2011年10月16日日曜日

女川原発を巡る東北電力等のやらせ問題5 宮城県のやらせ隠し問題

女川原発を巡る東北電力等のやらせ問題5 宮城県のやらせ隠し問題①

21日(金)、仙台で、「宮城県のやらせ隠し問題」についての緊急報告会を開催します

県に寄せられた問題の「意見317番」原文を添付
「宮城県のやらせ隠し問題」とは、
東北電力が女川原3号機で計画しているプルサーマル計画に関して、
宮城県・女川町・石巻市が行なった「プルサーマル全般に対する意見募集」(2010年2月5日までの2ヶ月間)の際に、
電力関係のいずれかの組織が行なった「動員」について記した意見が寄せられていたのに、
去年3月7日(日)の宮城県知事・女川町長・石巻市長の「三者同意」に至るまで
宮城県等が県民にそれを隠し通した問題です。
次が、317番の意見の隠し通された部分のうちの中核となる部分。
「『反対意見が多くて大変だから・・・』と動員をかけられ『ハイハイ。えっ今日が締め切りじゃないですか!』と慌てながらも仕事の合間を縫って『ご意見・ご質問フォーム』に『消極的賛成』と書き込むぐらい賛成です」
締切日前日までに寄せられた意見はわずか80。
ところが、締切日に寄せられた意見はその3倍以上にのぼり、1人を除いた全員は賛成意見だったのです。
宮城県のこの「やらせ(=動員されての賛成意見の提出)隠し」は、「原子力発電を考える石巻市民の会」が、当時三自治体がつくった「安全性検討会議」を傍聴し続けたり、石巻市に「プルサーマル全般に関する意見募集」に寄せられた意見全部を開示請求したりする中でつかんだものです。
この問題は、九州電力の「やらせメール」問題などと同様に、プルサーマル推進などでの県と電力会社の癒着ぶりを示すものだと言えます。
金の力と非民主主義的な手法で推し進められてきた「プルサーマル推進」「核燃料サイクル推進」の「国策」に、県と電力会社は癒着しながら協力してきたのです。
九州電力も古川佐賀県知事も、九州電力がつくった第三者委員会が知事の関与を明らかにしているのに知事の関与・県の関与を否定しつづけていますが・・・(10月15日のTBSニュース「枝野大事、九電に『何を考えているのか』」
宮城県の場合も、県の関与は明白ではないでしょうか(→参照)。
この宮城県の「やらせ隠し問題」について、「原子力発電を考える石巻市民の会」「止めようプルサーマル!止めよう核燃料サイクル!女川原発地元連絡会」と宮城県護憲平和センターは9月5日、村井宮城県知事宛に公開質問・要請書抗議の申し入れ書を提出しました(未だに回答はなし)。
10月21日(金)午後6時半~9時、仙台青葉区の中央市民センター(地図)第4集会室で、
原子力発電を考える石巻市民の会が「緊急報告会」を開きます。
報告者は、原子力発電を考える石巻市民の会の日下郁郎と、宮城県護憲平和センターの菅原晃悦さんです。
どなたも自由に御参加ください(無料)。

[参照1]締切日の2010年2月5日に宮城県に寄せられた「意見317番」
※「動員をかけられ」賛成意見を提出したことがわかる。
画像 002.jpg
[参照2]次は、安全性検討会議(正式名称は「女川原子力発電所3号機におけるプルサーマルの安全性に係る検討会議」)の「第6回会議」(2010年2月16日開催された最終会議)の配布資料の中にあった「意見317番」の「隠し・要約文」全文。
「女川原子力発電所3号機プルサーマル計画に対し、結論から言えば「消極的賛成」です。安全性や安全管理体制等は信頼しています。ただし、意見集約の仕方に問題がありませんか? 高齢化が進む女川石巻で高齢者を除外する意図があるとは思えませんが、パソコン持たずワープロ打てずの高齢者がこの「ご意見・ご質問フォーム」にアクセスするのは至難の業。この書き込み欄、狭いし字は小さいし入力が大変」
※宮城県は、東北電力にとって都合の悪いことは全て隠して「要約」している。
※この「隠し・要約文」は、インターネット上の「宮城のプルサーマル情報」では、「安全性検討会議」の「第6回会議」の配布資料にはなく、「平成21年度プルサーマル検討資料集」の「Ⅱ資料編」の「5.住民理解活動」の「(3)プルサーマル全般に対する意見募集」の317ページ(最終ページ)にある。
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2011年10月9日日曜日

原発の運転再開を許さない

国は原発の運転再開を停止し、やらせ問題の調査を徹底すべき!

「原発の運転再開を許さない!全国討論会」に参加

東京でさよなら原発6万人集会・デモの開かれた前々日の9月17日、会場となった明治公園の隣の日本青年会館(下の写真奥の茶色の建物)で「原発の運転再開を許さない!全国討論会」(主催は「美浜の会」、「グリーンピース・ジャパン」等5団体)が開かれたので参加しました(撮影は3枚ともパラフォト代表の佐々木延江さん)。
列島各地で反原発、脱原発に取り組む人々が結集し、熱気ある集会となりました。
9.17全国討論会
(討論会終了後、明治公園で今後の行動について話し合い)
9.17全国討論会
(放射能汚染に呻吟する福島県民の現状を報告する佐藤幸子さん)
9.17全国討論会
(津波による女川原発の放射線監視施設の壊滅等について報告する日下)
9月28日、主催団体と討論会参加団体等22団体は政府に、以下を求める要請・質問書を提出しました(詳しくは美浜の会のHPを御覧ください)。
1.福島事故の実態を無視したストレステストや「緊急安全対策」で、運転再開を了承しないこと。
2.津波の前に地震動で配管が破損した可能性について、実態に即して検証すること。
3.「やらせ」調査の対象を全ての電力会社に拡大し、調査結果の詳細を公開し、責任を明らかにすること。
10月7日(金)、この要請・質問を巡っての政府交渉があります(出席を求めているのは、原子力安全・保安院、原子力安全委員会、原子力災害対策本部、事故調査・検証委員会)。
宮城県原子力安全対策室の様子を見る限り、村井知事は、県も絡んだ東北電力のやらせ問題をなんとか揉み消そうとしているように見えます。
知事のこのような姿勢をただすための行動の一環として、まずはこの政府交渉に参加しようと思っています。

[参考]
1.ユーストリームで観る「原発の運転再開を許さない!全国討論会」
2.運転再開を許すな!全国討論会速報
3.デモに向けて、反原発の地元市民が上京、報告会
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2011年10月7日金曜日

高レベル放射性廃棄物の処理


放射性廃棄物高レベル放射性廃棄物の処理

使用済燃料を再処理して取り出した高レベル放射性廃棄物は、ガラス固化体にして地層処分します。

高レベル放射性廃棄物の処理方法

原子力発電所で使い終えた燃料から、再利用できるウランやプルトニウムを回収すると、核分裂生成物を含む廃液が残ります。これは放射性物質の濃度が高いので高レベル放射性廃棄物と言います。この廃液はガラスと混ぜて溶かし、固めてガラス固化体にします。このガラス固化体は高温のため、青森県六ヶ所村の「高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター」で30~50年間冷却貯蔵します。その後、人間の生活環境に影響を及ぼさない地下300メートルより深い安定した地層中に処分する予定です。

高レベル放射性廃棄物の処理・処分の基本的な考え方

1.発生

再処理工程のイメージ画像
使用済燃料を再処理し、ウランやプルトニウムなどの有用な物質を回収した後には、放射能レベルの高い廃液が残る。

2.処理

ガラス固化体のイメージ画像
濃縮して容積を少なくした放射性廃液をガラスに溶け込ませ、ステンレス製の容器(キャニスター)の中で安定な形に固化する。

3.保管

貯蔵のイメージ画像
冷却のため、30~50年間程度安全に貯蔵する。

4.処分

地層処分のイメージ画像
地下深い地層に処分する。
出典:原子力白書平成10年版 他
(「原子力・エネルギー」図面集2009)より作成

ガラス固化体にして貯蔵

原子力発電所で使い終えた燃料から、再利用できるウランやプルトニウムを回収した後に残る廃液(高レベル放射性廃棄物)は、ガラス原料と共にガラス溶融炉に入れ高温で溶かし合わせ、ステンレス製容器(キャニスター)の中で固化し、ガラス固化体という安定した形にして貯蔵します。ガラスは水に溶けにくく、化学的に安定しているため、放射性物質を長期間変化することなく閉じ込めるのに優れています。
フランス、ベルギー、アメリカ、日本でこれまで約9,000本以上の製造実績があります。

高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)ができるまで

【図解】高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)ができるまで。ガラス固化体仕様、体積約150リットル、重さ約500キログラム。
出典:高レベル放射性廃棄物処分懇談会報告書
(「原子力・エネルギー」図面集2009)より作成