2012年3月12日月曜日

気候保護と電力供給


 気候保護と電力供給 

#66 安定供給

原子力発電所は安定供給をしているわけではない。
原子力からの電気――それは停電も意味する。安全性欠如のため、例えば原発ビブリス
A では2007 年に全く発電しなかった。原発ビブリスB も同時に13.5 カ月間停止している。
2009 年初頭、この2 つの原子炉はまたもや稼働を停止した――それぞれ13 カ月、および
9 カ月にわたって。原発クリュメルはすでに3 年間発電しておらず、原発ブルンスビュッテル
も同様の状態だ・・・
2007 年と2009 年には、17 基の原子炉のうち7 基が同時に修理のため停止された。ま
た夏季には原子力発電所が役に立たない――河川水温が高すぎて、冷却水を確保できず、
定期的に出力を落とさなければならないからだ。

#67 過剰生産

原子力発電所は無駄が多い。
2007 年と2009 年において、17 基ある原子力発電所のうち7 基が一時的に同時に停止
された時でさえも、ドイツは相当量の電力を輸出していた。連邦環境省と連邦経済省はそ
れぞれ独自の調査によりこれを裏付けている――電力供給の空白は生じず、脱原子力によ
っても安定供給はなされる。原発を廃炉しても、再生可能エネルギーや節電、コージェネレ
ーションで代替することができる。

#68 温室効果

原子力からの電気はCO2 フリーではない。
ウラン採掘やウラン精製、ウラン濃縮には莫大な量の気候変動の原因となる温室効果ガ
スが排出される。それゆえ今日でもすでに、原子力発電の電力は、風力や天然ガスによる
コージェネレーションの電力よりもCO2 バランスが悪い。将来的にはこのCO2 バランス
はさらに悪化する――鉱石中のウラン含有量が尐なくなればなるほど、ウラン採掘と精製に
化石エネルギーを投入することになるからだ。

#69 気候保護

原子力は気候を救わない。
原子力は世界エネルギー需要の僅か2%しか賄っていない。そのようなニッチの技術で
気候を救うことはできない。
その反対である――原子力は再生可能エネルギーの拡大を阻止し、エネルギー供給の転
換を妨げ、エネルギー浪費を促進し、我われが将来の持続可能なエネルギー供給システ
ムのために必要とする資本を奪う。

#70 非効率

原子力とは、純粋にエネルギー浪費のことである。
物理的に原子力発電所は、核分裂によって放出されたエネルギーの約3 分の1 のみ電
気に変換できる。残りの3 分の2 のエネルギーは――生態系にダメージを与えながら――河
川や大気を温め続ける。石炭発電所でさえ、原発よりも高い熱効率を発揮している。

#71 電気の浪費

原子力は電気の浪費を促進する。
原子力発電所は常時稼働するケースでのみ採算が取れる。しかし夜間に必要とされる電
力は尐ない。原子力コンツェルンが数十年にわたって、夜間蓄熱暖房機を推奨したのは自
明のことである。しかしその暖房機器が稼働するのは冬季だけである。それでは夏季の原
子力からの電力はどこで必要とされるのだろう? フランスの原子力コンツェルンEdF 社は
この分野の先駆者であり、すでにそれに対してすばらしい営業アイデアを展開している――
彼らが推奨するのはエアコンだ。

ボーナス #114 核融合という幻想

核融合は今日すでに活用することができる――ソーラーエネルギーの形で。それ以外の全
ては時間と金がかかりすぎる。
原子力の別の利用法――それが核融合だ。それは原子核の分裂ではなく、融合によって
エネルギーを獲得しようとする。
問題となるのは、そのためには1.5 億℃までの高温が必要なことであり、それは太陽の10
倍の熱さであるということだ。
人間の手による核融合の実例はこれまで水素爆弾だけだ。地上の「核融合発電所」は、
すでに60 年代に約束されていたが、数十億ユーロもの研究費にもかかわらず50 年経っ
ても兆しすら見えない。万が一それができたとしても、燃料には数トンもの放射性トリチウム
が必要となり、新しい危険な核廃棄物を生産することになる。それに対して天高くには私た
ちの惑星システム最大の核融合発電所、太陽が稼動している。私たちが未来永劫にわたっ
て必要とするよりも数万倍ものエネルギーを届けている。そして、太陽は今日、すでにまっ
たく危険なしで活用することができる。

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