が彼らの損害の補償を
負うのか? これは電力コンツェルンでないことは確かで――なぜなら彼らはとうに倒産して
いるからだ。

#39 避難

ある地域全域の数時間以内での避難は不可能である。
原子力発電所の災害時退避計画では、放射線雲が事故の開始から数日間は原子炉内
に押しとどめられると仮定している――住民が避難する時間として。
しかし飛行機、地震、あるいは爆発が原子力発電所を破壊したらどうなのか? もしくは
原発クリュメルのように、格納容器が数分で融解したら? そうしたケースでは、天候次第
であるが、全地域の住民が避難するために数時間しか残されていない。
新型の拡散予測システムは、25km 離れた場所でさえ、住居内に滞在していると数時間
以内に、半数の住民が死に至る高さの放射線汚染量になることを示してる。放射線雲は周
辺のみに留ることは絶対にありえない。しかし、それ以上遠く離れた地域には、避難計画す
ら存在しない。

#40 ヨウ素剤不足

ヨウ素剤を入手するために外出しなければならないのであれば、それは役に立たない。
ヨウ素剤は、原子力事故において放射性ヨウ素による放射線障害を緩和する。しかし、原
子力発電所周辺の極めて狭い範囲にしか、万一の備えとして家庭に配布されていない。他
の全ての地域ではヨウ素剤は市役所に保管されているか、もしくは事故の後で空輸しなくて
はならない。入手するのは困難だ――なぜなら災害時避難計画では外出しないように指導
している。

#41 経済の崩壊

破局的な大災害は、国民経済の崩壊を招く。
ドイツのような国における破局的な大災害は、2.5~5.5 兆ユーロの損害を引き起こす。こ
れはPrognos 研究所が、すでに20 年前にドイツ連邦経済省の委託研究で試算したもの
である。インフラを考慮すると、今日ではその総額は確実に上昇しているだろう。
比較すると――世界の先進工業国上位20 ヶ国における目下の経済危機緩和のための景
気対策プログラムは、総額で3.5 兆ユーロである。

ボーナス #103 原子炉内のフェルト

剥離した断熱材が原子炉の冷却配管を塞ぐ。
小さな亀裂が1992 年7 月28 日、スウェーデンの原発バーゼベックで破局的な大災害
を引き起こしかけた。漏水が断熱材を剥離させ、細い繊維が原子炉に冷却水を循環させる
配管内の濾過網に引っかかり、配管を塞いだ。
この「濾過網の目詰り問題」は、他の原子炉でも緊急時に原子炉の冷却装置を麻痺させ
ることが分かった。調査試験はさらに不安をあおる事実を示した――とりわけ細い繊維は
濾過網を通過して、原子炉の内部まで入り込み、そこで小さなフェルト状に形成され、小径
の冷却配管を塞ぐというのだ。
2008 年末に、原子炉安全委員会はこの問題を根本的に解決する長年の努力は失敗し
たことを認めた。原発はそれでもなおすべて稼動している。

ボーナス #104 貝と葉

ほんの尐しの植物片でさえ、原子炉のメルトダウンの原因になる。
冷却システムの「ほんの一部の詰まり」が、フランス・アルザスの原発フェッセンハイムを
2009 年末に緊急停止させた。ライン川からの多量の植物片が冷却循環の配管の奥深くに
まで進入したからだ。原子力監督官庁は緊急対策本部を設置した。その直前にはすでにロ
ーヌ川からの浮遊物が原発クリュアの冷却装置を麻痺させていたからだ。
さらにやっかいなのはタイワンシジミである。極東から持ち込まれたタイワンシジミは、今
では中央ヨーロッパの河川で非常な勢いで増殖している。その小さな稚貝はどんなフィルタ
ーも通り抜けてしまう。スイスの原子力発電所の運営企業は高圧洗浄機を使用している。
アメリカではすでに1980 年に貝類のために1 基の原子力発電所が操業停止に追い込ま
れている。

ボーナス #105 現場での手抜き工事

フィンランドの原発工事現場では、(工事中の地盤没落大事故のあった)ケルン地下鉄の
工事現場よりもひどい状態が続いている。
60 カ国から4,300 人の労働者がフィンランドのオルキルオトで「欧州加圧水型原子炉
(EPR)」の試作品をどうにか稼動させようと躍起になっている。工事現場の現状は髪の毛が
逆立つようだ――鉄筋コンクリートには一部の鉄筋が足りず、現場の親方は指揮下の労働
者たちの言葉を理解しない、溶接部分がすぐに亀裂し、現場監督は欠陥部分をコンクリート
で埋め隠してしまうことを命令する。それに加えて1 日16 時間労働、安すぎる賃金、雇入
れと解雇の繰り返し――まさに「奴隷原子炉」の有様だ。
フィンランドの原子炉監督官庁はすでに、土台に種類を誤って使用されたコンクリートに始
まり、規定違いの手法で溶接された冷却システムの配管に至るまで、実に3 千を超える建
設工事の欠陥を記録している。

ボーナス #106 非常な勢いで増加する亀裂

原子力発電所の重要な配管に、誰一人気づくことなく亀裂が走る。
原発ヴュルガッセンでのそれは廃炉を意味し、原発シュターデではそれは廃炉までの時
間を早め、原発クリュメルと原発ブルンスビュッテルでは原子炉がそのために数年間停止し
た――ここで言っているのは、配管、容器、溶接部や水栓における亀裂のことである。
これまでに専門家が過去数十年にわたって様々な鋼鉄の種類を亀裂耐久性があると証
明しているが、これらの予測は常に誤りであったことが判明している。正確に分かっている
ことは、微小な亀裂でも、突然、急速に大きくなるということだけだ。それは、配管の破断と
破壊を導き――炉心溶融への最高の条件となる。
特に不安なのは――これらの亀裂のほとんどは、偶然に発見されている事実であり――
原発クリュメルのように、原子炉が長期間停止していた時に発見されることが多い。それ以
外では、完全な検査のために時間を割くことはできない。

ボーナス #107 安全追加対策

キリスト教民主同盟(CDU 党、保守大政党)でさえ、内部では古い原発の安全追加対策は、
解決不可能であることを認めている。
2009 年のドイツ連邦議会選挙の3 日後、CDU 党の州大統領のコッホ(ヘッセン州)とエ
ッティンガー(バーデン・ヴュルテムベルグ州)は、CDU/CSU 党の上部に、長期間にわた
る原子力発電所のより長い稼動への道筋を示すべき、広範囲におよぶ「原子力戦略とロー
ドマップ」を送付した。この書類は古い原子炉の「安全性能の違い」、つまり欠陥をも指摘し
――これらの欠陥は、膨大な費用をかけても直せるものではないと明らかに記載されてい
る。加えて、「既存の原発施設のコンセプト自体の限界が、安全追加対策を限定的にする」
と述べられている。

安全基準と健康被害


安全基準と健康被害

#12 癌の危険性

原子力発電所は子供だけを病気にするわけではない。
子供が住んでいる距離が原子力発電所に近ければ近いほど、癌になる危険性が高まる。
ドイツでは原子力発電所の5km 圏内に住む5 歳以下の子供は癌になる確率が、ドイツ全
土の平均値より60%高い。なかでも白血病の発症率は倍以上(+120%)になる。白血病
はとりわけ放射線によって引き起こされやすい。

アメリカの調査データでは、核施設周辺の大人も癌になる確率が高いと推測されている。

#13 汚染物質の排出

原子力発電所は大気へ、水中へと放射性物質を排出している。
全ての原子力発電所は排気口と排水管を備えている――トリチウム、炭素、ストロンチウ
ム、ヨウ素、セシウム、プルトニウム、クリプトン、アルゴン、キセノンなどの放射性物質の排
出のためだ。それらは大気中に分散し、水中、地中に留まる。さらに堆積し、濃縮され、生
物に取り込まれ、一部は細胞に組込まれる。そこでそれらの放射性物質は、とりわけ癌を
誘発し、遺伝子を傷つける。
この排気と排水による放射性物質の排出は政府によって公に認められている。通常
1000 兆ベクレルの放射性の希ガスと炭素、50 兆ベクレルのトリチウム、300 億ベクレルの
放射性微粒子、約100 億ベクレルの放射性ヨウ素131 の排出が許可されている。もちろ
ん1 年間に、1 つの原子力発電所あたりの話である。

#14 欠陥ある安全基準

放射線防護の安全基準は放射線による被害を甘んじて受け入れている。
今日においてもなお核施設で容認される放射性物質の排出量は、架空の「標準値人間」
に基づいている。彼はいつまでも若く、健康で男性であるのが特徴だ。彼より歳を取ってい
る高齢者、女性、子供、幼児、胎児は、ときには明らかに放射線に敏感に反応することなど
考慮されていない。
国内外の放射線防護の安全基準は、はじめから放射線による住民への健康被害を容認
している。「原子力エネルギー拡大戦略のための理性的な余地」を確保するために。

#15 低線量の放射線

低線量の放射線被爆は、公的な想定よりも危険だ。
非常に低いレベルの低線量被爆であっても、健康被害は発生する。これは様々な国の、
様々な核施設の従業員に対する一連の調査結果がそれを示している。
これらの研究は、今なお広く信じられている低線量の被爆はごく僅かの影響、全くの無害、
あるいはそれどころかポジティブな効果すらあるという思い込みを覆している。保守的であ
ると評価されるアメリカの「National Academy of Science」でさえも近年では、低線量
被爆が有害であることを認めている。原子力発電所周辺に居住する子供の癌の発生率が
高いこともこれで説明できる。
#16 トリチウム
原子力発電所からの放射性廃棄物は、DNA にまで組み込まれる。
核施設は大量の放射性水素(トリチウム)を大気や水中に放出する。人間、動植物は呼
吸と食料、栄養を通してそれを摂取する。身体はトリチウムとトリチウムを含む水を通常の
水素や水と同様に、すべての内臓器官に取り入れ、遺伝子にまで組み入れる。そこで放た
れる放射線は、病や遺伝子障害を引き起こす可能性がある。

#17 河川の高温化

原子力発電所からの温排水は魚から酸素を奪う。
原子力発電所はエネルギーを浪費している――原発はとりわけ(発電以上に)33℃までの
温排水によって、まずは河川を温める。これは魚に2 重のダメージを与える。
まず1 つ目に、温かい河川の水は、冷たい水に比べて酸素の含有量が尐ない。2 つ目に、
温かい水ではより多くの植物や小動物、プランクトンが死滅し、この有機物の腐敗の過程で
酸素をさらに消費する。そうして魚のための酸素が不足する。


#18 放射能の汚れ仕事

原子力発電所では何千人もの非正規労働者が汚れ仕事を処理している――多くの場合、
放射線防護の安全措置が十分でないまま。
彼らは派遣会社に登録され「火急」の際に駆り出される――何千人もの非正規労働者は原
子力発電所の最も放射線が強い区域で、清掃や汚染除去、修繕作業で給与を得ている。
ドイツ連邦環境省の1999 年の統計によると、彼ら非正規の労働者は、正規の従業員より
も数倍高い放射線被曝を受けている。フランスでは彼らを「放射能の餌」と呼んでいる。
これら非正規の労働者たちは、破れていたり、埃が立つ放射性廃棄物入りの袋を担いだ
り、放射線を放つコンテナの横でコーヒー休憩を取らされたり、完全防護服を着用しないで
原子炉の中心付近での作業をさせらりたりしたことがあると報告している。中にはあらかじ
め線量計を外して作業している者もいる。なぜなら最大被曝線量に達したら、そこでの職が
終わってしまうからだ。結局のところ、誰も職を失いたくはない。

#19 自己防衛

原子力発電所を運営する電力コンツェルンの上層部のエリートは、私生活において自身は
原発から大きく離されたところで生活している。
EnBW、E.ON、RWE、そしてVattenfall の役員たちは、職務上では原子力推進のため
に激しい戦いを続けている。ただし、彼らは私生活ではできるだけ距離を取る――ハンス=
ペーター・フィリス、ユルゲン・グロースマン、トゥオモ・ハタカらは自身の住居を自社の原子
力発電所から遠く離れたところに選んでいる。

ボーナス #102 チェルノブイリ

チェルノブイリの原子炉事故は数え切れないほど多くの人びとの生活を破壊した。
チェルノブイリ原子力発電所(ウクライナ)での破局的な大災害の後、ソビエト連邦は約
80 万人の「リクビダートル」を災害警防と処理作業のために派遣した。そのうちの90%以
上が現在では傷病者である。原子炉事故から20 年経過した現在までに、「リクビダートル」
として派遣された父親が傷病で死亡したため、1 万7 千のウクライナの遺族は国からの保
護を受領している。
1990 年から2000 年の間に、白ロシアにおける癌発症率は40%上昇し、WHO はホメリ
地方だけでも5 万人の子供たちが生涯の間に甲状腺癌を患うであろうと予想している。流
産、早産、死産が事故の後、劇的に増加している。原子炉付近に住んでいた35 万人の住
民は、永久に自身の故郷から引き離された。
 1,000km 離れたバイエルン州内でさえ、放射線障害を原因とした3 千件におよぶ奇形出
産が発生してる。チェルノブイリ後、多くのヨーロッパの国々で幼児死亡率がおよそ5 千人
分ほど増加している。
遺伝子の損害などによる次世代への負担は、事故の数多くの他の影響と同じようにまっ
たく調査しきれていない。確実に分かっていることは、1986 年の大事故は、まだまだ終わっ
ていないということだけだ。



環境被害、環境汚染


#3 水の浪費

ウラン採掘は貴重な飲料水を奪う。
鉱石からウランを取り出すために大量の水が必要とされる。しかし多くのウラン採掘地域
で水は不足している。
ナミビアの水道会社「NamWater」が先だって試算したところ、ナミビアで計画されている
ウラン鉱山が稼働すると、年間5,400 万㎥の水が不足することになり――それはオマルル・
オムデルのデルタ地帯全体で取水できる量の11 倍にもなる。鉱山およびウラン精製施設
における莫大な水需要は、現地の住民・家畜・農業との間で水の奪い合いを発生させる。

#4 放射能の汚泥湖

ウラン鉱山業からの強毒性の汚泥は、住民と環境を脅かす。
ウラン含有量が0.2%の場合、ウラン鉱石1 トンごとに998kg の毒性汚泥があとに残さ
れ、窪地や人造湖に溜められる。このいわゆる「選鉱くず」には、ウラン鉱石の85%にあた
る放射線と、ヒ素など多数の強毒性物質が含まれる。
選鉱くずからの放射性物質は数千年以上にわたって大気と地下水を汚染し、堰の決壊や
地滑りは破局的な被害を引き起こす。
モアブ(ユタ州/USA)のアトラス鉱山における汚泥貯蔵湖からは、十数年にわたって毒
性・放射性のある物質が地下水と1,800 万人に飲料水を供給する近くのコロラド川へと漏
れ出している。カザフスタンでは乾燥した選鉱くずからの放射性物質が、15 万人が住むア
クタウ市を脅かしている。また国連の見解によると、キルギスの狭い谷間にある無数の放
射性汚泥の廃棄所は「国際的な大災害を引き起こす可能性」があるとされている。

#5 鉱山による癌

ウラン鉱山業は癌を引き起こす。
ウラン坑とその廃棄物の埋立場からの放射性・毒性物質は、そこでの従業員と周辺住民
を病気にし、癌の発症率を上昇させる。
旧東ドイツのヴィスムート・ウラン鉱山では、約1 万人の元作業員が放射線被害による肺
ガンを発症した。キルギスのウラン鉱山町マイルースー市の住民においては、同国の他地
域に比べ2 倍の頻度で癌が発症している。1955 年から1995 年にかけてグランツ村(ニュ
ーメキシコ州/USA)のウラン鉱山で働いていた労働者には、これらと同じように癌発症率
と死亡率が高いことが研究によって証明されている。ウラン鉱山産業における重大な健康
被害の数々は、ニューメキシコ州のナバジョで、ポルトガルで、ナイジェリアで、そして他の
数多くのウラン鉱山地域で明らかになっている。


#6 死の大地

ウラン採掘は死の大地を生み出す。
ウラン鉱石のほとんどは、およそ0.1%から1%のウランしか含有しないし、ときには
0.01%しか含まないものもある。1 トンの天然ウランのためには100 トンから1 万トンの鉱
石が必要となる。それら鉱石は、採掘し、その後加工されねばならず、最終的に毒性を帯
びた汚泥として数万年もの間、安全に保管されなければならない。
さらに、ウラン含有量が尐ないため加工、精製すらされない土砂も数百万トン単位で発生
する。ウラン鉱石の何倍にもなるこれらの大量に採掘された土砂は、やはり同じように放射
線を発する。アメリカの元大統領ニクソンは、広範囲、および長年にわたる汚染のために、
ウラン採掘跡地を1972 年に国の犠牲地域、いわゆる「National Sacrifice Areas」に指
定した。

#7 高価な汚泥

ウラン採掘跡地の汚染処理には数億ユーロの費用を必要とする――そもそも、それが可能
であればの話だが。
ウラン鉱山業は莫大な汚染を残す――毒性・放射性の汚泥でいっぱいの湖沼、放射線を
発する瓦礫による山々。数千年以上にもわたりそれらは、地下水・飲料水をおびやかし、大
気を汚染し、健康被害を与え続ける。鉱山業を営む巨大コンツェルンは、ウラン採掘によっ
て巨利を得る。しかし、安全対策や汚染地域復旧などの処置のため発生する事後コストは、
その大部分を市民が賄わなければならない。
アメリカでは、たった1 つのウラン鉱山における、たった1 つの汚泥貯蔵地の汚染を処理
するために、10 億ドルもの税金が投入された。旧東ドイツのウラン鉱山跡の処理には65
億ユーロもの費用が発生した――コスト抑制のために旧東ドイツの厳格でない放射線防護
基準に従ったにもかかわらず。ウランが採掘される多くの国々では、そもそも、そのような復
旧費用を捻出することは不可能であり、汚染の処理は行われない。

#8 ウランの欠乏

ウラン鉱山はすでに20 年来、原子力発電所の需要を満たせていない。
1985 年以降毎年、原子力発電所ではウラン鉱山が採掘するよりも明らかに多くのウラン
を消費している。2006 年において、世界中のウラン鉱山を合わせても、原発が必要とする
ウランの3 分の2 の量しか産出していない。原子力発電所の運営者は、これまでこの燃料
不足分を、民間および軍事部門の在庫を取り崩すことでまかなってきた。しかしこれも尽き
ようとしている。
すでに存在する原子力発電所の燃料供給を確保するだけでも、ウラン産出量を数年のう
ちに50%以上増加させなければならない。そのためには無数の新規ウラン鉱山の営業を
開始させる必要がある――人間と環境に多大な被害をもたらしながら。

#9 埋蔵量の限界

ウラン埋蔵量は、わずか数十年のうちに枯渇する。
埋蔵量が豊富で採掘しやすい場所のウラン鉱床は、世界中でもうすぐ枯渇する。同量の
ウランを得るためには、今後、掘り返さなければならない土砂・岩石の量は増えるばかりだ。
そのためコストはかさみ、環境被害も急増する。
すでに知られている全てのウラン鉱山を採掘したとしても、現状の約440 基の原子力発
電所の需要を、45~80 年しか満たすことができない。さらに多くの原子力発電所が追加さ
れたなら、ウランはより短い時間で枯渇する。

#10 ウランの輸送

六フッ化ウランが絡む事故は破局的な大惨事を招きかねない。
ドイツ、ヴェストファーレン地方のグローナウ市にあるウラン濃縮プラントは、ウランを六フ
ッ化ウラン(UF6)に加工する。この非常に毒性・放射性の強い物質は、鉄道、トラック、そし
て船によって毎週のようにヨーロッパを、大都市や人口密集地域の中も横切って自由に移
動している。
事故や火災によって輸送容器は破裂する可能性があるが、そのときは放射線を発する中
身が周囲に拡散し、地域は汚染される。そして六フッ化ウランは空気中の水分と反応し、毒
性と刺激性の非常に強いフッ化水素となり――周辺数km の範囲内は、人間と環境に致命
的な危険がおよぶ。

#11 プルトニウムの輸送

核燃料棒の製造のために毎年何トンもの純粋な、兵器になりうるプルトニウムがヨーロッパ
の道路を走りまわっている。
多くの原子力発電所は二酸化ウランと二酸化プルトニウムの混合物であるMOX 燃料を
燃やしている。後者はほとんどの場合使用済み燃料の再処理からやって来る。約7kg の
プルトニウムで原子爆弾1 つの製造に十分であり、数マイクログラムを吸い込むと癌を確
実に発生させる。
フランスとベルギーのMOX 燃料製造工場には、年間数ト

燃料とウラン採掘 依存、強制移住

日本の読者の方々に
福島の原子力発電事故は、私たちにこの冊子を日本語に翻訳することを思い立たせました。
ここに記した数多くの数値やデータは、ドイツの原子力発電所に関するものですが、事実は
世界中どこでも同じです――原子力エネルギーは危険であり、非民主的で、高額で、不要
なものです。
 この小さな冊子が日本において、原子力に反対する市民運動に尐しでも力を
与え、支持するものであれば幸いです。
日本にお住まいの方で、地震に、津波に、そして原子力災害で悲惨な目に遭われたすべて
の方々に、私たちから心からのお見舞いを申し上げます。
自然災害による脅威は、この先も私たち人間が完全に管理することはできないでしょうが、
日本において原子力は私たち人間で終りにすることができます――この道を進まれ、幸運
を心から願っています!
みなさまのことを心から想って、
ウアズラ・スラーデク(Ursula Sladek)


EWS シェーナウ電力会社代表

#1~#11

燃料とウラン採掘

#1 依存

すべてのウランは輸入されなければならない。
ヨーロッパ全土では、チェコとルーマニアの鉱山においてのみ、尐量のウラン産出が行わ
れている。ドイツでは1991 年以降、実質的にウランは産出されておらず、フランスでは
2001 年から産出はない。
原子力による電力は、「自国産」のエネルギー源ではない。原発は資源の輸入と多国籍コ
ンツェルンへの依存度をますます強める――世界のウラン産出の3 分の2 は、4 つの巨大
鉱業会社の手中にある。
#2 強制移住
ウラン産出は数多くの人びとの生活基盤を破壊する。
世界のウラン資源の約70%は、いずれかの住民コミュニティがすでに居住しているエリア
に存在する。ウラン産出は農村を破壊し、牧草地や田畑を奪い、周辺の水源を汚染する。
ニジェール政府だけでも、2008 年に外国の投資機関に対して、広大な北部の土地にお
ける122 のウラン産出の採掘権を与えた――ここに住むトゥアレグ人のことなど考慮なしに。
数多くのウラン産出地域においては同じように、土地の強制徴収と移住を人びとに強要す


#2 強制移住


ウラン産出は数多くの人びとの生活基盤を破壊する。
世界のウラン資源の約70%は、いずれかの住民コミュニティがすでに居住しているエリア
に存在する。ウラン産出は農村を破壊し、牧草地や田畑を奪い、周辺の水源を汚染する。
ニジェール政府だけでも、2008 年に外国の投資機関に対して、広大な北部の土地にお
ける122 のウラン産出の採掘権を与えた――ここに住むトゥアレグ人のことなど考慮なしに。
数多くのウラン産出地域においては同じように、土地の強制徴収と移住を人びとに強要す
る。1996 年1 月26 日にインドのチャティコチャ村での事件のように――警察支援の下、採
掘を担当する企業のブルドーザーは、さらなるウラン採掘場所を確保するため、事前警告
なしで家屋や納屋、田畑を押しつぶした。