2019年12月31日火曜日

と畜場以外の場所での獣畜のと殺・解体は規制される(第13条)

概要

「と畜場法」の「と」は、漢字では「屠」であるが、「屠」は当用漢字でなかったため、ひらがなで表記された(漢字制限)。
規制の対象となる獣畜は、牛、馬、豚、めん羊及び山羊である(第3条)。この法律により、と畜場以外の場所での獣畜のと殺・解体は規制される(第13条)。これは、獣畜からの感染症の蔓延を防止するための規制であり、例えば、自らの所有地でかつ自ら所有する牛であっても、許可なく食用のためにと殺・解体することは禁じられている。

と畜場の種類

  • 「一般と畜場」- 通例として、牛・馬(生後一年以上)または一日に十頭を超える獣畜をと殺・解体する規模のもの。なお、「通例として」というのは平均ではなく、通常の場合においてという意味とされる[1]
  • 「簡易と畜場」- 一般と畜場以外のもの(一日に十頭以下の獣畜をと殺・解体する規模もの)。豚・羊を専用にと殺・解体すると畜場である。
なお、「簡易と畜場」は、従前「羊豚専用簡易屠場」として許可[2]されていたものを、本法の制定により法的に明確にされたものである。

設置の許可

と畜場の設置には、都道府県知事の許可が必要である(第4条)。このとき、人家の密集している場所や飲料水が汚染される場所など公衆衛生上の危害を生ずるおそれがある場合、許可は与えられない(第5条第1項)。なお、と畜場の規模に応じて、一日当たりの処理頭数の上限が決められる(第5条第2項)。
また、都道府県知事は、法律に違反した場合などには、許可を取り消すことができる(第18条)。

と畜場の使用

と畜場は、正当な理由なく、農場からの獣畜の搬入を拒むことはできない。また、正当な理由なく、と殺・解体の依頼を断ることもできない(第11条)。また、と畜場が生産者に対して求める代金である、と畜場使用料やと殺解体手数料については、都道府県知事の認可が必要である(第12条)。
これらは、と畜場が単なる営業の施設ではなく、公共の必要性があって設置される施設であるため、設けられた規定である。

衛生管理責任者

と畜場は、食肉を生産する食品工場であり、衛生的な管理が求められる(第6条)。そのため、と畜場における衛生管理の責任者として、と畜場ごとに、衛生管理責任者を置かなければならない(第7条)。この資格には、獣医師、または畜産学科を卒業した者でなければならない。

と畜検査・と畜検査員

疾病のある獣畜が食用に供されないよう、一頭ごとに、行政による厳格な検査が行われている。この検査は、各都道府県食肉衛生検査所に所属する「と畜検査員」により実施される(第19条第1項)。と畜検査員は、獣医師の資格を有する者でなければならない(第19条第3項)。
と畜検査は、と殺・解体の各工程で行われており、①生体検査、②解体前検査(と殺後検査)、③解体後検査の順となっている。
  • ①の検査の後でなければ、と殺してはならない(第14条第1項)
  • ②の検査の後でなければ、解体してはならない(第14条第2項)
  • ③の検査の後でなければ、枝肉等を持ち出してはならない(第14条第3項)
とされており、各段階の獣医師によると畜検査に合格しなければ、食肉になることはない。
検査に不合格となった場合、と殺前であればその獣畜はと殺が禁止され、と殺後であればその獣畜の肉・内臓・骨・血液などは、廃棄しなければならない(第16条)

構成

  • 第1条(この法律の目的)
  • 第2条(国、都道府県及び保健所を設置する市の責務)
  • 第3条(定義)
  • 第4条(と畜場の設置の許可)
  • 第5条(同上)
  • 第6条(と畜場の衛生管理)
  • 第7条(衛生管理責任者)
  • 第8条(同上)
  • 第9条(と畜業者等の講ずべき衛生措置)
  • 第10条(作業衛生責任者)
  • 第11条(と畜場の使用等の拒否の制限)
  • 第12条(と畜場使用料及びとさつ解体料)
  • 第13条(獣畜のとさつ又は解体)
  • 第14条(獣畜のとさつ又は解体の検査)
  • 第15条(譲受けの禁止)
  • 第16条(とさつ解体の禁止等)
  • 第17条(報告の徴収等)
  • 第18条(と畜場の設置の許可の取消し等)
  • 第19条(と畜検査員)
  • 第20条(厚生労働大臣の調査の要請等)
  • 第21条(国民の意見の聴取)
  • 第22条(連絡及び協力)
  • 第23条(事務の区分)
  • 第24条(罰則)
  • 第25条(同上)
  • 第26条(同上)
  • 第27条(同上)
  • 附則

脚注

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  1. ^ 日本獣医師会雑誌(1953),阿曽村千春
  2. ^ 昭和6年9月10日発衛第99号厚生省衛生局長通知

関連項目

バビロニアの補習

バビロニア暦

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バビロニア暦(バビロニアれき、英語:Babylonian calendar)とはバビロニアなどの地域で使用されたメソポタミア文明の太陰太陽暦である。シュメールのウル第三王朝のシュルギ王(紀元前21世紀)が定めたウンマ暦を起源とする。
春分の頃の新月の直後を元日とする。紀元前6世紀までは天文観察に基づいて作られ、春分の時期を正確に予測するため恒星 カペラの動きを観察していた。紀元前5世紀の初めより、19年が235ヶ月に等しいものとする周期を採用して作られるようになった。メトン周期の先駆とされる。バビロニア暦の月名はバビロン捕囚の時からユダヤ暦に採用された。年の始まりを春分とする前提によっており、イラン暦のような太陽暦と共通する一方、同じ太陰太陽暦でありながら中国暦とは違いが見られる。の起源は陰暦1ヶ月を4等分するバビロニアの祭日によるともいわれる。

一年は春に始まり、3つの季節に分かれ、「始期(reš šatti)」、「中期(mišil šatti)」、「終期(qīt šatti)」から成る。「月」に当たる単語は「arḫu」である(所属形は「araḫ」)。暦はバビロニア人が作ったものであり、それより後代のアッシリア人によるものではないことは、アッシリア人の主神が閏月に割り当てられていることからもわかる。紀元前6世紀のバビロン捕囚の時期に、ヘブライ人たちは、バビロニア暦の月の名前をヘブライ暦に採用した。イラクやレバント地方(東部地中海沿岸地方)で用いられたアッシリア暦は、バビロニア暦の多くの月の名前を用いてる。例えばイヤール(Iyyar)、タムズ(Tammuz)、アブ(Ab)、エルル(Elul)、ティシュリー(Tishri)、アダル(Adar)などである。

バビロニア暦
季節 月の名前 月を司る神 星座 ユダヤ暦 グレゴリオ暦
始期 Reš Šatti 𒊕𒈬
1 ニサンヌ Araḫ Nisānu - 𒌚𒁈
「聖なる月」
豊穣の神ベル
𒀭𒂗
牡羊座(Agru)
𒀯𒇽𒂠𒂷
ニサン
(Nisan)
3月/4月
2 アル Araḫ Āru - 𒌚𒄞
「雄牛の月」
知識の神エンキ(エア)
𒂗𒆠
牡牛座(Gu)
𒀯𒄞
イヤール
(Iyar)
4月/5月
3 シマヌ Araḫ Simanu - 𒌚𒋞
月神シン
𒂗𒍪
双子座(Maštaba)
𒀯𒈦𒋰𒁀
シヴァン
(Sivan)
5月/6月
4 ドゥムズ Araḫ Dumuzu - 𒌚𒋗
「タンムーズ神の月」
羊飼いの神タンムーズ
𒀭𒌉𒍣
かに座(Alluttu)
𒀯𒀠𒇻
タムズ
(Tammuz)
6月/7月
中期 Mišil Šatti 𒁇𒈬
5 アブ Araḫ Abu - 𒌚𒉈
- 獅子座(Nēšu)
𒀯𒌨
アブ
(Av)
7月/8月
6 ウルル Araḫ Ulūlu - 𒌚𒆥
女神イシュタル
𒀭𒈹
乙女座(Sisinnu)
𒀯𒀳
エルル
(Elul)
8月/9月
7 ティスリトゥム Araḫ Tišritum - 𒌚𒇯
「始まりの月」
(後半の半年の始まりであることから)
太陽神シャマシュ
𒀭𒌓{
てんびん座(Zibānītu)
𒀯𒄑𒂟
ティシュリー
(Tishrei)
9月/10月
8 サムヌ Araḫ Samnu - 𒌚𒀳
「土台を据える月」
創造神マルドゥク
𒀭𒀫𒌓
さそり座(Zuqaqīpu)
𒀯𒄈𒋰
チェスヴァン
(Cheshvan)
10月/11月
終期 Qīt Šatti 𒌀𒈬
9 キスリム Araḫ Kislimu - 𒌚𒃶
戦いの神ネルガル
𒀭𒄊𒀕𒃲
射手座(Pabilsag)
𒀯𒉺𒉋𒊕
キスレヴ
(Kislev)
11月/12月
10 テベトゥム Araḫ Ṭebētum - 𒌚𒀊
「水が間もなく来たる月」
伝令の神ペプスカル
𒀭𒊩𒆠𒋚
山羊座(Suḫurmāšu)
𒀯𒋦𒈧𒄩
テベット
(Tebeth)
12月/1月
11 サバトゥ Araḫ Šabaṭu - 𒌚𒊭𒉺𒌅
天候の神アダド
𒀭𒅎
水がめ座(Gula)
𒀯𒄖𒆷
シェバト
(Shebat)
1月/2月
12 アダル/アッダル Araḫ Addaru / Adār - 𒌚𒊺
「アダルの月」
破壊の神エッラ
𒀭𒅕𒊏
魚座(Zibbātu)
𒀯𒆲𒎌
アダル
(Adar)
2月/3月
閏月 13 マカルサ・アッダリ
Araḫ Makaruša Addari
または
アッダル・アルク
Araḫ Addaru Arku - 𒌚𒊺𒂕
アッシリアの神アッシュール
𒀭𒀸𒋩
19年周期の第17年に挿入される閏月は「ウルルの月(𒌚𒆥)」と呼ばれた
紀元前6世紀までは、暦は天体観測に基づくものでしかなかったが、紀元前499年頃には、月と太陽の周期に基づき、19年が235か月に等しくなるよう、調整された。なお、ギリシャのアテナイで用いられていた太陰太陽暦(アッティカ暦)を改良するため、数学者メトン(Meton)が同じ暦を紀元前433年[1]に導入したことにちなみ、メトン周期と呼ばれる。だが、おそらく、メトンはバビロニアからこの周期に関する知識を仕入れたのであろう。2、3の例外を除き、紀元前380年まで、暦はこの原則に基づいて運用された。19年間に235月とするためには、通常の年を12か月として、19年x12月=228月に、あと7か月の閏月を加える必要がある。このため、3、6、8、11、14、19年目に第2アダルの月を加え、17年目には6番目の月であるウルルの月の後に第2ウルルの月を加える方法で調整した [2] 。それぞれの月は、新しい三日月が水平線上に確認された最初の日(日没に始まる)に始まり、次の新しい三日月が確認される日まで続く。この間、日付を特定するための数字は用いられなかった。

バビロニア人は、新月から数えて7日目ごとの日を、「聖なる日」として祝ったが、この日は「邪悪な日」(意味合いとしては、禁止行為を行うには不適当な日)とも呼ばれた(要出典)。これらの日には役人たちは様々な活動を禁止され、一般の人々は「願をかけること」を禁じられた(要出典)。そして少なくとも、第28日目は「安息日」とされたことが知られる(要出典)。これらの日には、様々な神や女神に供え物が捧げられたが、禁に抵触することを避けるため、儀式は夕暮れに行われたようである。祈りの対象となる神は、第7日目がマルドゥクとイシュタル。第14日目はニンリルとネルガル。第21日目はシンとシャマシュ。第28日目はエンキと女神マーであった。キュロス大王とカンビュセス2世の時代(紀元前6世紀)の粘土板によれば、時にこれらの儀式が、本来の日とやや前後して実施されたようである。なお、月の周期は29~30日であるため、7日間の週を3回繰り返した後の最後の週は8日または9日となり、完全な7日周期にはならない [3]

安息日の起源について諸説ある中で、「ユダヤ百科事典」(Universal Jewish Encyclopedia。著:アイザック・ランドマン[4])は、フリードリヒ・デーリッチ[5]などのアッシリア学者の説を提唱している [6] [7] 。それによれば、元々、安息日は月の周期に合わせて生まれたもので、一月は、安息日で締めくくられる4つの週と、毎月、変則的に追加される1~2日から成っていた[8]。ただし、この説は、完全な7日単位の週と、月齢による変則的な週の違いについてのつじつまを合わせることが難しいほか、いかなる言語においても、月齢による週において安息日の名に触れる文書が確認できないことが難点である[9][10]

加えて、バビロニア人は第19日目を特別な邪悪な日、「怒りの日」として祝った。なぜならその日は、前の月から通算でおよそ第49日目にあたり、7の7倍を全うする日だからである(要出典)。犠牲がニヌルタに供えられ、その一日はグラ[11]に捧げられた。この日は、通常の「聖なる日」よりも、さらに禁忌が強化されたようである(要出典)。

また、壊れた粘土板(要出典)が復元されれば、今まで立証できなかったSapattumまたはSabattumという単語が満月を指すものと証明できるかもしれない。ヘブライ語のShabbatは、この単語と同語源あるいは派生と推測される。だが、Sapattum(または Sabattum)は、週単位というよりは月単位のものを指すと思われる。この単語は、シュメール語のsa-bat(休息中の)の一形態と思われる。sa-batは、アッカド語ではum nuh libbi(休息中の日)であることがわかっている。マルセロ・クラヴェリ(Marcello Craveri)[12]によれば、Sabbathは「ほぼ確実にバビロニア語で満月祭を意味する「Shabattu」から生まれたと思われるが、語源をたどる全ての痕跡は失われており、ヘブライ人は聖書の伝説に由来するものと考えている。」[13] この結論は、損傷したエヌマ・エリシュの創造神話を文脈から復元したものによる。その文章には「[Sa]bbath shalt thou then encounter, mid[month]ly.(汝、[月]の最中、その時に[Sa]bbathに出会うであろう)」とある[3]

脚注

  1. ^ なお、メトン歴の導入時期について、英語版記事では紀元前432年としている。
  2. ^ 英語版のメトン周期の記事(Metonic cycle)の他、古代オリエントと旧約時代の暦も参照した。
  3. ^ a b Pinches, T.G. (2003). "Sabbath (Babylonian)". In Hastings, James. Encyclopedia of Religion and Ethics. 20. Selbie, John A., contrib. Kessinger Publishing. pp. 889–891.
    (『宗教・倫理百科事典』(編:ジェームズ・ヘイスティングス、協力:ジョン・アレクサンダー・セルビー、オリジナルは1908~1928年。キッシンジャー出版(米国))に収録されている『(バビロニアの)安息日』(著:セオフィルス・ゴールドリッジ・ピンチーズ(イギリスのアッシリア学者))p.889-891)
  4. ^ アメリカの改革派ラビ。1880-1946
  5. ^ ドイツのアッシリア学者。1850-1922
  6. ^ Landau, Judah Leo. The Sabbath. Johannesburg: Ivri Publishing Society, Ltd. pp. 2, 12.
    (『安息日』(著:ジュダ・レオ・ランドゥ(スペイン生まれ。南アフリカで活動したラビ)、イヴリ出版協会(南アフリカ)、1923年)p2,12)
  7. ^ Joseph, Max (1943). "Holidays". In Landman, Isaac. The Universal Jewish Encyclopedia. 5. p. 410.
    (『ユダヤ百科事典』(著:アイザック・ランドマン)第5巻 p.410に収録されている、『休日』(マックス ジョセフ(ヘブライ学者)))
    Joseph, Max (1943). "Sabbath". In Landman, Isaac. The Universal Jewish Encyclopedia. 9. p. 295.
    (同文献第9巻p.295に収録されている、『安息日』(マックス ジョセフ))
  8. ^ Cohen, Simon (1943). "Week". In Landman, Isaac (ed.). The Universal Jewish Encyclopedia: An authoritative and popular presentation of Jews and Judaism since the earliest times. 10. Cohen, Simon, compiler. The Universal Jewish Encyclopedia, Inc. p. 482.
    (『ユダヤ百科事典』(著:アイザック・ランドマン)第10巻 p.482に収録されている、『週』(サイモン・コーエン))
  9. ^ Sampey, John Richard (1915). "Sabbath: Critical Theories". In Orr, James (ed.). The International Standard Bible Encyclopedia. Howard-Severance Company. p. 2630.
    (例えば『国際標準聖書百科事典』(編:ジェームズ・オア(スコットランドの神学者)、ハワード・セヴェランス社)p.2630に収録されている『安息日:その批判的考察』(ジョン・リチャード、1915年))
  10. ^ 翻訳者より:英語版記事を翻訳して掲載した。2018年10月現在、英語版記事においても出典などの根拠が弱い部分があるのが実情である。それらを踏まえて参考としていただきたい。
  11. ^ Gula。ニンティヌンガ Nintinungaの異名。治癒と再生を司る女神)
  12. ^ イタリアの聖書学者。1914-2002。
  13. ^ Craveri, Marcello (1967). The Life of Jesus. Grove Press. p. 134.
    (『イエスの生涯』(マルセロ・クラヴェリ、グローブ出版(米国ニューヨーク州)、1967年)p.134)
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参考文献

  • Parker, Richard Anthony and Waldo H. Dubberstein. Babylonian Chronology 626 BC.–AD. 75. Providence, RI: Brown University Press, 1956.
(『バビロニア年代学 紀元前626年-西暦75年』(リチャード・アンソニー・パーカー(著:アメリカの古代エジプト学者)、ウェルド・H・ダッバースタイン(アメリカの古代中東学者)、ブラウン大学出版(米国)、1956年))
  • W. Muss-Arnolt, The Names of the Assyro-Babylonian Months and Their Regents, Journal of Biblical Literature (1892).
(『アッシリア・バビロニアの月と王の名前』(ウィリアム・ムス・アーノルト(アメリカのアッシリア学者)、聖書学会誌、1892年))
  • Sacha Stern, "The Babylonian Calendar at Elephantine" in Zeitschrift für Papyrologie und Epigraphik 130 (2000) 159–171 (PDF document, 94KB)
(『エレファンティネにおけるバビロニア暦』(サチャ・スターン(ロンドン大学のユダヤ学者)、2000年)(PDFファイル, 94KB)(出典の翻訳保留中。他の方のご協力をお願いします。))
  • Fales, Frederick Mario, “A List of Umma Month Names”, Revue d’assyriologie et d’archéologie orientale, 76 (1982), 70–71.
(『都市ウンマの月の名前』(フレデリック・マリオ・ファレス(イタリアの歴史学者)、1982年)(出典の翻訳保留中。他の方のご協力をお願いします。)
  • Gomi, Tohru, “On the Position of the Month iti-ezem-dAmar-dSin in the Neo-Sumerian Umma Calendar”, Zeitschrift für Assyriologie und Vorderasiatische Archäologie, 75 (1985), 4–6.
(『新シュメール時代のウンマ暦における月の位置づけ iti-ezem-dAmar-dSin』(五味 亨、1985年)(出典の翻訳保留中。他の方のご協力をお願いします。)
  • Pomponio, Francesco, “The Reichskalender of Ur III in the Umma Texts”, Zeitschrift für Assyriologie und Vorderasiastische Archäologie, 79 (1989), 10–13.
(『ウンマ文書における、ウル第三王朝の豊富な暦』(フランシスコ・ポンポニオ(イタリア・メッシーナ大学の学者?)、1989年))(出典の翻訳保留中。他の方のご協力をお願いします。)
  • Verderame, Lorenzo, “Le calendrier et le compte du temps dans la pensée mythique suméro-akkadienne”, De Kêmi à Birit Nâri, Revue Internationale de l'Orient Ancien, 3 (2008), 121–134.
(翻訳できる方による作業をお待ちします)
  • Steele, John M., ed., "Calendars and Years: Astronomy and Time in the Ancient Near East", Oxford: Oxbow, 2007.
(『暦と年代:古代近東における天文学と時間』(編:ジョン・M・スティール(米国ブラウン大学の歴史学者)、オックスボウ出版(英国オックスフォード)、2007年))
  • Landman, Isaac. "The Universal Jewish Encyclopedia: An authoritative and popular presentation of Jews and Judaism since the earliest times" , Cohen, Simon, compiler. The Universal Jewish Encyclopedia, Inc.
(『ユダヤ百科事典 - ユダヤ人とユダヤ教について、その起原から、専門的かつ一般向けの解説』(著:アイザック・ランドマン(アメリカの改革派ラビ。1880-1946)、編:サイモン・コーエン))

関連項目

スピロヘータ綱レプトスピラ目レプトスピラ科

原因

スピロヘータ門スピロヘータ綱レプトスピラ目レプトスピラ科に属するグラム陰性菌レプトスピラLeptospira )、レプトネマ(Leptonema )、ツルネリア(Truneria )の病原株が原因となる。好気的環境を好み生育し、中性から弱アルカリ性の淡水中、湿った土壌中で数カ月は生存するとされている。ネズミなどの野生動物を自然宿主として、ヒトだけでなくイヌウシブタなどほとんどの哺乳類に感染。腎臓尿細管などで増殖し、排泄物を経由して汚染された水や土壌から経口・経皮的に感染する。ヒトからヒトへの感染は起こらない。

疫学

中南米東南アジアなどの熱帯亜熱帯地域での流行があり、東南アジアの流行は7 - 10月に集中している。特に被害が深刻なのはタイであり、年間数千人規模の流行がみられる。日本では1970年代前半までは年間50名以上の死亡が報告されていたが、近年では患者数、死亡者数とも激減し、各地で散発的に認められる程度となっており、集団感染の例としては1999年に沖縄県八重山諸島で確認されている。下水道工事関係者や畜産関係者などの患者が多く職業病の一つである。近年の海外渡航者の増加に伴い、流行地からの輸入感染例が報告されている。また、海外からの家畜や伴侶動物などの輸入を介して国内にレプトスピラが持ち込まれる可能性が指摘されている。海外ではトライアスロンなどのウォータースポーツによる集団発生も報告されている。2014年には沖縄県の北部演習場で米兵90人が感染[1]、2016年9月28日には8月6~7日に同県国頭村の奥間川で遊んだ小中学生10人と30代女性の計11人が、8~12日後に発熱や筋肉痛、結膜充血などを発症したという集団発生のケースが同県健康長寿課から発表されている[2]。2005年4月に輸入アメリカモモンガ由来の感染により、静岡市内の動物取り扱い業者の従業員2名が発病した。輸入した108頭は、炭酸ガスで安楽殺後、焼却された[3]


災害に伴う発生例

症状

  • ヒト
潜伏期間は3日から14日程度で、悪寒、発熱、頭痛、全身の倦怠感、眼球結膜の充血、筋肉痛、腰痛など急性熱性疾患の症状を示すとされる。ツツガムシ病日本紅斑熱と似た症状を呈する[5]。軽症型の場合は風邪と似た症状でやがて回復するが、ワイル病の別名でも呼ばれる重症型では、5〜8日後から黄疸、出血、肝臓・腎臓障害などの症状が見られ、エボラ出血熱と同レベルの全身出血を伴ったり、播種性血管内凝固症候群を引き起こす場合もある。重症型の死亡率は5〜50%とされる。しかし、初期の把握痛や結膜充血及び進行して発現するとされる黄疸、点状出血、肝脾腫など特徴的な症状を示さない場合もある。


  • イヌ
急性の場合、出血、発熱、嘔吐、血便、口腔粘膜の潰瘍、黄疸、腎炎、出血傾向などの症状を示し、2〜4日で死亡する。
  • ウシ・ウマ・ブタ・ヒツジ・ヤギ
発熱、溶血性貧血、黄疸、流産・死産、生殖障害、間欠性眼炎、虹彩毛様体炎など、種によって様々な症状を示す。
キツネスカンクオポッサムのほか、家鼠をはじめとする各種囓歯類では不顕性感染(症状が表れない)で保有体となって感染源になる。ただしハムスターは例外的に激しい症状を示して1 - 2週間で死亡する。また、ブタやウシも感染源となっている可能性が示唆されている。

診断

  1. 病原体の分離、コルトフ培地というレプトスピラ菌専用の特殊な検査培地による病原体の培養。
  2. 血清診断法、顕微鏡下凝集試験法(MAT)による。
  3. レプトスピラ遺伝子のPCR法による検出。

治療

主に抗生物質が使用される。軽症型にはβラクタム系やアミノグリコシド系、テトラサイクリン系、重症型ではストレプトマイシンペニシリン系の抗生剤が使用される事が多い。ただし投与後に、体内の細菌が一斉に崩壊して毒素が短時間で血液中に放出され、発熱・低血圧などのショック症状(ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応 Jarisch Herxheimer)を起こす場合がある。

予防

  • ワイル病秋疫混合ワクチン
血清型が合致する菌に対しては6年程度免疫が有効とされるが、初回は一週間間隔で2回接種し、1年後にもう1回接種する必要がある。なお、確認されている血清型は250以上あるが、現在のワクチンではその中の5つの型にしか対応していない。
  • 50℃10分の熱で死滅するほか、乾燥やpH6.8以下の酸に弱い為、次亜塩素酸ナトリウムヨード逆性石鹸で消毒出来る。一方で低温には強い。
  • 軽症型での治療にも使われるドキシサイクリンなどのテトラサイクリン系抗生剤は予防に効果があるが、長期間の服用は奨められないとされる。
  • 流行地域では不用意に水に入らない事。特に洪水の後は感染の危険性が高まる。
  • イヌの輸入の際はレプトスピラに感染していないことを証明する必要がある。

脚注

  1. ^ 米兵90人レプトスピラ症の疑い 北部訓練場一部使用中止 (2014年11月9日 沖縄タイムス)
  2. ^ レプトスピラ症が沖縄で過去最多 川遊びの児童ら11人集団感染 (2016年9月28日 沖縄タイムス)
  3. ^ 静岡市保健所保健予防課 大輪達仁 長坂好洋 厚生労働省健康局結核感染症課 三木 朗. “輸入動物(アメリカモモンガ)に由来するレプトスピラ症感染事例-静岡市(概要)”. 2019年9月17日閲覧。
  4. ^ 台風16号、台風17号による死者(2009年10月19日 AFP News)
  5. ^ 日本紅斑熱が疑われたレプトスピラ症の1例―宮崎県 国立感染症研究所

関連項目

外部リンク

  • 日本獣医師会雑誌 第55巻第5号
げっ歯類を感染源とする人畜共通感染症 レプトスピラ病
  • 社団法人千葉県獣医師会
レプトスピラ症
病原微生物検出情報月報2008年1月号
レプトスピラ症 IASR Vol.29

2019年12月29日日曜日

第三弾!

昭和、第二次世界大戦で初めて使用されたのが原爆、人類史上はじめての核兵器実験...核実験が世界中で行われ、実際に使用されたのが昭和である。

平成、どちらかといえば戦闘、紛争が多発しテロ、暴動が多い中かで自然災害の直撃が多い我が国、平成どころか災害に見舞われた、大国の日本!最も代表的なのが「東日本大震災」そして、自爆テロとも言える福一原発の爆発である。

さて、令和では実践配備を目論む、某国の宣言、標的は公表された以上、第三弾は間違いなく「核ミサイル」である。
実弾が、頭上に落ちるのは令和、時間の問題であると言えよう。

令和の末日
1.テロ防止関連条約と核テロ防止条約 「放射線を発散させて人の生命等に危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律案」(以下「本法律案」という。)は、平成17年4月に、国連総会において採択された「核によるテロリズムの行為の防止に関する国際条約」(以下「核テロ防止条約」という。)の適確な実施を確保するため、政府より今国会に提出されたものである(日本は、同年9月に署名) 核テロ防止条約の目的は、放射性物質又は核爆発装置等を所持、使用する行為等を犯罪とし、その犯人の処罰、引渡し等について定めることとされており、テロ防止に関する国際条約のうち、平成13年に米国で発生した9.11テロ以降、初めて採択された条約である。22か国の批准により発効するが、100か国以上の署名があるものの、まだ14か国の批准に留まっている(平成19年3月1日現在) 核テロ防止条約は、平成8年に国連総会で採択された「国際テロリズム廃絶措置」決議を契機として、ロシアの提唱により、平成9年2月から、国連総会の下に設置された国際テロ撲滅アド・ホック委員会において交渉が開始された。同条約の起草は、平成10年にロシアが提案した草案を基礎として行われたが、関係国の利害対立(パキスタンとインド、イランと米国、等)により調整は難航し、9.11 テロの発生等を受け、ようやく妥結に至った1平成 18 年7月のG8首脳会議では、世界各国に対し核テロ防止条約の批准を求め、平成19年のドイツでのサミットにおいて「我々の取組の成果を報告する」とした「テロ対策に関するG8首脳宣言」と「国連のテロ対策プログラムの強化に関するG8声明」が示されている。 2.本法律案の概要 (1)処罰される行為 核テロ防止条約は、死又は身体の重大な傷害、財産の実質的な損害等を引き起こす意図での放射性物質等の所持・使用や核施設の使用・損壊と放射線の発散等による脅迫を犯罪としている。 我が国における放射性物質の管理と放射線の発散についての規制は、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」(以下「原子炉等規制法」という。)と「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」(以下「放射線障害防止法」という。)により行われている。これらは主に、原子力発電や放射線を用いる事業に携わ
立法と調査 2007.4 No.266 31る者に対する使用の許可や届出等の義務を定めたものであり、悪意を持って放射性物質を使おうとする者の存在を前提としたものではない。しかし、両法においても、核物質防護条約及び爆弾テロ防止条約を担保する国内法として、正当な理由なく、原子核分裂の連鎖反応(核爆発)、核燃料物質による汚染物の取扱い、放射性同位元素を装備する機器等の操作、その他不当な方法により放射線を発散(方法のいかんを問わず外部に拡散)させ、人の生命、身体又は財産に危険を生じさせた者に対しては、10年以下の懲役に処することが定められており、未遂も処罰の対象とされている。 本法律案では、両法におけるこれらの規定を集約するとともに、これらの行為の予備(準備)行為、危険を生じさせる目的での放射線を発散させる装置の製造及び所持、放射性物質の所持についての未遂行為、放射性物質を用いた脅迫、強要も処罰の対象としている。量刑も上限で無期懲役とされている。 放射線発散防止法案により処罰される行為 (1)核燃料物質の原子核分裂の連鎖反応(核爆発)により、人の生命、身体又は財産に危険を生じさせること (2)放射線を発散させて、人の生命、身体又は財産に危険を生じさせること(→(1)(2)の法定刑の上限を10年から無期懲役に引上げ) (3)(1)(2)の行為の予備(準備)行為 (4)(1)(2)の行為の目的での放射線を発散する装置等の製造及び所持、放射性物質の所持 (5)(1)(2)(4)の未遂行為 (6)その他(放射性物質を用いた脅迫、強要) (7)(1)~(6)の国外犯 (出所)文部科学省資料 (2)規制と罰則の在り方本法律案と類似の枠組みを持つ法律として、サリン等による人身被害の防止に関する法律(以下「サリン等防止法」という。)がある。以下、参考のため、規制と罰則の在り方を比較してみる。 ア 規制対象物質 本法律案では、放射性物質や「原子核分裂等装置」(核燃料物質の臨界を起こさせる装置、放射性物質の放射線を発散させる装置、加速器(高エネルギー放射線発生装置))を用い、人の生命、身体又は財産に危険を生じさせる目的があれば、処罰の対象としている。放射線の強さについては、電子線及びX線についてのみ強度の下限が記されており(原子力基本法により政令で定める放射線の定義による)、医療用の一般的なレントゲン装置の発するX線は、そのエネルギーが規制対象値以下となっている。 一方、サリン等防止法では、サリンに準ずる毒性の強さ、発散時の危険度(物質の機能的側面)等により対象物質を政令によって定めることとしている。 イ 量刑 本法律案では、「放射性物質をみだりに取り扱うこと、・・・その他不当な方法で、・・・人立法と調査 2007.4 No.266 32の生命、身体又は財産に危険を生じさせた者は、無期又は2年以上の懲役に処する」とされており、人の死傷の結果については、刑法の殺人罪によって更に重く処罰されることとなる。 一方、サリン等防止法では、「サリン等を発散させて公共の危険を生じさせた者............は、無期又は2年以上の懲役に処する」とされ、「人里はなれた山中で空中散布した場合、船舶等で人がいない海に行き海中に放流した場合は一般的に言うと公共の危険を生じさせたとは言えない」とされる2放射線もサリン同様、発散された量や発散時の周囲の状況により「危険度」が大きく変わる。「危険度」と量刑の関係、抑止力としての量刑の妥当性等が問われることとなろう。なお、放射線発散の予備罪は、サリン発散の予備罪と同じ5年以下の懲役だが、殺人予備罪は2年以下の懲役となっている。これは、殺人予備罪が個人の生命を保護法益とするのに対し、サリン発散は、公共の安全に与える影響が非常に大きく、その予備についても危険性が高い場合が少なくないと考えられたためとされる3ウ 輸出入、流通 サリン等防止法については、目的を問わず、輸入、譲り渡し及び譲り受けとその予備行為も禁止されているが、本法案では、対象となっていない。 核燃料物質及び核原料物質の輸出入及び流通は、原子力基本法、原子炉等規制法及び輸出貿易管理令等により規制されている。特に核燃料物質については、指定、許可等を受けた者の間以外では譲受渡ができないこととし、その流通の範囲を限定している。 放射性同位元素については、放射線障害防止法により、使用について許可制、販売については届出制を採っている。輸出入については、国際原子力機関(IAEA)が、「放射線源の輸出入ガイダンス(2004 年9月)」により規制対象を定めている。人体に与える危険性を考慮し、カテゴリー1~5までに分類し、各カテゴリーに該当する核種、数量、機器名称が示されている。この中で、放射線源の輸出入ガイダンスは、カテゴリー1(遮へいなく近づいた場合、数分から1時間で死に至るもの)、カテゴリー2(遮へいなく近づいた場合、数時間から数日で死に至るもの)を対象としている。 我が国においても、ガイダンスに合わせ、人体に与える危険性が高い放射性同位元素の輸出については承認制としている(輸出貿易管理令)。輸入については、所定の資格用件を証する書類を税関に提出することが義務づけられている(輸入貿易管理令)エ 脅迫・強要 原子炉等規制法では、特定核燃料物質(高濃縮の核燃料物質。核兵器への転用可能性が高い)を用いて、ア)人身及び財産に害を加えることを告知して脅迫すること、イ)窃取、強取することを告知して脅迫・強要することが処罰対象とされている。 本法律案にこの規定が移されるとともに、ア)について、放射性同位元素や加速器等による危害が加えられた。 立法と調査 2007.4 No.266 333.原子力防護への取組 (1)核物質及び放射性同位元素の防護核燃料物質の盗取等の不法な移転や、原子力施設等への妨害破壊行為を防止することは「核物質防護」と定義されてきたが、これまで「放射性同位元素の防護」を直接定義したものはなかった。IAEAによる放射線源の安全とセキュリティに関する行動規範では、その目的と範囲について「放射線源へ許可なく近寄ること、破壊活動、紛失、盗取及び許可のない移動を防ぎ、被ばく事故の可能性や、人・社会・環境に対して影響を与える放射線源の悪意ある使用を減らすとともに、放射線に関連する事故、悪意ある行動による被ばくによる影響の減少を成し遂げること」「人、社会、環境に対し、重大な影響を及ぼすおそれのあるすべての密封線源に適用する」「研究炉及び発電炉等で使用される核燃料物質は含まない」とされている4核物質防護については、IAEA等による枠組みの中で厳格な取組がなされてきたが、国際テロの脅威の高まりにつれ、核物質以外の放射性同位元素を用いる「汚い爆弾」(ダーティボム:セシウム・コバルト等の放射線源を通常の爆弾に混ぜて爆発させるRadioactivity Dispersal Device(RDD))への対策強化が求められている5内閣府の原子力委員会は、テロ対策の国際動向等を踏まえ、核物質等や関連施設の特性を踏まえた合理的、効果的な防護の在り方について基本的な考え方を調査審議するため、平成18年12月、原子力防護専門部会を設置した。そこでは核物質防護と核物質以外の放射性物質の防護を総称し、「原子力防護」と呼んでいる。 (2)放射性廃棄物の防護 核燃料の再処理の過程で生まれる高レベル放射性廃棄物は、核兵器に転用可能な物質がほとんど含まれておらず、ガラス固化体(放射能の高い廃液を、ガラス原料とともに溶かしてゆっくり固化したもの)となっていることから、その特性から特定核燃料物質(プルトニウム等)を抽出することが極めて困難とされ、盗取の脅威は極めて低いとして、核物質防護規定6による盗難防止等の対象とされていない。本年1月、経済産業省総合資源エネルギー調査会原子力防災小委員会は、今後の放射性廃棄物の核物質防護規制については、従来の盗取の脅威に加え、妨害破壊行為の脅威も重視すべきであるとの中間報告書「放射性廃棄物の埋設事業に係る核物質防護の在り方について」をまとめた。これを受け政府は、ガラス固化体や長半減期低発熱放射性廃棄物を核物質防護の規制対象とするため原子炉等規制法を改正する意向とされ7、原子力防護専門部会においても検討がなされている。なお、低レベル放射性廃棄物については、放射能濃度が極めて低いことから核物質防護の対象とはされていない。(3)放射性同位元素の防護 放射性同位元素については、安全管理の観点から、室に人がみだりに入ることを防止するためのインターロック(安全装置)を設けること等が放射線障害防止法施行規則に定められているが、防犯の観点から原子炉施設等ほどの厳しい防護管理は行われていない。これは、核分裂を起こし得る核物質に比べ、放射性同位元素を使った大規模な放射線の発散を行うことが難しく、多くの人命や財産を一度に危険にさらす危険性が低いこと、放射性立法と調査 2007.4 No.266 34同位元素は、日常生活の様々な場面で使われており、放射線障害防止法による規制対象事業者も多く(国内に約4,600事業所)、厳格な管理体制を網羅的に構築することは、難しいこと等が背景にある。 しかし、テロの脅威の高まりに応じ、平成 15 年、放射性同位元素のセキュリティについて、IAEAが行動規範を策定するなど、具体的な対応が求められており、特に放射能の大きい線源について、線源の防護の仕組みや登録管理システムを構築することなど新たな取組が必要となっている8今後、事態の変化に応じ、様々な場合を想定した対テロ予防措置が新たに講じられることも予想されるが、対テロの「網」をどこまで広げるべきか、現実的な危険性の判断と費用対効果も論点となろう。 核物質防護の国際ガイドラインは、核兵器への転用可能性に応じて管理し、放射性同位元素の防護は、人体への影響が大きいものほど厳しく管理することとされている。日本ではどのような考え方を採るのか、核テロ対策を講ずる際の検討事項とされている9また、こうした問題は、防犯上の観点から一般向けに詳細な情報開示ができず、必要な原子力防護措置とは何かについて開かれた議論ができないもどかしさも指摘されている101 森秀勲「大量破壊兵器テロを防止するための国際的なルール作りの動き」『立法と調査』251号(平17.11) 2 第132回国会参議院地方行政委員会会議録第11号7頁(平7.4.19) 3 第132回国会衆議院地方行政委員会議録第14号6頁(平7.4.19) 4 内閣府原子力政策担当室「原子力防護に関する経緯と現状」原子力委員会原子力防護専門部会(準備会合)配付資料(平18.12.27) 5 独立行政法人科学技術振興機構「原子力百科事典ATOMICA」(http://mext-atm.jst.go.jp/atomica/08010321_1.html)、斉藤卓也「放射性物質飛散爆弾(ダーティーボム)の脅威と国際的な放射線源のセキュリティ対策」『保健物理』第39巻2号(2004.6)79頁 ダーティーボムの放射性物質それ自体は、連鎖反応は起きず、爆発性はない。核爆発による直接かつ強力な殺傷能力とは異なるが、ダイナマイトなどの爆発物と一緒に爆発させることで放射性物質をばらまく。放射性物質の拡散とそれに伴う被爆による人身と環境の被害、一定区域が放射性物質により汚染されることによる長期にわたる立入り禁止措置と汚染物質の除去等に伴う経済的被害、放射線に対する住民の恐怖心の惹起による社会的混乱及びこれらを前提とした脅迫の恐れがある。通常の原子爆弾に比べると、ダーティーボムの人体への影響は非常に小さい。 6 「国際テロ集団が核兵器製造のため核物質を盗取し、あるいは精神異常者が核物質を持ち出し、または施設を破壊して社会的不安を引き起こすことの危険に対して、施設あるいは核物質の輸送時の防護のための必要な措置」(財団法人日本原子力文化振興財団『核燃料と原子炉材料』(平8.3)139頁)。原子炉等規制法により、事業者に義務付けられている。 7 東奥日報(平19.1.18) 8 文部科学省科学技術・学術政策局原子力安全課「原子力施設における安全規制の現状と取組」『文部科学時報』(平19.1)47頁。「放射線源に関する情報の多くは日本アイソトープ協会により把握可能となっているものの、同協会から供給された放射線源を小分販売した場合、直接輸入、放射線源交換時における放射線源に関する情報把握は難しい。放射線源の供給・返却(譲受・譲渡)に係る放射線源の移動を放射線源登録により確認することができ、放射線源の取扱に係る許可を持たない者が所持することを防ぐことにつなげることができる。また、万一、放射線源の盗取・破壊、R(放射線)テロ等が発生した場合、速やかに放射線源に関する情報を確認・提供するとともに、放射線障害の防止、安心情報の提供につなげることができる。」とされる(原子力安全規制等懇談会放射線安全規制検討会配付資料(平18.6.27)9 内閣府原子力政策担当室「原子力防護の在り方の基本的考え方に関する確認・検討事項(案)」原子力委員会原子力防護専門部会(準備会合)配付資料(平18.12.27) 10 座談会「これからの原子力の安全と平和利用のあり方」『文部科学時報』(平19.1)28

2019年12月28日土曜日

巌聖水6500の特長

巌聖水6500の特長

「巌聖水6500」(がんせいすい6500)は、広島県福山市東村町で採水されたミネラルウォーターで、飲泉療法に良いとされている「天然ラドン」「冷鉱泉水」「活性水素」「ミネラル」が豊富な天然還元水です。
巖聖水6500の水は、地下の花崗岩帯を悠久の時をかけて透過し、みがかれて、瀬戸内海へ滝となって流れ落ちています。
こうしてミネラル分たっぷりの水“奇跡の水”と呼ばれる「うまい水」「身体に良い水」となりました。
なお、巖聖水6500は、今から6500万年前に形成された白亜紀の花崗岩に由来します。

巖聖水6500の温泉分析書

知覚的試験 無色透明無味無臭
ラドン含有量 123×10-10キュリー/kg
(基準ボーダー20×10-10キュリー/kg)
炭酸水素イオン
(HCO3)
150.0 mg / L
メタケイ酸
(H2SiO3)
55.0 mg / L
遊離炭酸
(CO2)
18.0 mg / L
その他微量成分 総ヒ素:不検出
総水銀:不検出
鉛イオン:不検出
クロムイオン:不検出

カルシウム・マグネシウムがバランスよく配合

巖聖水6500には、“水の硬度”を左右するミネラル成分「カルシウム」と「マグネシウム」がバランスよくたっぷりと溶け込んでいます。

飲む温泉水として最適の硬度!

巖聖水6500には、この両成分が1リットルあたり98mg(100mgがミネラルウォーターとして最適といわれています)溶け込んでおり、下図でいうところの美味しい軟水(なんすい)の位置付けになります。

口当たりが柔らかで うまい水

"美味しい軟水"の巖聖水6500は、ぴったりpH7・0の"中性水"です。甘くマイルドな口当たりでお料理の味をいっそう引き立てます。
遊離炭酸(CO2)が、飲むと口中ではじけるため、さわやかなのど越しが特長で、入浴に使用すると、血行を良くする効果が大きいといわれています。
巖聖水6500を、お口からお肌から、身体の内側と外側の両面から取り込むことによって、身体を改善して"健康いきいき生活"を始めませんか。

巖聖水6500の特筆すべき成分

「細菌類0(ゼロ)」「無色透明無味無臭」そして「ヒ素・水銀・鉛・クロムなどの有害物質は不検出」の安全な水であるということです。
そして『巖聖水6500』は、炭酸水素イオン(HCO3)、メタケイ酸(H2SiO3)の含有量が多く、「活性水素」が豊富にあることも大きな特長です。
フランスのルルドの泉は“奇跡の水”と呼ばれ、「活性水素」が多く含まれていることも世界的に有名です。

おいしい水の条件・からだに良い水の条件

実際に目で見えるデータとして巖聖水6500をご案内します。
分かりやすいように「H天然水(大分県)」「H天然水(鳥取県)」の2つを比較してみました。

おいしい水・からだに良い水

ラドン含有量
巖聖水6500がいかに優れているか、日本を代表する他の有名天然水データ比較グラフからも歴然としています。
パンフレットでも巌聖水6500をご紹介しておりますので、以下からダウンロードしてご覧ください。

巌聖水6500 紹介パンフレット(PDFファイル)

(リンクを右クリックでダウンロード保存)

巌聖水6500の採水地

巌聖水6500は、以下の場所にて採水しております。

巌聖水6500のご注文

皆様のニーズにお応えするため、巌聖水6500のさまざまなラインナップを取り揃えております。
商品名 個数 価格(税込)
500 ml 1ケース(24本×1) 3,800円
2 L 1ケース(6本入) 2,300円
10 L(お徳用サイズ) 1ケース(2箱入) 3,300円
巌聖水6500をご希望の方は、以下の注文申込書をダウンロードして頂き、必要事項をご記入のうえFAXにてお申し込みください。
また、こちらのお問い合わせフォームからでも受付しております。

巌聖水6500 注文申込書(PDFファイル)

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泊原発地、周辺海域の安全確保を徹底せよ!

泊地、周辺海域の安全確保を徹底せよ!

核分裂、細胞分裂

●三つ子や四つ子の出生確率について
多胎児の出生確率は、話題として良く聞かれるものの一つです。双子の場合は出生数が比較的に多いため、統計から出生頻度を参照することが可能です。最近の日本の双生児分娩率はだいたいで1%。一卵性双生児の出生確率は世界的に0.4%程度の確率ですから、日本の二卵性双生児の出生確率は0.6%ぐらいになります(ただし、統計では卵性別の出生数を記録していません)。ところが、三つ子や四つ子の出生確率となるとかなりアバウトです。統計的に信頼できる数字を出せないということもありますが、多くの数字は何故かひどく曖昧です。これには幾つかの理由があります。とりあえず2,3の仮定をおき、三つ子と四つ子の出生確率を計算しながら考えてみましょう。まず以下の仮定をおいておきます。
1) 卵性に関わる受精卵は一定の確率0.6%(近年の二卵性双子出生率)で増える。
2) 受精卵が分裂する確率は、初回であっても複数回目の分裂であっても0.4%で一定とする。
3) バニシング等で受精卵が減少する可能性は考えない。
さて、確率計算は場合分け(パターン)を考えることが基本です。三つ子の場合、以下の図のように受精卵の分裂がパターン化されます。黒丸(●)が分裂した受精卵で、白丸(〇)が生まれてくる受精卵です。

では、一卵性の三つ子の出生確率を計算します。一卵性の場合、一つの受精卵が二つに分かれた後、どちらか一方がもう一度分裂するため、確率の「場合分け」のパターンが二つあります。確率0.4%で生じる受精卵の分裂(多胚化)が二回でそのパターンは二つと考えるため、一卵性の確率は以下のように計算されます。
一卵性 : 0.004×0.004×2= 0.000032(10万分の3.2)
二卵性の場合は、多排卵により生じた二つの受精卵の一方が多胚化するため、やはりパターンは二つ。三卵性はパターンが一つです。多排卵の確率を0.6%(二卵性双子の出生確率)とすると、それぞれの確率は以下のようになります。
二卵性 : 0.006×0.004×2パターン= 0.000048(10万分の4.8)
三卵性 : 0.006×0.006= 0.000036(10万分の3.6)
卵性を問わない三つ子の出生確率 : 三つの数字の合計 = 1万分の1.16
ここ15年ぐらいの実際の三つ子出生は1万分の1.5ぐらいですから、大きく外れてはいません(でも近くもありません)。どうして数字がズレるのかについては後述するとして、次に四つ子の出生確率を計算してみましょう。四つ子の場合は多胚化のパターンが増えますが、確率計算は基本的に三つ子の場合と同じです。



一卵性 : 0.004×0.004×0.004×5パターン = 0.00000032 (1千万分の3.2)
二卵性 : 0.006×0.004×0.004×5パターン = 0.00000046 (1千万分の4.6)
三卵性 : 0.006×0.006×0.004×3パターン = 0.000000432 (1千万分の4.32)
四卵性 : 0.006×0.006×0.006×1パターン = 0.000000216 (1千万分の2.16)
四つ子 : 0.000001448 = おおよそ100万分の1.5

実際の四つ子出生率(4出生)は、ここ15年ぐらの平均でおおよそ100万分の2.2。三つ子の出生確率でもそうでしたが、計算された数字は外れてもいませんが当たっているとも言いかねる数字です。現実の100万分の2.2の確率になるように多排卵の確率を逆算すると、(3次方程式の虚数解を除く解として)約0.8%になります。日本では自然妊娠による二卵性双生児の確率は0.2%ぐらいですが、生殖補助医療などの影響を考慮すると、これぐらいの数字で良いのかも知れません。
多排卵確率を0.8%に修正した場合、卵性別の四つ子出生率は以下のようになります。
一卵性 : 0.004×0.004×0.004×5パターン = 0.00000032 (1千万分の3.2)
二卵性 : 0.008×0.004×0.004×5パターン = 0.00000064 (1千万分の6.4)
三卵性 : 0.008×0.008×0.004×3パターン = 0.000000768 (1千万分の7.68)
四卵性 : 0.008×0.008×0.008×1パターン = 0.000000512 (1千万分の5.12)
四つ子 : 0.00000224 = おおよそ100万分の2.2

実はこの数字の修正に、多胎児の出生確率が曖昧になる原因があります。確率計算の結果は、なぜ微妙にズレた数字になるのか。実のところ、前提としている仮定で置いた数字(0.6%と0.4%)がおかしいのです。大きく二つの問題があります。




第一に、複数の排卵が生じる確率が分からないのです。遺伝的に多排卵となる体質の方がいることはわかっています。しかし、3個や4個といった数の受精卵が生じることを、独立した確率事象とみなすことができるのか?というと、答えは否です(例えば、2個の排卵が生じる可能性を1%とした場合、3個の排卵が生じる可能性を単純に0.01%と言えるのかというと、ちょっと無理です)。そもそも受精卵自体が多い場合、生殖補助医療等による人為的な原因も介在しています。また短い一定の間隔で排卵が生じている可能性もあれば、一度に複数の排卵が生じている可能性、あるいは全くのランダムという可能性もあります。この確率を一定の数値として計算すること自体がおかしいのです。
第二に、多胚化が生じた受精卵が二度目の多胚化をする場合、一度目と同じ確率で発生すると見なしてよいのか?という問題があります。受精卵が分裂する現象を、独立した確率事象と考えることが妥当なのかどうか。今のところわかっていません。もし多胚化の確率が一定なら、一卵性の六つ子が報告例としてあって良いはずですが、今のところ一卵性の多胎児は五つ子までしか報告がありません。
つまり高次の多胎児の出生確率は、計算に必要となる前提が不確かなため本来は計算すること自体が出来ないのです。

【追記(五つ子の場合)】
五つ子の場合の確率計算例です。四つ子と同じ多排卵率(0.8%)で計算します。
一卵性 : 0.004×0.004×0.004×0.004×14パターン = 3.58E-09 (10億分の3.58)
二卵性 : 0.008×0.004×0.004×0.004×14パターン = 7.17E-09 (10億分の7.17)
※一卵性の「双子+三つ子」(4パターン)&「1卵性+四つ子」(10パターン)で14パターン
三卵性 : 0.008×0.008×0.004×0.004×9パターン = 9.22E-09 (10億分の9.22)
※一卵性三つ子+2(6パターン)、一卵性双子2組+1(3パターン)の9パターン
四卵性 : 0.008×0.008×0.008×0.004×4パターン = 8.19E-09 (10億分の8.19)
五卵性 : 0.008×0.008×0.008×0.008×1パターン =4.10E-09 (10億分の4.1)
五つ子 : 3.23E-08 (1億分の3.23)
2004年-2017年の五つ子分娩件数は12です。出生率としては8.1E-07(1000万分の8.1)ですから、1億分の3.23と比べると随分とかけ離れた数字です。多排卵率を実際の数字に合わせるように逆算すると、2.63%という数字(虚数と負の解を除く)が出てきます。四つ子の0.8%と比べてもかなり高いレートでなければ、現実の数字と合いません。かといって多胎の次数毎に多排卵率を変更するなら、確率計算そのものが意味をなしません。要するに、確率計算自体ができないのです。
ちなみに、日本の年間分娩件数を100万件と考えた場合(2017年は95.6万件)、一卵性の四つ子は3~4年に一組、一卵性の五つ子は300~400年に一組ぐらいが誕生することになります。世界全体(2017年は約1.4億人)なら一卵性の五つ子が、数年に一組ぐらいのペースで生まれてもおかしくありません。しかし実際に生まれてくるケースは、せいぜい数十年に一組です。高次の多胎では「多胚化の確率」も不明であるという証左です。

2019年12月26日木曜日

アクチノイドに属する超ウラン元素

マイナーアクチノイド

アクチノイドに属する超ウラン元素のうちプルトニウムを除いたものをマイナーアクチノイド (Minor actinide) もしくはマイナーアクチニドと呼ぶ。一般にはマイナーアクチノイドに分類されるのはネプツニウムアメリシウムキュリウムバークリウムカリホルニウムアインスタイニウムフェルミウムであるとされている[5]。この中で使用済み核燃料に含まれる重要な同位体はネプツニウム237, アメリシウム241, アメリシウム243, キュリウム242から248カリホルニウム249から252である。これらは強い放射能を持つ長寿命核種であり、300年から2万年に渡って使用済み核燃料から発生する強い放射線と熱の原因となる[6]ため、放射性廃棄物処理を考える上で大きな問題となる。 また、マイナーアクチノイドは核実験による放射性降下物にも含まれる。
軽水炉における238Puから244Cmの核種変換のフロー[7]
核分裂を起こす確率は100%から図中の数値を引いたものになる。
核種変換の割合は核種により大きく異なっている。
また、245Cm–248Cm は長寿命核種のため崩壊は無視している。
アメリシウムはアルファ線源およびガンマ線源として工業的に利用されており、例えばさまざまな煙検知器に利用されている。アメリシウムはプルトニウム239やプルトニウム240の中性子捕獲により生成したプルトニウム241がベータ崩壊して生成する[8]。一般に、中性子のエネルギーが高くなるほど核分裂反応断面積と中性子捕獲断面積の比は核分裂が起きやすくなる方向に傾く。このため、MOX燃料沸騰水型軽水炉加圧水型軽水炉のような熱中性子炉で燃焼させると高速炉よりも大量のアメリシウムが生成する[9]。したがって、原子炉級プルトニウム英語版にはアメリシウムも大量に含まれており、核兵器の生産には適さない。プルトニウム中のアメリシウム含有量の測定は、未知のプルトニウム試料の由来やアメリシウムを化学的に分離してからの経過時間を知る手段としても利用される。
軽水炉使用済み核燃料燃焼度 55 GWdth/T)中の超ウラン元素 と平均中性子吸収率 [10]
核種 存在比 DLWR Dfast Dsuperthermal
Np-237 0.0539 1.12 -0.59 -0.46
Pu-238 0.0364 0.17 -1.36 -0.13
Pu-239 0.451 -0.67 -1.46 -1.07
Pu-240 0.206 0.44 -0.96 0.14
Pu-241 0.121 -0.56 -1.24 -0.86
Pu-242 0.0813 1.76 -0.44 1.12
Am-241 0.0242 1.12 -0.62 -0.54
Am-242m 0.000088 0.15 -1.36 -1.53
Am-243 0.0179 0.82 -0.60 0.21
Cm-243 0.00011 -1.90 -2.13 -1.63
Cm-244 0.00765 -0.15 -1.39 -0.48
Cm-245 0.000638 -1.48 -2.51 -1.37
合計 -0.03 -1.16 -0.51
負の吸収率は中性子源であることを示す。

性質

全て放射性元素半減期が短いものが多い。トリウムウランには半減期が数億年以上の長命な同位体が存在するためにまとまった量が天然に存在するが、他の元素は天然には全くないか、ごく僅かしか存在せず、ほとんどが人工的に作られたものである。特にウランより重いネプツニウム以降の元素のことを超ウラン元素といい、ほぼ自然界には存在しない。このため物理的、化学的性質の詳細はとりわけ不明な部分が多い。
アクチノイドの電子配置
軌道 1s-5d 5f 6s 6p 6d 7s 7p
Fr [Rn]
[Rn]
1
Ra

2
Ac
1 2
Th
2 2
Pa 2 1 2
U 3 1 2
Np 4 1 2
Pu 6
2
Am 7
2
Cm 7 1 2
Bk 9
2
Cf 10
2
Es 11
2
Fm 12
2
Md 13
2
No 14
2
Lr 14
2 1
Rf 14 2 2
アクチノイドは、5f軌道の電子が詰まり(占有され)始める元素のシリーズで、4f軌道が詰まり始めるランタノイドと化学的性質が類似する。ただし電子の詰まり方はランタノイドとはやや異なり、アメリシウムより軽い方の元素では6d軌道にも電子が入り込む。そのため、ランタノイド及びアメリシウムより重いアクチノイドでは典型的な原子価が3価であるのに対して、アメリシウムより軽い方では3-6価の原子価を取る。またローレンシウムで5f軌道を充填した次の電子は、ルテチウムと異なり6d軌道ではなく7p軌道に入る。この理由はよくわかっていない。
ランタノイド収縮と同様に、アクチノイドも内側の5f軌道が先に詰まっていくため、原子番号が大きくなるほど原子半径イオン半径が短くなる(アクチノイド収縮)。
アクチノイドの化合物の中には、フェルミエネルギー上の電子の有効質量が自由電子のものより2、3桁も大きい、重い電子系(Heavy fermion)と呼ばれる性質を持つものがある。
5f、6d、7sなどの外側の軌道は、相対論効果の影響も受ける(例:スピン軌道相互作用←d軌道やf軌道に対して)。

脚注