2012年4月5日木曜日

サーマルリアクター


サーマルリアクターとは熱反応器という意味で、排ガス浄化システムの一種。
エンジンから排出されたガスを、チャンバー内で空気とともに再燃焼させて浄化させるもの。
1970年代の排ガス規制に対応すべく、現在主流の触媒システムの登場までマツダの初代コスモなどのロータリーエンジン搭載車に採用された。
再燃焼させるために燃料濃いめの混合気を供給しており燃費が悪かったが、触媒が無く排気抵抗が少なかったことから、その吹け上がりはまさに天井知らずだった。



サーマルリアクター [編集]

サーマルリアクターとは、日本車のガソリンエンジンで各種の触媒の利用が広まる以前に用いられていた二次空気導入装置の一種である。エアポンプ式の概念を更に発展させ、排気ガスを排気管内で再度強制的に燃焼させる区画をエキゾーストマニホールドとは別に設ける事で有害物質を取り除く技術である。マツダのロータリーエンジンマスキー法をクリアする際に用いられた事で一躍その名が知られる様になったが、排ガスを強制的に再燃焼させてクリーンにする為には、ある程度以上排気ガスが濃い条件である事が必須であった為、極めて初期のサーマルリアクター車は非サーマルリアクター車に比べて濃い燃調が要求され、燃費が却って悪化するという致命的な欠点が存在した。大気温と同じ冷えた二次空気を導入する際にサーマルリアクターも冷えてしまい、燃焼温度を一定に保つ為に更に濃い排ガスが要求される事も、燃費の面では不利になった。この為、只でさえレシプロエンジンより悪い傾向があったロータリーの燃費は更に悪化し、アメリカ市場ではガスイーターとして売り上げを落とす結果を招いてしまった。
この欠点を克服する為に、マツダはサーマルリアクターに導入する二次空気を予熱するヒートエクスチェンジャー空冷エンジンカーヒーターと同じ技術である)を排気管の中途に装備。冷えた二次空気で排ガスの温度が低下する事を予防し、薄めの燃調でも再燃焼がスムーズに行われる対策を行う事で、1975年型コスモAPにおいて従来型比40%の燃費向上を実現。この一連の開発作業はフェニックス計画として知られる様になった[3]。後年のものは、ある程度以上リアクターの温度が上昇すると、エアポンプによる強制送気が自然吸気へと切り替わり、エアポンプからの送気はリアクター外面を冷却する経路に切り替わる複雑な制御となっていった。
サーマルリアクターはその後他社のエンジンの排ガス対策でも他の対策機器と併用される形で一時用いられた。初期の三元触媒や酸化触媒と異なり、排気抵抗が殆ど無い事が利点であったものの、サーマルリアクター周辺は常に非常な高温になるという欠点があった為、各種触媒の排気効率の向上と共に急速に廃れていった。

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