2012年3月12日月曜日

環境被害、環境汚染


#3 水の浪費

ウラン採掘は貴重な飲料水を奪う。
鉱石からウランを取り出すために大量の水が必要とされる。しかし多くのウラン採掘地域
で水は不足している。
ナミビアの水道会社「NamWater」が先だって試算したところ、ナミビアで計画されている
ウラン鉱山が稼働すると、年間5,400 万㎥の水が不足することになり――それはオマルル・
オムデルのデルタ地帯全体で取水できる量の11 倍にもなる。鉱山およびウラン精製施設
における莫大な水需要は、現地の住民・家畜・農業との間で水の奪い合いを発生させる。

#4 放射能の汚泥湖

ウラン鉱山業からの強毒性の汚泥は、住民と環境を脅かす。
ウラン含有量が0.2%の場合、ウラン鉱石1 トンごとに998kg の毒性汚泥があとに残さ
れ、窪地や人造湖に溜められる。このいわゆる「選鉱くず」には、ウラン鉱石の85%にあた
る放射線と、ヒ素など多数の強毒性物質が含まれる。
選鉱くずからの放射性物質は数千年以上にわたって大気と地下水を汚染し、堰の決壊や
地滑りは破局的な被害を引き起こす。
モアブ(ユタ州/USA)のアトラス鉱山における汚泥貯蔵湖からは、十数年にわたって毒
性・放射性のある物質が地下水と1,800 万人に飲料水を供給する近くのコロラド川へと漏
れ出している。カザフスタンでは乾燥した選鉱くずからの放射性物質が、15 万人が住むア
クタウ市を脅かしている。また国連の見解によると、キルギスの狭い谷間にある無数の放
射性汚泥の廃棄所は「国際的な大災害を引き起こす可能性」があるとされている。

#5 鉱山による癌

ウラン鉱山業は癌を引き起こす。
ウラン坑とその廃棄物の埋立場からの放射性・毒性物質は、そこでの従業員と周辺住民
を病気にし、癌の発症率を上昇させる。
旧東ドイツのヴィスムート・ウラン鉱山では、約1 万人の元作業員が放射線被害による肺
ガンを発症した。キルギスのウラン鉱山町マイルースー市の住民においては、同国の他地
域に比べ2 倍の頻度で癌が発症している。1955 年から1995 年にかけてグランツ村(ニュ
ーメキシコ州/USA)のウラン鉱山で働いていた労働者には、これらと同じように癌発症率
と死亡率が高いことが研究によって証明されている。ウラン鉱山産業における重大な健康
被害の数々は、ニューメキシコ州のナバジョで、ポルトガルで、ナイジェリアで、そして他の
数多くのウラン鉱山地域で明らかになっている。


#6 死の大地

ウラン採掘は死の大地を生み出す。
ウラン鉱石のほとんどは、およそ0.1%から1%のウランしか含有しないし、ときには
0.01%しか含まないものもある。1 トンの天然ウランのためには100 トンから1 万トンの鉱
石が必要となる。それら鉱石は、採掘し、その後加工されねばならず、最終的に毒性を帯
びた汚泥として数万年もの間、安全に保管されなければならない。
さらに、ウラン含有量が尐ないため加工、精製すらされない土砂も数百万トン単位で発生
する。ウラン鉱石の何倍にもなるこれらの大量に採掘された土砂は、やはり同じように放射
線を発する。アメリカの元大統領ニクソンは、広範囲、および長年にわたる汚染のために、
ウラン採掘跡地を1972 年に国の犠牲地域、いわゆる「National Sacrifice Areas」に指
定した。

#7 高価な汚泥

ウラン採掘跡地の汚染処理には数億ユーロの費用を必要とする――そもそも、それが可能
であればの話だが。
ウラン鉱山業は莫大な汚染を残す――毒性・放射性の汚泥でいっぱいの湖沼、放射線を
発する瓦礫による山々。数千年以上にもわたりそれらは、地下水・飲料水をおびやかし、大
気を汚染し、健康被害を与え続ける。鉱山業を営む巨大コンツェルンは、ウラン採掘によっ
て巨利を得る。しかし、安全対策や汚染地域復旧などの処置のため発生する事後コストは、
その大部分を市民が賄わなければならない。
アメリカでは、たった1 つのウラン鉱山における、たった1 つの汚泥貯蔵地の汚染を処理
するために、10 億ドルもの税金が投入された。旧東ドイツのウラン鉱山跡の処理には65
億ユーロもの費用が発生した――コスト抑制のために旧東ドイツの厳格でない放射線防護
基準に従ったにもかかわらず。ウランが採掘される多くの国々では、そもそも、そのような復
旧費用を捻出することは不可能であり、汚染の処理は行われない。

#8 ウランの欠乏

ウラン鉱山はすでに20 年来、原子力発電所の需要を満たせていない。
1985 年以降毎年、原子力発電所ではウラン鉱山が採掘するよりも明らかに多くのウラン
を消費している。2006 年において、世界中のウラン鉱山を合わせても、原発が必要とする
ウランの3 分の2 の量しか産出していない。原子力発電所の運営者は、これまでこの燃料
不足分を、民間および軍事部門の在庫を取り崩すことでまかなってきた。しかしこれも尽き
ようとしている。
すでに存在する原子力発電所の燃料供給を確保するだけでも、ウラン産出量を数年のう
ちに50%以上増加させなければならない。そのためには無数の新規ウラン鉱山の営業を
開始させる必要がある――人間と環境に多大な被害をもたらしながら。

#9 埋蔵量の限界

ウラン埋蔵量は、わずか数十年のうちに枯渇する。
埋蔵量が豊富で採掘しやすい場所のウラン鉱床は、世界中でもうすぐ枯渇する。同量の
ウランを得るためには、今後、掘り返さなければならない土砂・岩石の量は増えるばかりだ。
そのためコストはかさみ、環境被害も急増する。
すでに知られている全てのウラン鉱山を採掘したとしても、現状の約440 基の原子力発
電所の需要を、45~80 年しか満たすことができない。さらに多くの原子力発電所が追加さ
れたなら、ウランはより短い時間で枯渇する。

#10 ウランの輸送

六フッ化ウランが絡む事故は破局的な大惨事を招きかねない。
ドイツ、ヴェストファーレン地方のグローナウ市にあるウラン濃縮プラントは、ウランを六フ
ッ化ウラン(UF6)に加工する。この非常に毒性・放射性の強い物質は、鉄道、トラック、そし
て船によって毎週のようにヨーロッパを、大都市や人口密集地域の中も横切って自由に移
動している。
事故や火災によって輸送容器は破裂する可能性があるが、そのときは放射線を発する中
身が周囲に拡散し、地域は汚染される。そして六フッ化ウランは空気中の水分と反応し、毒
性と刺激性の非常に強いフッ化水素となり――周辺数km の範囲内は、人間と環境に致命
的な危険がおよぶ。

#11 プルトニウムの輸送

核燃料棒の製造のために毎年何トンもの純粋な、兵器になりうるプルトニウムがヨーロッパ
の道路を走りまわっている。
多くの原子力発電所は二酸化ウランと二酸化プルトニウムの混合物であるMOX 燃料を
燃やしている。後者はほとんどの場合使用済み燃料の再処理からやって来る。約7kg の
プルトニウムで原子爆弾1 つの製造に十分であり、数マイクログラムを吸い込むと癌を確
実に発生させる。
フランスとベルギーのMOX 燃料製造工場には、年間数ト

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