2012年4月20日金曜日

高経年劣化対策



私がお答えします!何もしなければ老朽化します。
しかし、そうならないために通常の保守管理に加え、
高経年化対策を行います。
原子力発電所の施設には高温や高圧の場所があります。そのような環境で長い間使用していると、配管の内部が減ったり、ひび割れが生じたり、絶縁体としてケーブルに使われている高分子材料が傷んだりするなどの劣化が起こりえます。これを「経年劣化事象」といいます。原子力発電所では「高経年化対策」として、一定の安全水準を確保するために、経年劣化の状況をきちんととらえ、機器や設備の取り替えなどの保守管理を行っていますので、老朽化することはありません。(※老朽化「古くなって役に立たなくなること」広辞苑より)
「経年劣化事象」に係る通常保全と追加保全
原子力発電所の設備や機器は、運転を開始すると時間の経過とともに機能や性能の低下など、いわゆる「経年劣化事象」が発生することがあります。そのため、事業者(電力会社)は原子炉圧力容器など、安全上重要な機器については性能や強度に必要な余裕を持たせて設計しています。また、運転開始後も定期的に原子力発電所を停止して、法律で定められた定期事業者検査を実施し、設備や機器などの機能・性能の確認を十分に行っています。さらに、国による保安検査や国およびJNESによる定期検査、JNESが審査を行い、国が総合評定する定期安全管理審査などさまざまな検査や審査を行い、事業者(電力会社)の安全管理活動が適切であるかどうかを絶えず確認しています。また、運転開始後30年以降については、こうした通常の保全活動に加え、事業者(電力会社)は現状の保守管理が有効かどうかを確認し、必要に応じて保全策を追加しています。これを「長期保全計画」といい、高経年化対策上重要な6つの経年劣化事象((1)中性子照射脆化、(2)応力腐食割れ、(3)疲労割れ、(4)配管減肉、(5)絶縁低下、(6)コンクリートの強度低下)について、関連する機器・構築物の保全活動を行います。これら通常保全と追加保全の両輪によって、高経年化対策は慎重かつ確実に行われます。
主な経年劣化事象
機械設備
原子炉容器(原子炉圧力容器)、炉内構造物1次冷却材配管(再循環配管)、1次冷却材ポンプ(再循環ポンプ)、蒸気発生器、タービンなどがその代表例です。これらの設備は、原子力発電所を運転する際、熱、圧力、水流、振動などの複合する力を受けて劣化する可能性があります。 ※()内はBWRでの呼称
(1)中性子照射脆化 
金属が中性子の照射を受けて、粘り強さが低下する現象。
(2)応力腐食割れ
腐食しやすい環境で使用される材料が、通常の破壊応力より低い応力で割れを生じる現象。応力とは、物体が外から力を受けたとき、それに応じて内部に現れる抵抗力のことです。応力腐食割れの代表例には、ステンレス鋼の応力腐食割れ、ニッケル基合金の応力腐食割れ、照射誘起応力腐食割れなどがあります。
(3)疲労割れ 
材料にくり返し応力がかかることにより、割れを起こす現象。
(4)配管減肉(エロージョン/コロージョン)
配管の内面で、物理的作用による侵食(エロージョン)と化学的作用による腐食(コロージョン)が発生し、相互作用で減肉する(配管の肉厚が薄くなる)現象。
電気・計装設備
代表例として、発電機、変圧器、ケーブルなどがあります。これらは熱や放射線などを受け、変質し性能が低下する可能性があります。
(5)絶縁低下
発電機や変圧器は通電等による内部で発生する発熱等を、ケーブルなどは絶縁物として使用されているゴムやプラスチックなどが熱や放射線などを受け、時間の経過とともに変質し、絶縁性能に低下を生じる現象。
コンクリート構造物
原子炉建屋、タービン架台などが代表例です。コンクリート構造物は中性化などにより、内部の鉄筋が腐食・膨張し、ひび割れが生ずる可能性があります。 
(6)コンクリートの強度低下
コンクリート構造物には、塩分の浸透やコンクリート中の水酸化カルシウムと大気中の二酸化炭素などとの反応(中性化)など、時間の経過とともに性能が低下する事象が生じます。なかでも、中性化による経年劣化はその代表例で、コンクリートのアルカリ性が表面から徐々に低下し、これにより鉄筋の保護機能が失われ、鉄筋が腐食して膨張し、コンクリートのひび割れが生じます。

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