2012年3月5日月曜日

薬に放射性物質が混入している可能性について教えてください。


神奈川県在住 30代 会社員 女性 の方からいただいたご質問
食品については様々な機関で調査がされるようになりましたが、薬についての調査はありません。製薬会社に問い合わせたところ、ミルクのように外気を使うような製造過程ではないとのことでしたが、原料などの問題はないのでしょうか。また毎日飲まなければならない人もいるのに、とくに規制値もないのでしょうか。ミルク程度の汚染ならば、投与される量も少ないので問題にならないのですが、高濃度に濃縮されているという可能性はないのでしょうか。
 
医薬品はその種類の多さにより、原料や成分や製造工程が多岐にわたっているため、汚染について厳密に申し上げることは出来ませんが、人や動物用医薬品の製造・販売は、基本的にGMP(医薬品の製造管理及び品質管理規制)に基づいており、有効かつ安全性の高い優良な品質の医薬品を製造するために必要な製造所の構造設備や製造管理、及び品質管理について守るべき要件が定められています。医薬品の製造では、GMPに基づきイオン交換や吸着、ろ過や分離など、目的物質を限定して抽出もしくは不純物の分離を行い、汚染及び品質低下の防止措置を図っています。また、医薬品の製造環境も同じくGMPに基づき、空気中の微粒子数や埃や微生物などの汚染が厳密に管理されており、さらに空気中に有害物質が流失したり、空気中の汚染などが製造過程で混入したりすることのないよう、各段階で精密なフィルターが設けられています。福島原発事故で放出された放射性物質のうち、長期にわたる内部被ばくとして注目されているセシウムは、基本的に医薬品の原料として用いられる成分ではなく、上記の不純物や汚染に該当しますので、医薬品の製造過程において放射性セシウムが濃縮や混入する可能性は極めて低いと回答者は考えています。
上記で述べたとおり、医薬品の製造工程は厳しく管理されており、医薬品摂取に伴う放射性セシウムの内部被ばくは、喫煙や遺伝、生活習慣等からくるがんリスクと比べかなり低いと考えられています、むしろ放射性セシウムによる内部被ばくよりも、医薬品を摂取しないことによるデメリットのほうが大きいことから、食品の様な暫定規制値を医薬品には設けておりません。

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